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障害があっても“自分らしく”生きていけると確信できた日

📖 約52✍️ 鈴木 美咲
障害があっても“自分らしく”生きていけると確信できた日
わが子の障害に絶望していた筆者が、重度障害を抱えながら自分らしく活動する青年との出会いを経て、人生観を180度転換させた体験談。2026年最新のテクノロジー、合理的配慮、意思決定支援といった福祉の潮流を交え、障害を「克服すべき敵」ではなく「ひとつの個性」と捉える重要性を説きます。自立の再定義や「不便=不幸ではない」という考え方を通じ、将来への不安を抱える家族が希望を持って「自分らしい」生き方を踏み出すための具体的ステップを提案するガイド記事です。

「障害」という言葉の向こう側へ――未来への不安が希望に変わった瞬間

わが子や自分自身に障害があると分かったとき、多くの人が「これまでの当たり前が失われてしまうのではないか」という深い絶望感に襲われます。「普通」の幸せはもう手に入らない、将来は暗いものになる……そんな不安が、2026年現在の福祉社会においても、なお多くの家庭を包み込んでいます。

しかし、障害は人生を制限する壁ではなく、その人だけの新しい生き方を形作るひとつの「個性」に過ぎません。この記事では、絶望の淵にいたある家族が、ある出来事をきっかけに「障害があっても自分らしく生きていける」と確信した軌跡を辿ります。読み終える頃には、あなたの心にある将来への不安が、少しずつ形を変えていくのを感じられるはずです。


絶望の色に染まった「告知の日」からの脱却

真っ暗に見えた将来へのビジョン

息子に重度の知的障害と自閉症があることが判明した2010年代、私は自分の人生が終わりを迎えたかのような錯覚に陥りました。当時の私は、「教育を受け、就職し、結婚して自立する」という画一的な成功モデルしか持っていませんでした。そのレールから外れてしまった息子を見て、彼の未来には「苦労」と「孤立」しかないと思い込んでいたのです。

2026年の最新統計でも、初めて診断を受けた保護者の約80%が「将来に対する強い不安」を抱いているというデータがあります。私もまた、夜な夜なインターネットで「障害者 将来」と検索しては、否定的な情報ばかりを拾い集める日々を過ごしていました。この時期の私は、息子の「今」を見ているのではなく、実体のない「恐怖の未来」に怯えていただけでした。

「普通」への執着が自分を追い詰める

私は息子を少しでも「普通」に近づけようと必死でした。療育を詰め込み、彼ができないことを数えては、自分の育て方が悪いのではないかと自責の念に駆られていました。障害を克服すべき敵のように捉えていたのです。しかし、無理に社会の枠に当てはめようとすればするほど、息子の瞳からは輝きが失われ、家族の中にはピリピリとした緊張感が漂うようになりました。

心理学でいうところの「受容のプロセス」の途上にいたわけですが、当時はその苦しみから逃れる方法が分かりませんでした。「この子がこの子らしくあること」を、私自身が一番否定していたのかもしれません。しかし、そんな頑なな私の心に、ある日、小さな、けれど決定的な変化をもたらす出会いが訪れました。

💡 ポイント

「普通」を目指すことは、時に本人の輝きを消してしまいます。まずは「できないこと」ではなく、「その子が今、何に心を動かしているか」に目を向ける練習をしてみましょう。

視界が開けた「一人の青年」との出会い

地域の福祉イベントに参加した際、私は車椅子に座り、タブレット端末を使って絵を描いている一人の青年、佐藤さん(仮名)に出会いました。彼は四肢麻痺という重い障害を持っていましたが、その表情は驚くほど穏やかで、自信に満ちていたのです。彼は自分の描いたデジタルアートを販売しながら、多くの人と笑い合っていました。

それまでの私のイメージでは、重度障害者は「支えられるだけの存在」でした。しかし、佐藤さんは自らの創造性を武器に、「自分の力で世界と繋がる喜び」を謳歌していました。その姿を見たとき、私の中にあった古い価値観が音を立てて崩れていくのを感じました。「あぁ、幸せの形は、私が思っていたよりもずっと多様で、自由なんだ」と、涙が溢れて止まりませんでした。


「自分らしさ」を支える新しい時代の福祉観

2026年、テクノロジーが可能性を拡張する

佐藤さんのように、かつては「困難」とされていたことが、現代ではテクノロジーの力で解決できる時代になっています。2026年現在、視線入力装置やAI音声合成、さらには身体能力を補助するパワースーツなどが急速に普及しています。これにより、障害の有無に関わらず、自らの意思を表明し、仕事に就き、表現活動を行うハードルが劇的に下がりました。

