食費・光熱費を節約するための実践アイデア

食費・光熱費を節約するための実践アイデア
日々の生活費を抑えて家計を安定させる
障害を持つ方やそのご家族、支援者の皆さまにとって、毎月の食費や光熱費といった変動費の管理は、生活の安定に直結する重要な課題です。障害年金や限られた収入で生活する場合、これらの費用をいかに抑えるかが、経済的なゆとりを生み出す鍵となります。
特に食費は、体調管理のための栄養バランスも考慮する必要があり、ただ安くすれば良いというわけではありません。また、光熱費は、病状によってはエアコンの使用を我慢できないなど、節約が難しい側面もあります。
この記事では、健康と快適さを維持しながら、食費と光熱費を効果的に節約するための具体的な実践アイデアと、利用できる公的支援制度を詳しくご紹介します。今日から始められる小さな工夫を積み重ねて、家計を安定させましょう。
食費節約の基本戦略:買い物・献立編
食費の「見える化」と予算設定
食費を節約するための第一歩は、現在の支出状況を正確に把握すること、すなわち「見える化」です。何にどれだけ使っているのかが分からなければ、どこから手をつければ良いのかわかりません。
まずは、1ヶ月間の食費のレシートを集めるか、家計簿アプリなどを利用して、「スーパーでの買い物」「外食」「コンビニ・テイクアウト」の3つに分けて支出額を記録してみましょう。次に、現実的に削減可能な目標額を設定します。例えば、「現在の食費から10%削減する」といった目標です。
変動費を管理する仕組みづくり
食費は変動しやすいため、予算オーバーを防ぐための仕組みづくりが大切です。週ごとに予算を設け、現金で管理する「袋分け管理」や、食費専用のデビットカードやプリペイドカードを利用する方法も有効です。予算内で生活する習慣をつけましょう。
- 週予算の設定: 1ヶ月の食費予算を4週または5週で均等に割り、毎週使える金額を決める。
- 食費専用財布の用意: 食材や日用品の買い物は必ずこの財布から支払い、残額を意識する。
買い物の前の「献立計画」
食費を最も無駄なく抑えるコツは、衝動買いや無計画な買い物をなくすことです。そのために、買い物に行く前に「一週間分の献立」を立てましょう。献立を立てることで、必要な食材だけをリストアップでき、冷蔵庫に余計な食材が増えるのを防げます。
献立を立てる際は、「月曜日は鶏むね肉、火曜日は魚の缶詰」など、安い食材や、特売になりやすい食材を軸に考えると効率的です。また、食材を使い回すメニューを組み込むことで、さらに無駄が減ります。
✅ 成功のコツ
献立計画では、体調の波を考慮に入れることが大切です。体調の良い日にまとめて下ごしらえや作り置きができるメニューを、体調の悪い日はレトルトや冷凍食品を活用する日として組み込みましょう。
買い物時の節約術
スーパーでの買い物には、以下の節約テクニックを実践しましょう。
- 買い物リストの厳守: 献立に基づいて作成したリスト以外のものは買わないと強く決意する。
- 特売日・夕方の活用: 新聞のチラシやスマートフォンのアプリで特売情報をチェックし、まとめ買いする。夕方以降は生鮮食品が値引きされることが多いです。
- 底値の把握: よく使う食材(卵、牛乳、米など)の最も安い価格(底値)を把握しておくと、本当に安い時だけ購入できるようになります。
- プライベートブランドの活用: スーパー独自のプライベートブランド商品は、品質を保ちながらもメーカー品より安価なことが多いため、積極的に利用しましょう。
食費節約の実践アイデア:調理・保存編
「作り置き」で時間と費用の両方を節約
障害や病状によっては、毎日長時間立って調理することが難しい場合があります。そんな時こそ「作り置き」を積極的に活用しましょう。作り置きは、食費節約と体調の安定に大きく貢献します。
体調の良い週末などに、まとめて調理や下ごしらえを済ませておくことで、平日は電子レンジで温めるだけ、あるいは簡単な調理を加えるだけで済むようになります。これにより、コンビニや外食に頼る頻度が劇的に減ります。
作り置きにおすすめの食材とメニュー
- 安い食材の活用: 鶏むね肉、卵、豆腐、もやし、きのこ類など、安価で栄養価の高い食材を多用する。
- メニュー例: ひじきの煮物、きんぴらごぼうなどの和惣菜、具沢山の味噌汁(冷凍可)、カレーやシチューなど煮込み料理。
- 下ごしらえ: 肉をカットして下味をつけて冷凍、野菜をカットして保存袋に入れるなど、調理の工程を簡略化しておく。
賢い冷凍保存術
食材を無駄なく使い切るためには、冷凍保存術が不可欠です。購入した食材を新鮮なうちにすぐに冷凍することで、食品ロスを防ぎ、食費を節約できます。
例えば、野菜の切れ端や肉のパックをそのまま冷蔵庫に入れっぱなしにするのではなく、買ってきたその日のうちに使いやすい量に分けて冷凍しましょう。特に、ネギ、キノコ、生姜、挽き肉などは冷凍しても品質が落ちにくいのでおすすめです。
💡 ポイント
