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障害者手帳で受けられる公共住宅優遇制度まとめ

📖 約27✍️ 原田 彩
障害者手帳で受けられる公共住宅優遇制度まとめ
障害者手帳を持つ方は、公営住宅やUR賃貸住宅で手厚い優遇制度を受けられる。公営住宅では、所得基準の緩和、家賃の特別減額、そして競争率の低い優先入居枠が設けられており、特にバリアフリー仕様の物件を狙うのが賢明である。UR賃貸住宅では、連帯保証人が不要であり、礼金・仲介手数料もかからないため初期費用を大幅に軽減できるほか、一定期間の家賃減額制度も適用される。制度活用を成功させるには、自治体ごとの募集期間と申込資格を正確に把握し、住宅供給公社や相談支援専門員と連携して、入居後の福祉サービス利用体制も同時に計画することが不可欠である。

「障害があっても、経済的な負担が少なく、安心して暮らせる住まいを見つけたい」という願いは、障害を持つ方やそのご家族にとって共通のものです。特に、家賃の安い公営住宅(市営・県営住宅)UR賃貸住宅といった公共の住宅は、その安定した住環境と低廉な家賃から、非常に有力な選択肢となります。

しかし、「障害者手帳を持っていると、具体的にどのような優遇が受けられるのか」「どうすれば競争率の高い公共住宅に入居できるのか」といった、具体的な制度活用方法について、情報が複雑で分かりにくいと感じていませんか。

この記事では、身体障害者手帳、療育手帳(愛の手帳など)、精神障害者保健福祉手帳を持つ方が受けられる、公共住宅に関する3つの主要な優遇制度を、具体的な応募方法や注意点と併せて詳しく解説します。制度を正しく理解し、入居のチャンスを広げ、安心して暮らせる住まいを見つけるための一歩を踏み出しましょう。


柱1:公営住宅の優遇制度(家賃優遇・優先入居)

制度①:所得基準の緩和措置と家賃減額

公営住宅(市営・県営住宅)の最大の魅力は、世帯の所得に応じて家賃が決定され、民間住宅に比べて家賃が非常に安く設定されている点です。障害者手帳を持つ世帯には、この所得基準に関して特別な緩和措置が設けられています。

  • 所得基準の緩和:公営住宅の申込資格となる所得の上限額が、一般世帯よりも高く設定される特例があります。これにより、障害年金や就労収入がある世帯でも、より入居しやすくなります。
  • 特別減額措置重度(1級・2級など)の障害者がいる世帯に対しては、さらに家賃が減額される措置が設けられている自治体が多くあります。これは、医療費や介護費用など、障害に関する支出が多い世帯への経済的な配慮です。
  • 裁量階層制度:障害者世帯は「裁量階層」として認定され、一般の入居基準よりも優遇された家賃設定が適用されることが多く、長期的な生活の安定に繋がります。

所得の算定は複雑であるため、手帳の種類や等級によって適用される緩和措置が異なりますので、必ず自治体の住宅供給課に確認しましょう。

制度②:競争率を避ける「優先入居枠・特別枠」

公営住宅は家賃が安いため、一般の競争率は非常に高いのが実情です。しかし、障害者手帳を持つ世帯には、一般の抽選とは別の「優先入居枠」「特別募集枠」が設けられています。

  1. 特定目的住宅車椅子対応エレベーター付きなど、バリアフリーに特化した住宅が、身体障害者専用の枠として募集されることがあります。これらの住宅は、最初から住環境が整っているため、入居後の改修費用を抑えられます。
  2. 常時募集:一般世帯の募集は年数回に限定されますが、障害者や高齢者などの特定世帯に対しては、空き家が発生次第、随時募集を行う「常時募集」制度を設けている自治体もあります。
  3. 当選確率の優遇:自治体によっては、一般の抽選でも障害者世帯の当選確率を上げる(例:当選倍率を2倍にする)といった優遇措置を設けている場合があります。

この優先入居枠は、待機期間の短縮に直結しますので、募集情報を見逃さないよう、常に自治体の広報誌やホームページをチェックすることが成功の鍵です。

制度③:緊急時の「緊急入居制度」

火災や天災、あるいはDVや虐待からの避難など、緊急性の高い理由で住居を失った障害者世帯に対しては、通常の手続きを経ずに公営住宅に入居できる「緊急入居制度」が適用される場合があります。

