ホーム/記事一覧/生活サポート情報/外出・移動サポート/外出が不安な方へ:移動サポートサービスの種類と選び方

外出が不安な方へ:移動サポートサービスの種類と選び方

📖 約61✍️ 藤原 洋平
外出が不安な方へ:移動サポートサービスの種類と選び方
外出に不安を感じている障害者の方やそのご家族に向け、移動を支援する多様なサービスを網羅的に解説しています。市区町村が実施する「移動支援(ガイドヘルプ)」や専門性の高い「同行援護・行動援護」といった公的サービスから、福祉タクシー、駅員による介助、民間の付き添いサービスまで、それぞれの特徴と料金の目安をまとめました。また、自分の介助レベルや目的に合わせたサービスの選び方、事前の準備方法も紹介。一歩踏み出すための不安を解消し、自分らしい外出を実現するための実践的なガイドです。

移動の不安を安心に変える!外出サポート活用ガイド

「買い物に行きたいけれど、途中で体調が悪くなったらどうしよう」「慣れない場所へ一人で行くのは不安」といった悩みを感じたことはありませんか。障害をお持ちの方やそのご家族にとって、外出は単なる移動以上のエネルギーを必要とするものです。一歩外へ踏み出すまでのハードルが高く感じられ、つい自宅にこもりがちになってしまうというお話もよく伺います。

しかし、現代には多くの移動サポートサービスが存在します。これらのサービスは、単に行き先へ運んでくれるだけでなく、精神的な安心感を提供し、あなたの「やりたいこと」を実現するための力強いパートナーとなってくれます。福祉の専門家が同行するサービスから、ボランティアによる支援まで、選択肢は実に多様です。

この記事では、障害の種類や目的に合わせた移動サポートの種類、具体的な選び方、そして利用する際の注意点を詳しく解説します。この記事を読み終える頃には、自分にぴったりのサポートが見つかり、次のお出かけが楽しみになっているはずです。まずは、どのような選択肢があるのかを一緒に見ていきましょう。


公的サービスによる移動支援の仕組み

移動支援事業(ガイドヘルプ)

障害者総合支援法に基づき、各市区町村が実施しているのが「移動支援事業」です。一般的にガイドヘルプとも呼ばれ、視覚障害や知的障害、精神障害、全身性障害などにより一人での外出が困難な方を対象としています。

このサービスの最大の特徴は、自治体から認定を受けたガイドヘルパーが同行し、移動の介助だけでなく、代筆や代読、排泄や食事の介助なども含めた総合的なサポートを行ってくれる点です。利用料金の多くは自治体が負担し、原則として1割の自己負担で利用できるため、継続して使いやすいのが魅力です。

ただし、利用できる目的には制限があります。通勤や営業活動といった「経済活動」や、宗教・政治活動、ギャンブルなどは対象外となることが一般的です。一方で、役所への手続き、通院、余暇活動(映画やイベント、散歩など)には広く利用できるため、生活の質を高めるために非常に有効な手段です。

同行援護と行動援護の違い

公的サービスの中には、移動支援事業とは別に、特定の障害特性に特化したサービスも存在します。その代表的なものが「同行援護」「行動援護」です。これらは国が定めるサービスであり、専門性の高い研修を受けたスタッフが対応します。

同行援護は、主に視覚障害をお持ちの方を対象としています。移動に必要な情報の提供(代筆・代読を含む)や、移動の援護を専門的に行います。街中の看板を読み上げたり、メニューの説明をしたりと、視覚情報を補うことで安全かつ主体的な外出を支えます。

行動援護は、知的障害や精神障害により、行動上著しい困難がある方を対象としています。外出時の危険を回避するための「見守り」や、パニック時の対応、予防的な声掛けなどが主な内容です。本人の特性を深く理解したスタッフが同行することで、周囲とのトラブルを防ぎ、安心して目的地へ向かうことができます。

重度訪問介護での移動サポート

重度の肢体不自由があり、常時介護を必要とする方を対象とした「重度訪問介護」でも、外出時のサポートを受けることができます。このサービスは、居宅での介護から外出時の付き添いまでを一貫して同じヘルパーが担当できるのが強みです。

例えば、家で着替えや車椅子への移乗を行い、そのままタクシーや電車に乗って目的地へ行き、先々でのケアも受けるといった連続性のあるサポートが可能です。担当ヘルパーとの信頼関係が築きやすいため、長時間の外出や旅行などのハードルも低くなります。

ただし、重度訪問介護の支給決定を受けていることが前提となるため、まずは担当の相談支援専門員や自治体の窓口で、自分の支給量(利用できる時間数)の中で外出がどの程度可能かを確認しておくことが大切です。最近では、就労中や通学中のサポートについても条件付きで認められるケースが増えています。