ご飯(白米)も、炊き立てをすぐに一食分ずつラップに包んで冷凍保存しておくと便利です。電子レンジで温め直せば、いつでも美味しいご飯が食べられ、炊飯器の保温電気代も節約できます。
公的支援・割引制度の活用
食費を直接的に支援する公的制度は少ないですが、利用できる地域の支援や割引を活用しましょう。
- フードバンク・フードパントリー: 経済的に困窮している世帯に対し、食品を無償で提供してくれるNPOや社会福祉協議会が運営する活動です。利用に抵抗を感じるかもしれませんが、生活再建のための支援と考えましょう。
- 子ども食堂: 子どもだけでなく、地域全体に安価または無料で食事を提供している場所もあります。地域の社会福祉協議会などに問い合わせてみましょう。
- 宅配サービスの活用: 体調不良や移動の困難さでスーパーに行けない場合、食材宅配サービスを利用することがあります。初回限定の割引や、自治体によっては高齢者・障害者向けの宅配費用助成があるか確認しましょう。
光熱費節約の基本戦略:電力会社・契約編
電力会社・ガス会社の徹底的な見直し
光熱費の節約は、日々の使用量を減らす努力も大切ですが、それ以前に契約している電力会社・ガス会社を見直すことが、最も簡単かつ効果の大きい節約法です。
2016年以降、電力とガスは自由化されており、様々な会社が独自の料金プランを提供しています。ご自身の生活スタイル(日中に家にいることが多い、夜間だけ電気を多く使うなど)に合わせて、最も安くなる会社とプランに乗り換えましょう。
プラン選びの具体的な基準
- セット割: 携帯電話やインターネット回線と電気・ガスをセットで契約することで、割引が適用されるプランを選びましょう。
- 時間帯別料金: 日中は家にいないなど、電気を使う時間が偏っている場合は、夜間や休日の料金が安くなるプランを選ぶと効果的です。
- 基本料金が安いプラン: あまり電気を使わない月がある場合は、基本料金が0円または低額なプランを選ぶと良いでしょう。
⚠️ 注意
乗り換えの際には、契約解除料や、オール電化住宅の場合は専用プランがあるかなど、細かな契約条件を必ず確認しましょう。乗り換え後に逆に高くなるリスクを避ける必要があります。
省エネ家電への切り替えと公的補助
古い家電製品は、最新のモデルに比べて消費電力が大きい傾向があります。特に冷蔵庫、エアコン、照明といった使用頻度の高い家電を省エネ性能の高いものに買い替えることは、長期的に見て大きな節約につながります。
例えば、10年前の冷蔵庫を最新のモデルに買い替えるだけで、年間数千円~1万円以上の電気代を節約できるデータもあります。初期費用はかかりますが、電気代の削減効果で数年以内に元が取れる場合が多いです。
自治体の補助金制度の活用
省エネ家電の購入に対して、自治体が独自の補助金制度を設けている場合があります。特に、低所得者や障害者世帯向けに、エアコンや冷蔵庫の買い替え費用を補助する制度がないか、お住まいの地域の役場に問い合わせてみましょう。
補助金や助成金を利用することで、初期費用の負担を大きく軽減でき、乗り換えをスムーズに行うことができます。
光熱費節約の実践アイデア:日々の工夫編
エアコン・暖房費の賢い節約術
体調管理のため、エアコンや暖房器具の使用は欠かせません。我慢して体調を崩してしまっては、医療費が増え、本末転倒です。以下の工夫で、快適さを保ちながら節約しましょう。
- 設定温度の見直し: 環境省は、暖房は20℃、冷房は28℃を推奨していますが、ご自身の体調に合わせて無理のない範囲で調整しましょう。設定温度を1℃変えるだけで、電気代は10%程度変わると言われています。
- 断熱性の向上: 窓に断熱シートを貼る、厚手のカーテンやブラインドを活用する、ドアや窓の隙間テープを貼るなど、外の熱を遮断・室内の熱を逃がさない工夫を徹底します。
- 補助器具の活用: エアコンと同時にサーキュレーターや扇風機を使って空気を循環させると、効率よく部屋全体を暖めたり冷やしたりできます。
その他の日々の節約習慣
小さな習慣の積み重ねが、大きな節約につながります。
- 照明のLED化: 照明器具を全てLEDに交換しましょう。消費電力が非常に低く、寿命も長いため、すぐに元が取れます。
- 待機電力のカット: テレビ、パソコン、充電器など、コンセントに差し込んだままの待機電力をカットするために、主電源スイッチ付きの延長コードを活用しましょう。使用しない時はスイッチをオフにする習慣をつけます。
- お風呂の保温: お風呂の追い焚きや給湯はガス代・電気代がかかります。家族がいる場合は間隔を空けずに入浴する、蓋をしっかり閉めて保温するなど、無駄な加熱を減らしましょう。
⚠️ 注意
光熱費節約のために、体調に悪影響が出るほどの過度な我慢は絶対に避けましょう。特に冬季の暖房は、命にかかわる場合があります。節約は、健康と安全が確保された上で行うことが大前提です。
よくある質問と相談窓口
Q1. 節約のために自炊をしたいけど、体調的に難しいです。どうすればいいですか?
