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障害のある人がお金の管理でつまずくポイント10選

📖 約66✍️ 鈴木 美咲
障害のある人がお金の管理でつまずくポイント10選
障害のある人がお金の管理でつまずく主要因は、衝動買いや計画性の欠如(ADHDなど)、支払い期日の管理困難、抽象的な金銭価値の理解不足、複雑な手続きへの対応困難などです。これらは特性と社会的要求のミスマッチから生じます。対策として、衝動買い防止のための予算の構造化(封筒管理、デビットカード利用)、期日管理のための自動引き落とし設定と日常生活自立支援事業の活用、複雑な手続きへの相談支援専門員の同行を推奨。借金や詐欺には法テラスや成年後見制度といった法的なセーフティネットの活用が必須です。専門家と連携し、お金が自動で回る「仕組み」を作ることが重要となります。

見えない不安を安心に:お金の管理でつまずきやすいポイントと対策

「給料日前にいつもお金が足りなくなる」「何にお金を使ったか思い出せない」といった悩みは、障害のある方やそのご家族にとって非常に切実な問題です。お金の管理は、単なる計算能力だけでなく、先の見通しを立てる力や感情のコントロールなど、高度な脳の機能を必要とするため、障害の特性によってつまずきが生じやすいのは当然のことと言えます。

この記事では、障害のある人が日常生活の中で直面しがちなお金の管理のつまずきポイント10選を詳しく解説します。当事者の方やご家族が抱える「どうしてうまくいかないの?」という疑問に対し、脳の特性や心理面からアプローチし、具体的な解決策を提案します。お金の失敗は自尊心を傷つけることもありますが、適切な仕組みを作ることで、その負担は大幅に軽減できます。

読み終える頃には、お金の管理が「個人の努力不足」ではなく「仕組みで解決できる課題」であることを実感していただけるはずです。明日からの生活を少しずつ楽にするためのヒントを、一緒に見つけていきましょう。将来への不安を、具体的な安心へと変えていく第一歩をここから始めます。


1. 支出の全体像を把握することの難しさ

「今、いくらあるか」がイメージできない

お金の管理において最も土台となるのは、自分の持っている資産の全体像を把握することです。しかし、発達障害や知的障害のある方の中には、数字を概念として捉えることが苦手な方が少なくありません。財布の中にある現金、銀行口座の残高、そしてクレジットカードの利用予定額をバラバラに認識してしまい、トータルで「今使えるお金」がいくらなのかを判断できなくなってしまいます。

特に、キャッシュレス決済の普及により、目に見えないお金の動きが増えたことが、このつまずきを加速させています。スマホ決済や交通系ICカードへのチャージは、現金が減る感覚を伴わないため、脳が「お金を使っている」と認識しにくいのです。結果として、引き落とし日に残高不足になるというトラブルが頻発します。これは、ワーキングメモリ(一時的に情報を保持する力)の特性が影響している場合が多いと言われています。

このつまずきに対する支援としては、「見える化」の徹底が有効です。複数の口座を一つにまとめたり、家計簿アプリを活用して自動的にグラフ化したりすることで、視覚的に残高を捉えられるようにします。また、あえて「現金管理」に戻すことで、物理的なボリュームとしてお金の増減を実感することも、金銭感覚を養うための大切なステップとなります。

見通しを立てる力と固定費の盲点

家賃や光熱費、携帯電話料金といった固定費の存在を忘れ、手元にあるお金をすべて「自由に使えるお金」と誤認してしまうこともよくあるケースです。将来の出来事を予測する「実行機能」に弱さがあると、1ヶ月という長いスパンでの資金計画を立てることが難しくなります。給料が入った直後に高額な買い物をしてしまい、月の後半に食費すらなくなるという「自転車操業」の状態に陥りやすいのです。