💡 ポイント

公的サービスを利用するには、自治体での「支給決定」が必要です。申請から利用開始までには1ヶ月程度かかることもあるため、早めに計画を立てるのがコツです。


交通機関に特化した移動支援

福祉タクシーと介護タクシー

公共交通機関の利用に不安がある場合、ドア・ツー・ドアで移動できるタクシーサービスが非常に便利です。これには大きく分けて、車両設備が整った「福祉タクシー」と、介護の専門知識を持つドライバーが担当する「介護タクシー」があります。

福祉タクシーは、車椅子のまま乗車できるスロープやリフトが付いている車両を指します。一方、介護タクシーは運転手が介護福祉士などの資格を持っており、室内から車両への移動や、病院内での受付介助まで依頼できることがあります。最近では、UD(ユニバーサルデザイン)タクシーとして、一般のタクシーでも車椅子対応の車種が増えています。

利用料金については、運賃に加えて「予約料」や「介助料」が発生するのが一般的です。自治体が発行する「タクシー券(福祉タクシー利用券)」を利用すれば、経済的な負担を軽減しながら利用することができます。自分の障害者手帳の等級が助成の対象か、事前に確認しておきましょう。

駅係員や航空会社による介助

鉄道や飛行機を利用する際、事業者が提供している無料の介助サービスがあることをご存知でしょうか。駅では、改札からホームまでの誘導や、列車とホームの間にスロープを架けるなどのサポートを駅員さんに依頼することができます。

航空会社でも、チェックインから搭乗口、さらには機内の座席までの誘導を行ってくれます。電動車椅子を利用している場合は、バッテリーの仕様(リチウムイオン電池かどうかなど)を事前に伝えておくことで、スムーズな手続きが可能です。JALやANAなどの大手航空会社では、障害者専用の相談ダイヤルを設けており、きめ細かな対応をしてくれます。

これらのサービスを利用する際は、時間に余裕を持って到着することが鉄則です。駅であれば乗車時間の15〜20分前、空港であれば国内線でも1時間前には窓口へ行くようにしましょう。早めの連絡は、スタッフ側の準備をスムーズにし、結果としてあなた自身の安心につながります。

福祉車両のカーリース・レンタカー

「家族と一緒に自由に遠出したいけれど、普通の車では移乗が大変」という場合には、福祉車両のレンタルという選択肢があります。助手席が回転して外へ出るタイプや、後ろから車椅子のまま乗り込めるタイプなど、さまざまな車種を借りることができます。

最近では、障害者向けのカーリースサービスも充実してきており、初期費用を抑えて自分専用の福祉車両を持つことも可能になっています。購入する場合でも、消費税の免除や自動車税の減免、さらには自治体による改造費の助成制度が用意されていることが多いです。

運転を自分でする場合は、手だけで操作できる装置などの「運転補助装置」を取り付けることもできます。移動の自由度を最大限に高めたい方にとって、自家用車やレンタカーの活用は、生活圏を劇的に広げる可能性を秘めています。

✅ 成功のコツ

初めての場所へ行く際は、Googleストリートビューで目的地の入り口に段差がないか確認しておきましょう。画像で予習しておくだけで、当日の不安が半分になります。


民間サービスやボランティアの活用

プライベートな外出支援サービス

公的サービスの「移動支援」では対応できない目的(旅行や冠婚葬祭、お墓参りなど)で外出したいときに重宝するのが、民間の外出支援サービスです。これは全額自己負担となりますが、その分、利用制限がなく自由度の高いプランを組むことができます。

例えば、看護師が同行して宿泊を伴う旅行をサポートしてくれるサービスや、思い出の場所へ行くために数時間にわたって付き添ってくれるサービスなどがあります。専門職が同行するため、医療的なケアが必要な方でも安心して遠出を楽しむことができます。

費用は1時間あたり3,000円〜5,000円程度に加え、スタッフの交通費や食費の実費負担が必要になることが多いため、予算に合わせて利用頻度を検討しましょう。「一生に一度のイベント」や「年に一度の楽しみ」として、自分へのご褒美に活用する方も増えています。

ボランティア団体の移動サポート

地域によっては、NPO法人やボランティア団体が有償・無償で移動サポートを行っている場合があります。「移送サービス」として、地域の高齢者や障害者の送迎を行っている団体がその一例です。プロのヘルパーではありませんが、地域に精通したスタッフが親身に対応してくれます。

ボランティアによる支援の良さは、料金が比較的安価であることと、地域住民同士の交流が生まれる点にあります。近所のスーパーへの買い物や、地域のお祭りへの参加など、日常のちょっとした外出を支えてくれる心強い存在です。

利用にあたっては、事前の会員登録が必要な場合が多いです。また、あくまでボランティア精神に基づいたサービスであるため、希望する日時に必ずしも対応できない可能性があることも理解しておく必要があります。市区町村の社会福祉協議会(社協)へ問い合わせると、地域の団体情報を教えてもらえます。