私の息子も、言葉でのコミュニケーションは苦手ですが、現在は生成AIを活用したコミュニケーションアプリを使っています。彼が頭の中で描いたイメージをAIが言語化したり、音楽に変換したりすることで、私たちは初めて彼の「内なる豊かな世界」に触れることができました。障害があるからこそ生まれる独自の視点が、今や社会にとって貴重な価値として認識され始めています。

「自立」の定義が大きく変わった

私を苦しめていた「自立」という言葉の意味も、以前とは異なります。かつては「何でも自分一人でこなすこと」が自立だとされていましたが、今の福祉社会では「適切に他者を頼り、自分の人生を自分で決めること」が真の自立であると考えられています。一人で抱え込むのではなく、多様なネットワークの中で支えられながら生きることは、むしろ高度な社会的能力だと言えるでしょう。

息子の将来について考えるとき、私はもう「一人で生活できるか」という心配はしていません。「彼を支えてくれるチームをどう作るか」「彼が自分の意思を伝えられる環境をどう整えるか」という、より前向きな視点にシフトしたからです。2025年に改訂された支援ガイドラインでも、この「意思決定支援」が最優先事項として掲げられています。本人の「やりたい」を尊重する仕組みが、法制度としても整いつつあります。

✅ 成功のコツ

「一人でできるようにさせる」のではなく、「誰かと一緒ならできること」を増やしていきましょう。頼るスキルを育てることは、自立への近道です。

合理的配慮が当たり前になる社会

2024年4月に施行された「改正障害者差別解消法」により、民間企業における合理的配慮(ごうりてきはいりょ)の提供が義務化されました。これにより、職場や学校、公共施設などで、一人ひとりの特性に合わせた調整が行われることが社会のルールとなりました。もはや障害がある側が過度に我慢をするのではなく、社会の側がバリアを取り除くことが当たり前になったのです。

テーブルで比較してみると、以前の社会と現代の社会での「障害」の捉え方の違いが鮮明になります。

項目 以前の価値観 2026年の価値観
障害の所在 本人の心身にある 社会のバリア(障壁)にある
支援の目標 治療や訓練による克服 個性の尊重と合理的配慮
自立の意味 独力で完結すること 他者に頼り、意思決定すること
テクノロジー 一部の人だけの特別なもの 誰の可能性も広げる標準ツール


息子が教えてくれた「本当の自分らしさ」とは

「できないこと」を数えるのをやめた日

佐藤さんとの出会いから数ヶ月後、私は息子の「こだわり」について、これまでとは全く違う見方をするようになりました。彼は電車の時刻表を眺めるのが大好きで、何時間でも熱心に読み耽ります。以前の私は「もっと勉強してほしい」「将来役に立たない」と否定していましたが、ある日、彼と一緒に時刻表を見てみると、そこには緻密な論理と美しいリズムがあることに気づいたのです。

彼が時刻表に見出していたのは、単なる数字の羅列ではなく、世界が正確に繋がっていくことへの「絶対的な安心感」と「美学」でした。私が「普通」という眼鏡を外したとき、そこには一人の知的好奇心に溢れたクリエイティブな人間が立っていました。息子の「こだわり」は、彼が自分を自分らしく保つための大切な一部であり、世界を理解するための彼なりの方法だったのです。

「不便」はあるけれど「不幸」ではない

息子は今、地域の「多機能型事業所」に通いながら、自分が好きな「数字」に関わる軽作業を行っています。2026年の福祉現場では、個人の強みを活かした職域開拓が進んでおり、彼はその正確な作業ぶりを高く評価されています。もちろん、パニックを起こすこともあれば、慣れない環境で動けなくなることもあります。生活に「不便」は確かに存在し続けています。

しかし、彼は決して「不幸」ではありません。大好きな電車の話ができる仲間がいて、自分の仕事を認めてくれるスタッフがいて、家ではリラックスして過ごせる。「不便であること」と「不幸であること」を切り離して考える。これは障害者の家族だけでなく、現代を生きるすべての人に必要な知恵かもしれません。息子は、与えられた条件下で最高に自分を表現して生きています。その姿は、かつて私が望んだ「普通の自立」よりも、ずっと気高く、美しいものでした。

⚠️ 注意

「自分らしく」というのは、常に明るく前向きであることとは違います。辛い時に「辛い」と言えること、嫌なことを「嫌だ」と拒否できることも、大切な自分らしさの表現です。