実例として、ADHDのあるAさんは、毎月給料日に大好きな趣味のグッズを数万円分購入していました。しかし、その数日後に家賃の引き落としがあることを忘れており、親族に借金をして補填する生活を繰り返していました。Aさんの場合、家賃や光熱費を専用の口座に「最初から取り分けておく」という仕組みを作ったことで、ようやく生活の破綻を防ぐことができるようになりました。

お金の管理がうまくいく秘訣は、意志の強さに頼るのではなく、自動的な仕組みを取り入れることにあります。給料が振り込まれた瞬間に、絶対に動かしてはいけないお金を別管理にすることで、「今使ってもいいお金」を明確に定義できます。この明確な境界線こそが、将来への不安を軽減する最大の防御策となります。

衝動的な購入と感情のコントロール

注意欠陥・多動性障害(ADHD)や気分障害のある方にとって、衝動性はお金の問題と直結しやすい課題です。目の前の魅力的な商品を見た瞬間に、「欲しい」という感情が報酬系を刺激し、後先のことを考える理性のブレーキを追い越してしまいます。これを心理学では「報酬遅延価値割引」と呼び、将来の大きな利益(生活の安定)よりも、今の小さな喜び(買い物)を過大評価してしまう特性です。

また、ストレスが溜まったときに「買い物による発散」を繰り返してしまうケースも目立ちます。一時的なドーパミン放出による多幸感を求めて、必要のないものを次々と買ってしまうのです。購入後に激しい後悔の念に襲われることも多く、これがさらなるストレスを生んで悪循環に陥ることもあります。自制心の問題と捉えられがちですが、脳の神経伝達物質の特性が関わっていることを理解する必要があります。

対策としては、物理的に「購入までの障壁」を作ることが効果的です。「ネットショッピングのクレジットカード情報を削除する」「1万円以上のものは24時間待ってから買う」といったマニュアルを、冷静なときに作成しておきましょう。周囲の支援者が、頭ごなしに否定するのではなく、衝動が起きた際の代替行動(散歩に行く、好きな音楽を聴くなど)を一緒に考えておくことも成功のコツです。

💡 ポイント

「自分はだらしない」と責めるのではなく、「自分の脳にはどんなブレーキが必要か」という視点で対策を考えましょう。仕組み作りは自立への第一歩です。


2. 特性に応じた「支払い」のつまずき

複雑な小銭計算とレジでのパニック

知的障害のある方や算数障害のある方にとって、小銭の計算は非常にハードルの高い作業です。「いくら出せばお釣りが少なくなるか」を瞬時に判断するのは難しく、レジで後ろに人が並んでいるというプレッシャーが加わると、パニックになってしまうこともあります。その結果、お釣りを確認せずに千円札ばかりを出してしまい、財布が大量の小銭で溢れかえってしまう「小銭貯め込み」現象が起こります。

財布が重くなると、お金の総額がわからなくなり、さらに管理が杜撰になるという悪循環が生まれます。また、お釣りの計算間違いに気づけないため、悪意のあるなしに関わらず、金銭的な損失を被るリスクも高まります。こうした計算の苦労は、外出そのものへの苦手意識を植え付ける原因にもなりかねません。

現在では、キャッシュレス決済や、投入した現金を自動計算してくれる「自動セルフレジ」が普及し、この問題は解決しやすくなっています。交通系ICカードに一定額をチャージしておき、それを使って買い物をする習慣をつけることで、計算の負担をゼロにできます。テクノロジーを味方につけることで、外出の楽しみを維持することが可能になります。

「あとで払う」という概念の理解

クレジットカードやローンの支払いは、「商品を受け取る時点」と「お金を払う時点」にズレが生じます。このタイムラグ(時間差)は、認知の特性によっては非常に理解しにくい概念です。目の前で現金が減らないため、まだお金を持っているという錯覚に陥りやすく、利用限度額を自分の預金残高のように勘違いしてしまうトラブルが後を絶ちません。