これは、「住居の確保が生命や健康に直結する」と判断されるケースに適用されるものです。例えば、重度の身体障害があり、現在の住居で直ちにバリアフリー環境が必要な場合なども、緊急性が認められることがあります。まずは、社会福祉協議会自治体の障害福祉担当課に状況を説明し、相談してみましょう。

💡 ポイント

公営住宅の優遇制度は、自治体(市区町村や都道府県)によって内容が大きく異なります。お住まいの地域、または転居を希望する地域の住宅供給公社や市役所・区役所に直接問い合わせることが、最新かつ正確な情報を得るための最善の方法です。


柱2:UR賃貸住宅の優遇制度(家賃補助・保証人不要)

制度④:初期費用を軽減する「URの家賃補助」

UR賃貸住宅(都市再生機構が管理する賃貸住宅)は、公営住宅に比べて家賃は高めですが、保証人が不要であることや、礼金・仲介手数料が不要である点が大きなメリットです。障害者手帳を持つ世帯には、家賃負担を軽減する特別な制度が用意されています。

  • 家賃の減額制度:一定の所得基準を満たす障害者世帯に対して、家賃が一定期間(例:5年間)にわたって減額される制度が設けられています。これは、入居初期の経済的な負担を大きく軽減してくれます。
  • フリーレントの適用:キャンペーン期間中には、特定の住宅に限り、一定期間の家賃が無料になる「フリーレント」制度が適用されることがあります。障害者世帯向けの募集期間と重なるか確認してみましょう。

UR賃貸住宅の優遇は、所得制限や入居資格が公営住宅とは異なる基準で定められています。URの営業窓口やホームページで、「福祉優遇制度」の詳細を確認しましょう。

制度⑤:入居のハードルを下げる「保証人不要」と「審査の配慮」

民間の賃貸住宅では、障害を理由に契約を断られたり、連帯保証人を求められたりするケースがありますが、UR賃貸住宅は、その公共性の高さから、このような入居のハードルが非常に低いことが特徴です。

  1. 連帯保証人不要:UR賃貸住宅は、すべての入居者に対して連帯保証人を求めていません。これは、保証人を見つけることが難しい障害者世帯にとって、最大のメリットと言えます。
  2. 福祉的な配慮:入居審査において、障害者手帳を持つ方に対しては、生活状況や支援体制を総合的に考慮し、福祉的な観点から配慮が行われる場合があります。
  3. 初期費用の軽減:前述の通り、敷金(家賃の2ヶ月分)は必要ですが、礼金や仲介手数料、更新料が一切かからないため、入居時の初期費用が大幅に抑えられます

UR賃貸住宅は、入居後の生活の自由度も高いため、地域での自立を目指す障害を持つ方にとって、非常に魅力的な選択肢です。

制度⑥:UR団地内の「集会所等の福祉利用」優遇

UR賃貸住宅の団地内には、集会所や共用スペースが設けられています。障害者手帳を持つ方を対象とした福祉的な活動を行う場合、これらのスペースを優先的かつ低料金で利用できる優遇制度がある場合があります。

例えば、地域生活支援拠点としての活動や、障害者向けのサロン活動などを団地内で展開する際に、この優遇制度が活用できます。単なる住居としてだけでなく、地域コミュニティへの参加を促す機能としてもUR賃貸住宅は優れています。

✅ 成功のコツ

公営住宅もUR賃貸住宅も、「バリアフリー仕様」の物件を優先的に狙いましょう。一般の物件に入居した後、自己負担で改修するよりも、最初から手すりや段差解消が施されている物件を選ぶ方が、費用と時間の節約になります。


柱3:制度活用で押さえるべき重要ポイント

ポイント⑦:最も重要な「募集期間と申込資格」

公共住宅の優遇制度を活かすためには、募集期間とご自身の申込資格を正確に把握することが最も重要です。

  • 公営住宅募集期間は年に数回(例:春・秋)に限定されていることが多く、募集が始まる前に、広報誌で優遇枠の有無を確認し、必要書類を準備しておく必要があります。
  • UR賃貸住宅:優遇制度の対象となる住宅は、随時入居者を募集していることが多いですが、家賃減額の特例などには申請期限が設けられている場合があるため注意が必要です。
  • 障害者手帳の等級:優遇の対象となる障害者手帳の種類(身体・療育・精神)や等級(1級~4級など)によって、申込資格や優遇の度合いが細かく分かれています。ご自身の現在の等級を確認しましょう。