ICTやスマートフォンの活用

移動をサポートしてくれるのは「人」だけではありません。最近では、スマートフォンアプリが移動の不安を解消する大きな役割を担っています。視覚障害者向けの歩行ナビゲーションアプリや、車椅子で通れるルートだけを案内してくれる地図アプリなどが登場しています。

例えば、駅のエレベーターの場所を即座に表示してくれるアプリや、周囲の景色をカメラで読み取って音声で説明してくれるAIアプリなど、最新技術は外出のハードルを下げてくれます。これらを使いこなすことで、誰かに頼らなくても一人で行ける場所が増えていくかもしれません。

また、タクシー配車アプリを使えば、言葉で説明しなくても自分のいる場所へ車を呼ぶことができ、支払いもキャッシュレスで済ませられます。手の不自由な方やコミュニケーションに不安がある方にとって、デジタルツールの活用は移動の自立を促す強力な武器になります。

⚠️ 注意

民間のサービスやボランティアを利用する際は、万が一の事故に備えて「損害賠償保険」に加入している業者・団体かどうかを確認しておきましょう。


自分に合ったサービスの選び方

外出の「目的」を明確にする

移動サポートを選ぶ最初のステップは、外出の目的を整理することです。目的によって、利用できる制度や最適なスタッフが異なるからです。以下のリストを参考に、自分がどこへ行きたいのかを考えてみましょう。

  • 通院や役所への手続き:介護保険や移動支援、介護タクシーが適しています。
  • 日用品の買い物や散歩:市区町村の移動支援やボランティアが使いやすいです。
  • 冠婚葬祭や宿泊を伴う旅行:民間の専門付き添いサービスや、重度訪問介護の活用を検討します。
  • 通勤や通学:自治体によって対応が異なるため、労働局や大学の相談窓口にも確認が必要です。

目的が明確になれば、どの窓口に相談すればよいかが自ずと決まってきます。まずは「絶対に外せない予定」と「できれば行きたい場所」を分けて考えると、優先順位がつけやすくなります。

必要な「介助レベル」を把握する

次に、自分にどの程度の介助が必要かを冷静に分析してみましょう。これがスタッフのスキルや車両の設備を決める基準になります。例えば、以下のポイントを確認してみてください。

  1. 段差があれば自力で歩けるか、それとも車椅子が必要か
  2. 車椅子の場合、移乗(乗り移り)に介助が必要か
  3. 排泄介助や食事介助などの身体介護が必要か
  4. パニックや迷子になるリスクがあり、常時見守りが必要か
  5. 医療的ケア(吸引や経管栄養など)が必要か

これらを正確に伝えることで、サービス提供側も適切なスタッフを配置でき、当日になって「対応できない」という事態を防ぐことができます。自分の状態を伝えるのが難しい場合は、現在受けているケアプランや、普段の生活の様子をまとめたメモを用意しておくと安心です。

予算と利用頻度のバランス

最後に、費用面のシミュレーションを行いましょう。公的サービスであれば自己負担は数百円〜数千円で済みますが、民間サービスでは1回の外出で数万円かかることもあります。継続的に利用したいのか、ここぞという時に利用したいのかによって、組み合わせ方を考えます。

以下の表は、各サービスの一般的な料金形態を比較したものです。あくまで目安ですが、予算立ての参考にしてください。

サービス名 料金形態 自己負担の目安(1回)
市区町村の移動支援 応能負担(所得に応じる) 0円 〜 2,000円程度
介護タクシー 運賃 + 介助料 + 予約料 3,000円 〜 10,000円程度
民間付き添いサービス 時間制 + 実費 10,000円 〜 50,000円超
有償ボランティア 協力費(謝礼) 1,000円 〜 3,000円程度

多くの自治体では、1ヶ月に利用できる時間に上限(支給量)があります。まずは公的な移動支援をメインに使い、足りない部分や制度の対象外となる活動を民間サービスやボランティアで補うという、「ハイブリッドな利用」がおすすめです。


よくある質問(FAQ)

Q. 移動支援のヘルパーさんは、店内で待っていてくれますか?

A. はい、基本的には可能です。例えば映画を観ている間や、レストランで食事をしている間、ヘルパーさんは隣でサポートするか、近くの席で待機してくれます。ただし、ヘルパーさんの入場料や食事代は、利用者の実費負担になることが一般的です。事前に「一緒に食事をしてほしいか」「少し離れた場所で待っていてほしいか」といった希望を伝えておくと、お互いに気兼ねなく過ごせます。