特に、「リボ払い」の仕組みは最も注意が必要です。毎月の支払額が一定になるため、一見すると家計管理が楽になったように感じますが、実際には利息が膨れ上がり、総額が把握できなくなる「借金の沼」に繋がります。障害のある方が、仕組みを正しく理解しないまま契約してしまうケースも多く、多重債務の原因となることもあります。

もしキャッシュレスを利用するのであれば、利用した瞬間に銀行口座からお金が引き落とされるデビットカードが最適です。これならば現金と同じ感覚で使え、残高以上は使えないため、使いすぎを物理的に防げます。クレジットカードを持たせる場合は、家族が管理できる家族カードにするなどの工夫が必要です。

サブスクリプションの解約し忘れ

動画配信サービスやオンラインゲームの課金など、サブスクリプション(定額制サービス)は、一度契約すると自動的に更新される仕組みです。ADHDの不注意特性や記憶の弱さがあると、使っていないサービスを契約し続けていることを忘れ、毎月数百円、数千円を無駄に払い続けてしまうことがあります。一つひとつは少額でも、積み重なれば大きな固定費となります。

実例として、発達障害のあるBさんは、無料期間だけ試そうとしたアプリの解約を忘れ、気づいたときには1年分の一括決済が行われていたことがありました。スマホの通知やメールを見落としやすいため、いつの間にか「幽霊会員」となって費用だけを払い続けるリスクが高いのです。契約したサービスの全容が見えないことが、管理のつまずきを招きます。

対策として、「契約リスト」を紙に書き出す、またはスマホの「定期購読」設定を定期的にチェックするリマインダーを設定しましょう。また、そもそも自動更新を選ばない、あるいはプリペイドカードでその都度決済するといった方法も検討に値します。「何にお金が漏れているか」を把握することは、バケツの穴を塞ぐ作業と同じくらい重要です。

⚠️ 注意

キャッシュレス決済は便利ですが、管理能力を超えるほど多くの種類を導入すると、かえって混乱を招きます。利用する決済手段は1〜2つに絞りましょう。


3. 社会的な関わりと金銭トラブル

「貸して」と言われたら断れない心理

障害のある方は、周囲との良好な関係を保ちたいという思いや、他者の意図を察する難しさ(社会的認知の特性)から、金銭の貸し借りに関するトラブルに巻き込まれやすい傾向があります。知人や友人から「生活が苦しいから少し貸してほしい」と言われた際、それが返ってくる見込みがあるか、妥当な要求かを判断できずに、大切なお金を渡してしまうのです。

特に、境界知能や知的障害のある方は、「貸して」を「あげる」と混同してしまったり、拒絶することへの強い恐怖感を持っていたりすることがあります。一度貸してしまうと、相手に「カモ」として認識され、繰り返し要求されるケースも少なくありません。本人は「助けてあげている」という善意で動いているため、被害を受けている自覚が薄いのもこの問題の難しさです。

成功のコツは、「お金の貸し借りはしない」という明確なルールを本人の中で確立することです。「お金のことは親(または支援者)に相談しないといけない」といった定型句をあらかじめ練習しておき、ロールプレイングで断り方を身につける「ソーシャルスキルトレーニング(SST)」も非常に有効です。自分のお金を守ることは、自分自身を守ることだと伝えましょう。

悪質な勧誘やネット詐欺の標的に

インターネットの普及に伴い、フィッシング詐欺や偽の当選通知、SNSでのマルチ商法の勧誘など、詐欺の手口は巧妙化しています。情報の裏側にある「意図」を読み取ることに弱さがあると、「あなただけが得をする」「今すぐ入金しないと大変なことになる」という言葉を鵜呑みにしてしまいがちです。特に「孤独感」を抱えている場合、優しく接してくる勧誘員を信用してしまうリスクが高まります。

また、最近ではスマホゲームの「ガチャ」による高額課金も大きな問題です。確率の概念が理解しにくく、「次こそは当たるはず」というギャンブル的な期待が抑えられず、短期間に数十万円を使い込んでしまう実例もあります。これらは本人の意志だけでは制御不能な「依存」の状態に近く、専門的なケアが必要になることもあります。