申込資格は、「現在、持ち家がないこと」「世帯で入居すること」など、共通の要件もありますので、募集要項を隅々まで読み込むことが不可欠です。

ポイント⑧:入居後の「障害者総合支援法との併用」

公営住宅やUR賃貸住宅に入居した後も、障害者総合支援法に基づくサービス(居宅介護、重度訪問介護など)は、引き続き利用可能です。住宅の確保と、日々の生活支援は別の制度として考えることができます。

しかし、入居する住宅の立地によっては、利用できる訪問介護事業所が限られたり、通所施設へのアクセスが悪くなったりする可能性があります。新しい住まいを決める際は、必ず相談支援専門員と連携し、「住まいの環境と福祉サービスの利用が両立できるか」を事前に検討しましょう。

特に、グループホームから公営住宅への移行を検討する場合は、生活支援の量や質が大きく変わる可能性があるため、綿密な計画が必要です。

ポイント⑨:相談窓口と連携のススメ

公共住宅への入居を成功させるためには、一人で情報を集めるのではなく、専門機関と積極的に連携することが重要です。

主な相談先は以下の通りです。

  1. 自治体の住宅供給公社・住宅課:優遇制度の具体的な内容、最新の募集状況、申込書類について、最も正確な情報を提供してくれます。
  2. 福祉住環境コーディネーター:バリアフリー仕様の物件を選ぶ際や、入居後の簡単な改修のアドバイスをしてくれます。
  3. 相談支援専門員・社会福祉協議会入居の必要性福祉サービスとの組み合わせについて、総合的なアドバイスを提供してくれます。

これらの専門家とチームを組むことで、見落としや手続きのミスを防ぎ、公共住宅への入居をスムーズに進めることができます。


まとめ

障害者手帳を持つ方は、公営住宅やUR賃貸住宅において、非常に手厚い優遇制度を受けることができます。公営住宅では所得基準の緩和、家賃減額、優先入居枠が、UR賃貸住宅では家賃補助、保証人不要、初期費用の軽減が大きな魅力です。

制度を最大限に活用するためには、自治体ごとの違いを理解し、募集期間を逃さず申し込むことが不可欠です。また、入居後も障害者総合支援法のサービスが継続できるよう、相談支援専門員と連携しながら、住まいと福祉サービスの両面から安定した生活基盤を構築しましょう。

まとめ

  • 公営住宅では、所得基準の緩和家賃の特別減額障害者専用の優先入居枠を必ず確認しましょう。
  • UR賃貸住宅は、保証人不要家賃補助制度があり、初期費用や手続きの負担が少ないのが特徴です。
  • 優遇制度の活用には、募集要項の正確な把握と、住宅供給公社、相談支援専門員との連携が成功の鍵です。

原田 彩

原田 彩

はらだ あや35
担当📚 実務経験 10
🎯 地域情報🎯 バリアフリー

📜 保有資格:
社会福祉士、相談支援専門員

相談支援専門員として10年、地域の福祉資源の発掘と繋ぎに力を入れています。「この街で暮らす」を支えるために、施設情報だけでなく、バリアフリースポットや割引施設など、生活を豊かにする地域情報をお届けします。

大学で福祉を学び、卒業後は地域の相談支援事業所に就職。当初は「障害福祉サービス」だけが支援だと思っていましたが、地域の中には使える資源がたくさんあることに気づきました。例えば、障害者割引が使える映画館、バリアフリー対応のカフェ、当事者の方が集まれるコミュニティスペースなど。こういった情報を知っているかどうかで、生活の質が大きく変わります。特に印象的だったのは、引きこもりがちだった方が、近所のバリアフリー図書館を知り、そこで読書会に参加するようになったこと。「外に出るのが楽しくなった」と言ってくださいました。記事では、すぐサポの26万件の施設データベースを活用しながら、地域ごとの福祉サービスの特徴や、知って得する地域情報をお伝えします。

もっと詳しく

💭 福祉の道を選んだ理由

大学で福祉を学び、地域の中に使える資源がたくさんあることに気づいたことがきっかけです。

✨ 印象に残っている出来事

引きこもりがちだった方が、バリアフリー図書館を知り、読書会に参加するようになったこと。

✍️ 記事を書く上で大切にしていること

すぐサポの施設データベースを活用し、地域ごとの特徴や知って得する情報を発信します。

🎨 趣味・特技

街歩き、写真撮影

🔍 最近気になっているテーマ

インクルーシブな街づくり、ユニバーサルデザイン

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