Q. 遠くへ引っ越す予定がありますが、移動サポートはどうなりますか?

A. 移動支援事業は自治体ごとの事業であるため、引っ越し先の自治体で改めて申請が必要です。自治体によってサービスの内容や支給される時間に差があることもあるため、引っ越しが決まったら早めに転居先の障害福祉窓口へ相談しましょう。介護保険や同行援護・行動援護については、全国共通の制度ですが、事業所(ヘルパーさん)を新しく探す必要があります。

Q. ヘルパーさんの運転する自家用車で移動することはできますか?

A. 原則として、ヘルパーの自家用車に利用者を乗せることは、道路運送法などの関係で禁止されていることが多いです。移動は徒歩、公共交通機関(電車・バス)、またはタクシーを利用するのがルールです。もし「車での移動」が必須な場合は、前述した介護タクシーや移送サービスを提供している事業所を選ぶ必要があります。

Q. 外出中に体調が悪くなったらどうすればいいですか?

A. 同行しているヘルパーやスタッフは、緊急時の対応についても研修を受けています。事前に緊急連絡先や、かかりつけ医の情報を共有しておくことで、スタッフが適切に連絡や応急処置を行ってくれます。外出前に「パニックになりそうな時のサイン」や「体調が悪くなった時の対処法(頓服薬の場所など)」を伝えておくことが、最大のリスク管理になります。


外の世界を楽しむための第一歩

ここまで多くの移動サポートサービスを紹介してきましたが、最も大切なのは「これなら私にもできそう」と思える方法を一つ見つけることです。最初から完璧な計画を立てる必要はありません。まずは家の近所の公園まで、30分だけの付き添いを依頼してみることから始めてみましょう。

一度「安全に帰ってこれた」という成功体験が得られると、脳はそれをポジティブな記憶として保存します。すると、次の外出への不安が少しだけ軽くなり、次はもう少し遠くへ、その次は電車に乗って……と、あなたの世界は着実に広がっていきます。移動サポートは、その勇気を支えるための杖や翼のような存在です。

私たち人間にとって、外の空気を吸い、季節の変化を感じ、誰かと交流することは、心の健康に欠かせない栄養素です。あなたが自分らしい方法で、行きたい場所へ行き、見たい景色を見る。そんな当たり前で素晴らしい日常を取り戻すために、ぜひ今日からサポートサービスの活用を検討してみてください。あなたの勇気ある一歩を、周囲のサポーターたちは心から歓迎してくれるはずです。


まとめ

  • 目的に応じたサービスの使い分け:公的サービスの「移動支援」を軸に、民間やボランティアを賢く組み合わせましょう。
  • 事前準備とコミュニケーション:介助が必要なポイントを明確に伝え、緊急時の対応についても共有しておきましょう。
  • 経済的な助成制度を確認する:タクシー券や障害者割引、自動車関連の減免制度をフル活用して負担を抑えましょう。
  • スモールステップから始める:まずは短時間の外出から成功体験を積み重ね、徐々に移動距離を伸ばしていきましょう。

藤原 洋平

藤原 洋平

ふじわら ようへい40
担当📚 実務経験 15
🎯 地域情報🎯 バリアフリー

📜 保有資格:
一級建築士、福祉住環境コーディネーター

バリアフリー設計専門の建築士として15年。公共施設や商業施設のユニバーサルデザインに携わってきました。「誰もが使いやすい」施設情報と、バリアフリーの実践的な知識をお届けします。

大学で建築を学び、卒業後は設計事務所に就職。当初は一般的な建築設計をしていましたが、車椅子を使う友人から「段差一つで行けない場所がたくさんある」と聞き、バリアフリー設計の重要性に目覚めました。その後、ユニバーサルデザインを専門とする設計事務所に転職し、学校、図書館、商業施設など、様々な公共建築のバリアフリー化に携わってきました。特に印象深いのは、地域の古い商店街のバリアフリー改修プロジェクト。車椅子の方も、ベビーカーの方も、高齢者も、みんなが安心して買い物できる街になり、「誰にとっても便利」なデザインの素晴らしさを実感しました。記事では、すぐサポの施設データベースを活用しながら、バリアフリー施設の見つけ方、チェックポイント、外出時の工夫など、実際に役立つ情報を建築の専門家の視点で発信します。

もっと詳しく

💭 福祉の道を選んだ理由

車椅子を使う友人から「段差一つで行けない場所がたくさんある」と聞き、バリアフリー設計の重要性に目覚めました。

✨ 印象に残っている出来事

古い商店街のバリアフリー改修で、誰もが安心して買い物できる街を実現したこと。

✍️ 記事を書く上で大切にしていること

建築の専門家の視点で、実際に役立つバリアフリー情報を発信します。

🎨 趣味・特技

街歩き、建築巡り

🔍 最近気になっているテーマ

心のバリアフリー、センサリールーム

📢 この記事をシェア

関連記事