フィルタリング機能の活用や、高額決済時に通知が飛ぶ設定、あるいはあんしんスマホの設定など、技術的な防御壁を構築しましょう。また、日頃から「うまい話には裏がある」「困ったらすぐに話せる」というオープンなコミュニケーション環境を作っておくことが、致命的なトラブルを防ぐ最後の砦となります。

冠婚葬祭などの「予期せぬ出費」

日常生活のルーチンはこなせていても、突発的なイベントに伴う出費には対応できなくなることがあります。友人の結婚式、身内の葬儀、壊れた家電の買い替えなど、数万円単位のお金が急に必要になった際、貯金がないためにパニックに陥るケースです。こうした「非日常」の予測は、想像力の特性上、非常に困難な場合があります。

実例として、一人暮らしをしている精神障害のあるCさんは、冷蔵庫が突然故障した際、買い替えるための蓄えが全くありませんでした。当面の食料を冷やすこともできず、健康状態まで悪化させてしまいました。Cさんは毎月の予算をギリギリに設定していたため、余裕という概念が抜けていたのです。予測不能な事態を「予測」しておくことは、一人暮らしの自立支援において欠かせない視点です。

このつまずきを防ぐには、「予備費(エマージェンシーファンド)」の積み立てが不可欠です。毎月1,000円からでも良いので、絶対に手をつけない「緊急用封筒」や「別口座」を用意しておきましょう。テーブルで「予測される出費リスト」を作成し、あらかじめ準備しておくことで、いざという時の不安を劇的に減らすことができます。

突発的な出費の種類 想定される金額 対策・準備
冠婚葬祭 10,000円〜30,000円 予備費専用の封筒を用意する
家電の故障 50,000円〜100,000円 5年スパンで買い替え積立を行う
医療費(急な通院) 5,000円〜10,000円 常に1万円を「お守り」として持つ

✅ 成功のコツ

トラブルを未然に防ぐために、信頼できる支援者や専門家と「お金の話をタブーにしない」関係性を作りましょう。失敗を共有することが再発防止への道です。


4. 福祉制度や公的サポートの活用不足

障害年金の管理と権利の行使

お金の管理におけるつまずきは、「使う」ことだけでなく「もらう・管理する」プロセスにも潜んでいます。障害年金は生活を支える重要な柱ですが、この高額な一時金や定期的な振込が、かえって本人の金銭感覚を狂わせてしまうことがあります。多額の残高を見て気が大きくなり、浪費に走ってしまうのは、将来への時間的展望が短い場合に起こりやすい現象です。

また、申請手続きそのものが複雑であるため、本来受給できる権利があるにも関わらず、放置されているケースも少なくありません。情報の収集や書類の作成に困難がある特性の方にとって、社会保障制度の壁は非常に高いものです。適切な収入が確保されないことが、結果としてお金の困りごとを深刻化させる原因となっています。

こうした場合は、「日常生活自立支援事業」などの公的サービスの利用を検討しましょう。福祉専門員が通帳の預かりや、支払いの代行、年金の管理をサポートしてくれます。すべてを自分一人でやるのが自立ではなく、必要なサポートを使いながら生活を安定させることこそが、真の意味での自立であるというパラダイムシフト(考え方の転換)が必要です。

福祉優待や減免制度の使い忘れ

自治体には、障害のある方向けの各種優待や減免制度が数多く存在します。所得税・住民税の障害者控除、NHK受信料の免除、交通機関の割引、公共施設の入場料無料などです。これらを活用するかしないかで、年間の可処分所得は数万円から十数万円単位で変わってきます。しかし、制度は「申請主義」であることが多く、知らなければ活用できません。