「障害」という言葉が溶けていく感覚

最近、私は息子のことを「障害者」というカテゴリーで考えることが少なくなりました。彼はただの「電車が大好きで、数字に強い、ちょっとシャイな息子」です。佐藤さんや他の当事者の方々と深く関わる中で、一人ひとりの個性があまりにも豊かすぎて、「障害」という一括りの言葉が、いかに粗末で実体のないものかを痛感したからです。

もちろん、行政手続きや支援の現場ではこの言葉を使います。しかし、私たちの日常生活において、彼を定義するのは診断名ではなく、彼が放つ言葉や笑顔、そして彼が選ぶ生き方そのものです。レッテルを剥がした後に残る「個の輝き」。それに気づけたとき、私の心から将来への恐怖が消え、「この子はこの子のままで大丈夫だ」という確信に変わりました。それは、告知の日の暗闇から始まった、長い旅の終着点でもありました。


よくある質問(FAQ)

Q. 経済的な将来がどうしても不安です。親亡き後はどうなりますか?

2026年現在、「親亡き後」の支援体制は以前より格段に強固になっています。具体的には、成年後見制度の利用促進に加え、信託銀行などと連携した「障害者信託」、さらには24時間対応の地域生活支援拠点などが整備されています。また、障害基礎年金に加え、加算金の見直しも進んでいます。一度、お住まいの地域の「基幹相談支援センター」で、具体的なマネープランと生活設計をシミュレーションしてみることを強くお勧めします。専門家と一緒に数字を可視化することで、漠然とした不安は「具体的な対策」へと変わります。

Q. 本人の「自分らしさ」が、周囲の迷惑になる場合はどうすれば?

「自分らしく生きる」ことと「わがままに振る舞う」ことは違います。自閉症などの特性により、公共の場で大きな声が出てしまうなどの行動がある場合、それは「本人の自分勝手」ではなく「環境とのミスマッチ」から生じるパニックかもしれません。2026年の支援現場では、「環境調整」という考え方を重視します。周囲に理解を求めるだけでなく、本人が落ち着けるクールダウンスペースの確保や、感覚過敏を防ぐイヤーマフの使用など、具体的で合理的な配慮を組み合わせていきます。「迷惑をかけないように閉じ込める」のではなく、「お互いに心地よく過ごすための工夫を社会に提案する」という姿勢が、今求められています。

Q. 子どもの障害を受け入れるのに時間がかかっています。ダメな親でしょうか。

いいえ、全くそんなことはありません。受け入れに時間がかかるのは、それだけあなたが子どもを大切に想い、その子の将来を真剣に考えてきたからです。2025年に発表された臨床心理の研究でも、「受容」は一直線に進むものではなく、三歩進んで二歩下がるように、行きつ戻りつしながら深まっていくものだとされています。「受け入れられない自分」をそのまま受け入れることも、一つの大切なプロセスです。無理に笑う必要はありません。焦らず、あなたのペースで、少しずつ「今のその子」に近づいていけばいいのです。


自分らしく生きるため、今日からできる3ステップ

1. 「小さな好き」をコレクションする

「自分らしく」の源泉は、その人の「好き」の中にあります。大きな目標を立てる必要はありません。息子が電車の時刻表を眺めるように、あるいはあなたが好きな香りのコーヒーを飲むように、本人が(そしてあなた自身が)心からリラックスでき、興味を惹かれる「小さな瞬間」を丁寧に集めてみましょう。2026年の行動療法では、こうした「快感情の収集」が、自己肯定感を育む土台になるとされています。

それをノートに書き留めたり、写真に撮ったりして可視化してみてください。障害というラベルを剥がした「その人そのもの」が見えてくるはずです。そのコレクションが増えていくほど、将来への漠然とした不安は、「この子がこの楽しみを持ち続けられる環境をどう守るか」という具体的な目標にアップデートされます。まずは今日、本人が一番いい顔をした瞬間を一つ、見つけてみてください。

2. 福祉サービスを「パートナー」として選ぶ

支援を受けることを「負け」や「甘え」だと思わないでください。これからの時代、福祉サービスは自分らしく生きるための「インフラ(基盤)」です。2026年、多くの自治体ではセルフプラン(自分で立てる支援計画)をサポートする体制が整っています。「これをしてもらわなければならない」という受け身の姿勢ではなく、「自分たちがこう生きたいから、このサービスを活用する」という主体的な姿勢で、支援機関を選びましょう。

