専門学校で学べる分野と支援体制を紹介

就職に直結!専門学校で「好き」を仕事にするための分野選びと支援体制を徹底解説
高校卒業後の進路として、大学だけでなく専門学校も視野に入れているけれど、「専門学校で自分の特性に合った分野が見つかるだろうか」「発達障害や身体障害があっても、必要な支援を受けながら卒業できるだろうか」といった不安や疑問を抱えている保護者の方やご本人も多いのではないでしょうか。
専門学校は、特定の職業に直結する知識や技術を集中的に学ぶ場所であり、実習や実技が多いことから、大学の理論中心の学びよりも集中力や得意な特性を活かしやすいというメリットがあります。特に発達障害(ASD、ADHD)などで特定の分野に強いこだわりや才能を持つ子どもにとって、専門性を追求できる最高の環境となり得ます。
この記事では、障害のある学生が専門学校で成功するために、どのような分野が向いているのか、また、大学と専門学校では合理的配慮の提供体制にどのような違いがあるのかを詳細に解説します。さらに、入学前に学校に相談すべき具体的なチェック項目や、卒業後の就職までを見据えた支援の活用戦略についても掘り下げます。
この記事を最後までお読みいただくことで、専門学校という進路を現実的な選択肢として捉え、お子さんが将来「好き」を仕事にできるよう、適切な学校と支援を見つけるための確かな知識を得ることができます。
専門学校と大学の違い:特性を活かせる学びの構造
専門学校は、大学とは教育の目的やカリキュラムの構成が大きく異なります。この構造の違いが、障害のある学生にとって適応しやすい理由となることがあります。
1. 専門学校の教育理念と実学志向
専門学校は「職業に必要な能力を育成する」ことを目的としており、授業の約80%が実習や実技といった専門分野に特化しています。これは、抽象的な概念や理論の理解が苦手な発達障害の学生にとって大きなメリットです。
- 実践的な学び:座学が少ないため、ADHDなどで長時間集中が難しい学生でも、実技を通して集中力を発揮しやすいです。
- 具体的な目標:「この技術を習得すれば、この仕事ができる」という具体的な目標が明確なため、ASDで見通しを重視する学生にとって学習意欲を維持しやすい構造です。
- クラスの規模:大学の一般教養のような大規模な講義が少なく、教員と学生の距離が近いため、きめ細やかな指導を受けやすい環境です。
大学進学で一般教養の単位を取得するのに苦労するよりも、専門学校で好きな分野に没頭する方が、結果的に卒業と就職に繋がりやすい場合があります。
2. 資格・就職への直結度合い
専門学校は、卒業と同時に国家資格の受験資格を得られるなど、就職との結びつきが非常に強いのが特徴です。これは、就職活動に苦手意識を持つ障害のある学生にとって大きな強みとなります。
- 資格の取得:理学療法士、美容師、調理師、ITエンジニアなど、資格が職業の保証となる分野が多く、特性を活かした就労を後押しします。
- 就職サポート:専門学校は業界とのパイプが太く、実践的な就職指導(履歴書添削、面接練習)や企業紹介が手厚い傾向にあります。
専門分野に特化することで、大学のような幅広い知識は得られないかもしれませんが、卒業後すぐに社会で活躍するための即戦力を身につけることができます。
3. 大学との「合理的配慮」提供体制の違い
障害者差別解消法に基づき、大学も専門学校も合理的配慮を提供する義務がありますが、体制には違いがあります。
| 項目 | 大学 | 専門学校 |
|---|---|---|
| 配慮の窓口 | 障害学生支援室(専門部署) | 教務課、担任、キャリアセンター(専門部署がない場合が多い) |
| 配慮の内容 | 学問全般、研究、キャンパス生活まで広範囲 | 実習、資格取得、就職活動に特化 |
| 教員の理解度 | 専門部署以外はバラつきがある | 学生との距離が近いため、個別の理解が進みやすい場合がある |
専門学校は、専門の支援部署がない分、教員一人ひとりが学生の特性を理解し、個別に対応する姿勢が求められます。そのため、学校の理念や教員の熱意が非常に重要になります。
💡 ポイント
専門学校の多くは実習・実技の出席率が厳しく、欠席が単位取得に直結します。体調管理が極度に難しい場合は、実習スケジュールの調整や振替実習の仕組みを入学前に確認することが重要です。
障害特性別:専門学校で向いている分野の紹介
専門学校には多岐にわたる分野がありますが、発達障害(ADHD、ASD、LD)や身体障害などの特性を強みとして活かせる分野を選択することが、就職成功への近道です。
1. ASD(自閉症スペクトラム障害)の特性を活かせる分野
ASDの学生は、強いこだわり、論理的な思考力、集中力といった特性を活かせる分野で能力を発揮しやすいです。これらの分野は、対人コミュニケーションよりもシステムや物との関わりが中心となります。
- IT・プログラミング分野:論理的思考力やパターン認識が必要とされるプログラミングは、ASDの特性を活かしやすいです。システム開発、データ分析、情報処理などを学びます。
- デザイン・クリエイティブ分野:特定のこだわりや視覚的な思考を細部にわたって表現できるグラフィックデザイン、イラストレーション、Webデザインなど。
- 専門技術分野:自動車整備士、電気工事士など、手順やマニュアルが明確で、手先の器用さが求められる技術職。