実例として、発達障害のあるDさんは、障害者手帳を持っているにも関わらず、バスや電車の割引制度を数年間利用していませんでした。書類を読むのが億劫で、窓口での手続きを先延ばしにしていたからです。こうした「小さな損」の積み重ねが、生活の苦しさを加速させていました。情報の整理が苦手な方にとって、制度の全貌を把握するのは至難の業です。

対策として、「自分の受けられる制度チェックリスト」をケアマネジャーや相談支援専門員と一緒に作成しましょう。また、ミライロIDなどのスマホアプリを活用して、手帳をいちいち出さなくても優待が受けられるように環境を整えることも、利用のハードルを下げる良い方法です。賢く制度を使うことは、生活の質を向上させる正当な手段です。

成年後見制度というセーフティネット

どうしても自分一人での金銭管理が難しく、悪徳商法の被害を繰り返したり、財産を不適切に扱ったりしてしまう場合、「成年後見制度」が強力な守りとなります。家庭裁判所から選ばれた後見人が、本人に代わって契約を行ったり、不利益な契約を取り消したり(取消権)することが可能です。これは、本人の財産権を守るための究極の法的手段です。

ただし、成年後見制度を利用すると、一度就任した後の変更が難しかったり、月々の報酬(費用)が発生したりといった注意点もあります。また、「自分の自由が奪われる」という心理的な抵抗を感じる方もいるかもしれません。そのため、本人の判断能力の程度に応じて、補助、保佐、後見という3つの段階から最適なものを選ぶことが重要です。

後見制度を利用する前段階として、まずは信頼できる家族や親族と「家族信託」を検討したり、専門家による「任意後見」の契約をあらかじめ結んでおく方法もあります。将来、自分が管理できなくなった時に備えて、誰にバトンを渡すか。お金の管理のつまずきを、人生の後半戦の安心へと繋げるための重要な選択肢として覚えておきましょう。

💡 ポイント

公的な支援制度は「最後の手段」ではなく「生活の土台」です。早めに相談窓口(地域包括支援センターや障害者生活支援センター)へ足を運びましょう。


よくある質問(FAQ)

Q. お金を管理したがる子供に、どこまで任せれば良いですか?

基本的には、本人の自尊心を尊重しつつ、「失敗しても致命傷にならない範囲」で任せてみるのが良いでしょう。例えば、1ヶ月の小遣いの範囲内であれば自由にさせ、家賃や食費などの「生活の生命線」は家族が管理するという「ハイブリッド型」の管理から始めるのがおすすめです。徐々に任せる範囲を広げていき、成功体験を積ませることが自立への近道です。ただし、多額の現金やクレジットカードをいきなり渡すのはリスクが高いため、段階的なステップアップを意識してください。

Q. 家計簿がどうしても続きません。良い方法はありますか?

家計簿を「書く」ことにこだわらないのが継続のコツです。最近の家計簿アプリは、銀行口座やクレジットカードを連携させるだけで、自動的に支出をカテゴリー分けしてくれます。これなら不注意特性のある方でも無理なく続けられます。また、「1円単位で合わせようとしない」ことも大切です。ざっくりと「今月は食費が多いな」「コンビニに行きすぎたな」と傾向がわかるだけで、家計管理としては十分合格点です。まずは「記録をオートメーション化(自動化)」することから始めましょう。

Q. 借金癖があるのですが、治療や支援は受けられますか?

衝動的な買い物やギャンブルによる借金が繰り返される場合、それは単なる性格の問題ではなく、「買い物依存症」や「ギャンブル依存症」という疾患の可能性があります。この場合、根性論では解決せず、精神科などの医療機関や、アディクション(依存症)専門の支援を受ける必要があります。自助グループへの参加や、債務整理(弁護士への相談)を同時進行で進めることで、生活の再建が可能です。「借金を返すために借金をする」状態になる前に、早急に専門家を頼ってください。