A. 障害や病状によっては、調理そのものが負担となることがあります。その場合は、無理に自炊にこだわらず、以下の方法で「準自炊」を検討しましょう。
- 冷凍弁当の活用: 栄養士が監修した冷凍弁当サービスを利用する。割高に感じますが、外食やコンビニ食より安く、栄養バランスが良いため、トータルで見ると食費と健康維持の費用を節約できる場合があります。
- カット野菜の利用: 野菜の皮むきやカットを済ませたパックを利用することで、調理の手間を大幅に減らせます。
- 配食サービス: 自治体や社会福祉協議会が高齢者・障害者向けに行っている配食サービスは、安価で栄養バランスの良い食事を自宅まで届けてくれます。
Q2. 光熱費の契約を見直したいが、手続きが複雑で不安です。
A. 電力会社やガス会社の乗り換え手続きは、確かに複雑に感じるかもしれません。一人で手続きを行うのが難しい場合は、以下の支援機関に相談してみましょう。
- 障害者就労・生活支援センター:生活全般の相談に乗ってくれるため、具体的な乗り換え手続きのサポートや、専門知識を持つ人を紹介してくれる場合があります。
- 地域の民生委員:民生委員は地域の福祉活動に携わっており、行政サービスや手続きに関する相談に乗ってくれることがあります。
最近は、電力・ガスの料金比較サイトも多くありますので、まずはサイトでシミュレーションを行い、ご自身の利用状況に合ったプランの候補を絞ることから始めてみましょう。
Q3. 節約がストレスになってしまいます。
A. 節約は長期戦です。完璧を目指すと疲れてしまい、かえってストレスで体調を崩す可能性があります。以下の考え方で、適度にリラックスしながら続けましょう。
- 「メリハリ」をつける: 毎日完璧な自炊をするのではなく、週に一度は外食や好きなものを買う「ご褒美デー」を設けるなど、メリハリをつけることが大切です。
- 固定費から見直す: 食費のような変動費を毎日気にするよりも、通信費や電力会社といった固定費の見直しを優先しましょう。一度見直せば、自動的に節約効果が続きます。
まとめ
食費と光熱費は、工夫次第で必ず節約できる費用です。食費については、献立計画と作り置きを基本とし、体調に合わせた無理のない自炊を心がけることが大切です。光熱費については、まず電力会社・ガス会社の契約を徹底的に見直し、さらにエアコンや照明の賢い使い方で、快適さを保ちながら支出を減らしましょう。
節約は、生活を豊かにし、将来の経済的な不安を減らすための大切な行動です。一人で頑張りすぎず、ご紹介した支援やアイデアを柔軟に取り入れ、健康で安定した生活を目指しましょう。
まとめ
- 食費節約は、予算設定、献立計画、作り置きの3つの基本戦略を徹底する。
- 光熱費は、電力・ガス会社の契約見直しや省エネ家電への切り替えが最も効果的である。
- エアコンなどの暖房費は、断熱性の向上や補助器具の活用で賢く節約する。
- 節約が体調を崩す原因にならないよう、無理のない範囲で行い、公的支援を頼る。

金子 匠
(かねこ たくみ)55歳📜 保有資格:
社会福祉士、精神保健福祉士
障害者支援施設で30年間勤務し、施設長を経験。現在はすぐサポ編集長として、障害のある方とご家族が必要な情報にアクセスできる環境づくりに取り組んでいます。「制度は複雑だけど、使えば生活が楽になる」という信念のもと、分かりやすい情報発信を心がけています。
大学卒業後、障害者支援施設に就職し、30年間にわたり現場で支援に携わってきました。生活支援員として10年、サービス管理責任者として15年、そして施設長として5年の経験があります。特に印象に残っているのは、重度の知的障害があり、施設入所が当然と思われていた方が、適切な支援と環境調整により地域での一人暮らしを実現したケースです。「できない」と決めつけず、その人に合った支援を考えることの大切さを学びました。現在は現場を離れ、すぐサポの編集長として、これまでの経験を記事という形で多くの方に届けることをミッションとしています。制度や法律の解説記事では、「専門用語を使わず、中学生でも分かる言葉で」を心がけています。
もっと詳しく▼
💭 福祉の道を選んだ理由
大学で社会福祉を学び、実習で出会った利用者の方々の笑顔に感動したことがきっかけです。
✨ 印象に残っている出来事
重度の知的障害のある方が、適切な支援により地域での一人暮らしを実現したこと。
✍️ 記事を書く上で大切にしていること
専門用語を使わず、中学生でも分かる言葉で伝えることを大切にしています。
🎨 趣味・特技
読書、散歩
🔍 最近気になっているテーマ
障害者総合支援法の改正動向、ICTを活用した新しい支援の形