相性の良い相談支援専門員を見つけることは、人生を共に走る伴走者を得ることと同義です。複数の事業所を見学し、スタッフが「本人の意思」をどれほど尊重しているか、テクノロジーをどう活用しているかを確認してみてください。良質なサービスは、あなたの家族の「自分らしさ」を加速させるための最高のエンジンになります。一人で抱え込まず、外部の力を賢く使いこなすこと。それが、今の時代の強さです。

💡 ポイント

支援者は「指導者」ではなく、あなたの家族が主役の物語を支える「舞台監督」や「道具係」です。何でも相談できる対等な関係を築きましょう。

3. 同じ価値観を持つコミュニティに繋がる

視野を広げるためには、少し先を歩いている先輩家族や、当事者の発信に触れることが一番の近道です。2026年には、メタバースやオンライン掲示板、地域SNSなどを通じて、従来の「家族会」よりももっとカジュアルで開かれたコミュニティが多数存在しています。そこで交わされるのは、「大変だね」という慰め合いだけでなく、「こんな便利なツールがある」「この会社は障害者雇用をこう進めている」といったポジティブな情報です。

自分たちだけで悩んでいると、思考はどうしても内向きになります。外の世界に繋がり、「障害があっても人生をクリエイトしている人々」のリアルな姿に触れることで、「自分たちもいけるかもしれない」という希望の種が芽生えます。完璧な親である必要はありません。仲間と一緒に、不完全なまま、面白がって生きていく。その姿勢が、本人の「自分らしさ」を育む最高の影響を与えるはずです。


まとめ

障害があるということは、確かに生活上の不便を伴います。しかし、それは人生の質を決定づけるものではありません。2026年、テクノロジーと社会制度、そして何より人々の意識が大きく変わり、誰もがその人なりの「自分らしさ」を追求できる土壌が整いつつあります。絶望の中にいた私が、確信を持って言えるのは、「幸せへのルートは、診断書の数だけ存在する」ということです。

  • テクノロジーと制度が可能性を広げる:2026年の社会は、かつての限界を軽々と超える力を私たちに提供してくれます。
  • 「自立」は一人で頑張ることではない:他者を適切に頼り、意思を表明することこそが、真の自立です。
  • 「小さな好き」が未来を創る:本人の興味関心を軸にした生活設計が、最も豊かで持続可能な道となります。

将来への不安が消えない夜は、どうか思い出してください。あの佐藤さんが描いていた虹色の絵のように、あなたの家族の未来も、まだ誰も見たことがない色彩で溢れているかもしれません。障害というフィルターを通さずに、目の前の大切な人の「今」を抱きしめてください。そこから、確かな希望が始まります。あなたの「自分らしく生きていきたい」という願いを、私たちは全力で応援し、共に歩み続けていきます。

鈴木 美咲

鈴木 美咲

すずき みさき42
担当📚 実務経験 15
🎯 相談支援🎯 当事者・家族支援

📜 保有資格:
社会福祉士、相談支援専門員

相談支援専門員として15年、障害のある方とそのご家族の「困った」に寄り添ってきました。実際の相談事例をもとに、当事者やご家族のリアルな声、具体的な解決策をお届けします。「一人で悩まないで」がモットーです。

社会福祉士として障害者相談支援事業所に勤務し15年。年間約100件の相談に対応し、サービス等利用計画の作成や、関係機関との調整を行っています。この仕事の魅力は、「困っている」状態から「解決した!」という笑顔に変わる瞬間に立ち会えること。ただし、制度が複雑で「どこに相談すればいいか分からない」という声を本当によく聞きます。特に印象深いのは、お子さんの障害を受け入れられず孤立していたお母さんが、同じ境遇の親の会に繋がり、「一人じゃないと分かって救われた」と涙ながらに話してくださったこと。情報と繋がりの大切さを実感しました。記事では、実際の相談事例(もちろん個人情報は特定できないよう配慮)をベースに、「こんなとき、どうすればいい?」という疑問に答えていきます。

もっと詳しく

💭 福祉の道を選んだ理由

大学のボランティアで障害のある方と出会い、「困っている」を「解決した!」に変える仕事がしたいと思ったことがきっかけです。

✨ 印象に残っている出来事

孤立していたお母さんが、親の会に繋がり「一人じゃないと分かって救われた」と話してくださったこと。

✍️ 記事を書く上で大切にしていること

実際の相談事例をもとに、「こんなとき、どうすればいい?」という疑問に答えることを大切にしています。

🎨 趣味・特技

ヨガ、カフェ巡り

🔍 最近気になっているテーマ

ヤングケアラー支援、家族のレスパイトケア

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