Q. 成年後見制度を利用すると、選挙権はなくなりますか?

いいえ、現在は公職選挙法の改正により、成年後見制度を利用しても選挙権は失われません。ご自身の意思で投票することが可能です。この制度はあくまで「財産管理」や「契約」の面でサポートするものであり、本人の人間としての権利や尊厳を奪うものではありません。むしろ、安心して自分らしく生活するための権利擁護の仕組みであると捉えていただければと思います。制度の詳細は、お近くの社会福祉協議会などで詳しく聞くことができます。


まとめ

障害のある人がお金の管理でつまずくポイントは多岐にわたりますが、それらは決して本人の努力不足だけが原因ではありません。特性を理解し、適切なツールや制度を活用することで、多くの課題は解決、あるいは軽減することが可能です。今回の記事の重要ポイントを振り返りましょう。

  • 「見える化」と「自動化」:キャッシュレスやアプリを活用し、脳の負担を減らす仕組みを作る。
  • 物理的な境界線の設定:固定費は最初に取り分け、使えるお金を明確に分ける。
  • 衝動への障壁作り:購入までのステップをあえて増やし、感情をクールダウンさせる時間を設ける。
  • 公的サービスの積極活用:日常生活自立支援事業や成年後見制度をセーフティネットにする。
  • 相談できる関係性の維持:失敗を責めず、一緒に改善策を考えられる協力者を持つ。

お金の管理は一生続くスキルのため、一度に完璧を目指す必要はありません。「今日はレジで小銭が出せた」「今週は予算を守れた」といった小さな成功を積み重ねていきましょう。お金の不安が減ることで、心にゆとりが生まれ、人生を豊かにする活動にエネルギーを使えるようになります。

次のアクションとして、まずは今日使ったお金を一つだけメモしてみるか、銀行の通帳を記帳して現在の残高を確認してみましょう。現状を知ることは、変化への第一歩です。もし自分一人では難しいと感じたら、身近な相談員さんに「お金のことで困っている」と一言伝えてみてください。そこから新しい解決の扉が開くはずです。あなたの明日が、より穏やかで安心できるものになるよう応援しています。

鈴木 美咲

鈴木 美咲

すずき みさき42
担当📚 実務経験 15
🎯 相談支援🎯 当事者・家族支援

📜 保有資格:
社会福祉士、相談支援専門員

相談支援専門員として15年、障害のある方とそのご家族の「困った」に寄り添ってきました。実際の相談事例をもとに、当事者やご家族のリアルな声、具体的な解決策をお届けします。「一人で悩まないで」がモットーです。

社会福祉士として障害者相談支援事業所に勤務し15年。年間約100件の相談に対応し、サービス等利用計画の作成や、関係機関との調整を行っています。この仕事の魅力は、「困っている」状態から「解決した!」という笑顔に変わる瞬間に立ち会えること。ただし、制度が複雑で「どこに相談すればいいか分からない」という声を本当によく聞きます。特に印象深いのは、お子さんの障害を受け入れられず孤立していたお母さんが、同じ境遇の親の会に繋がり、「一人じゃないと分かって救われた」と涙ながらに話してくださったこと。情報と繋がりの大切さを実感しました。記事では、実際の相談事例(もちろん個人情報は特定できないよう配慮)をベースに、「こんなとき、どうすればいい?」という疑問に答えていきます。

もっと詳しく

💭 福祉の道を選んだ理由

大学のボランティアで障害のある方と出会い、「困っている」を「解決した!」に変える仕事がしたいと思ったことがきっかけです。

✨ 印象に残っている出来事

孤立していたお母さんが、親の会に繋がり「一人じゃないと分かって救われた」と話してくださったこと。

✍️ 記事を書く上で大切にしていること

実際の相談事例をもとに、「こんなとき、どうすればいい?」という疑問に答えることを大切にしています。

🎨 趣味・特技

ヨガ、カフェ巡り

🔍 最近気になっているテーマ

ヤングケアラー支援、家族のレスパイトケア

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