2. ADHD(注意欠如・多動症)の特性を活かせる分野
ADHDの学生は、高い行動力、発想力、エネルギッシュといった特性を活かせる、変化が多く刺激的な環境が向いている場合があります。
- エンターテイメント・イベント分野:常に新しいアイデアや動きが求められるゲーム制作、イベント企画、映像制作など。興味の対象に集中しやすい「過集中」の強みを活かせます。
- スポーツ・健康分野:体を動かすことが多く、座学が少ないスポーツトレーナー、インストラクターなど。
- サービス・ホスピタリティ分野:動きが多く、対人スキルが実践的に求められるホテル、旅行など。(ただし、対人関係の苦手さを克服できることが前提)
3. LD(学習障害)や身体障害を補える分野
LDで読み書きに困難がある場合や、身体障害で移動に制約がある場合、必要な配慮を前提に強みを活かせる分野を選びます。
- 福祉・医療分野:介護福祉士、作業療法士、理学療法士など。これらの分野は、人の役に立ちたいという奉仕の精神や対人援助スキルが活かせます。ただし、実習における体力的・時間的負担や筆記試験の配慮が必要です。
- 美術・工芸分野:読み書きではなく非言語的な表現で能力を発揮できる彫金、陶芸、特殊メイクなど。
分野選びは、単に特性を避けるだけでなく、「その特性を、どうしたら仕事の強みとして活かせるか」という前向きな視点で検討することが大切です。
⚠️ 注意
医療・福祉系の専門学校で国家資格を目指す場合、実習が非常に長く、時間的な融通が効きにくい場合が多いです。体力の維持や長時間の集中が難しい特性がある場合は、学校側と実習の期間や方法について個別相談を徹底してください。
専門学校の合理的配慮:入学前の相談と準備
専門学校で適切な支援を受け、無事に卒業するためには、入学前の準備と学校への開示(ディスクロージャー)が極めて重要です。入学後に困りごとが発生してからでは対応が遅れることがあります。
1. 早期の個別相談と情報開示の重要性
専門学校の入試は大学入試よりも早く、AO入試などで夏頃から始まることがあります。配慮の相談もその時期に合わせて早期に行いましょう。
- 相談窓口の特定:入試担当ではなく、教務、学生支援、または担任になるであろう担当者に直接相談できる機会を設けてもらう。
- 開示する情報:医師の診断書、発達検査の結果(WISCなど)、高校での支援実績(IIP)を全て提示し、「どんな配慮が必要か」を具体的に伝えます。
学校に情報を開示することで、学校は入学までに支援体制を準備できますし、学生側も「この学校なら支援を受けられる」という安心感を得られます。
2. 専門学校で申請できる具体的な配慮例
大学とは異なり、専門学校の配慮は実習や資格に重点が置かれます。
- 学習面:板書が苦手な場合の資料の事前配布、試験時間延長、別室での受験など。
- 実習・実技面:人との接触に困難がある場合の実習ペアの固定、体調不良による実習スケジュールの柔軟な調整、指示を図や写真で視覚化する支援など。
- 環境面:感覚過敏に対応するための教室の座席の配慮、休憩場所の確保など。
求める配慮は、「学業の公平性」を保つための調整であり、「優遇」ではないことを学校と共有し、実現可能性を確認しましょう。
3. 配慮の可否を判断するチェックリスト
専門学校の支援体制を見極めるために、個別相談で以下の項目をチェックしましょう。
- 過去の支援実績:過去に発達障害や身体障害の学生を受け入れた実績と、具体的な卒業・就職実績があるか。
- 支援体制の明確さ:支援計画を作成する専任の担当者がいるか。いない場合、誰が責任を持つか。
- 就職支援との連携:障害の特性を理解した上で、就職活動をサポートする体制があるか。
「できる限り配慮します」といった曖昧な回答ではなく、「〇〇という配慮ならできます」という具体的な回答を引き出すことが大切です。
✅ 成功のコツ
専門学校の個別相談には、福祉機関(発達障害者支援センターなど)の支援者に同行してもらうことを検討しましょう。専門家が第三者の視点から学校の体制をチェックし、必要な配慮を専門用語で学校側に正確に伝えることができます。
卒業後の就職を見据えた専門学校の活用戦略
専門学校の最大の目標は「就職」です。障害のある学生が卒業後も安定して働くために、学校の支援と外部の福祉サービスを連携させる戦略が不可欠です。
1. キャリアセンターと福祉サービスの連携
専門学校のキャリアセンターは一般の学生への就職支援がメインですが、障害のある学生には特別なサポートが必要です。
- 情報共有:キャリアセンターに対し、障害者手帳の有無、利用可能な就労支援サービス(就労移行支援、ジョブコーチなど)の情報を開示します。
- 連携の依頼:学校のキャリアセンターと、地域障害者職業センターや就労移行支援事業所といった外部の福祉サービスとの連携を依頼します。
専門学校で身につけた専門スキルを、福祉サービスの支援を受けて「障害者雇用枠」や「合理的配慮を前提とした一般雇用枠」に繋げることが理想的です。
2. 資格取得と実習を通じた「職業適性」の確認
専門学校での資格取得や実習は、単にスキルを得るだけでなく、「その職業が自分に向いているか」という適性を見極めるための重要な機会となります。
- 実習での評価:実習先での報告書や評価を基に、「得意な作業、苦手な作業、必要な配慮」を明確にし、就職活動の際の自己PRや企業への情報開示に活かします。
- ジョブコーチの活用:卒業間近の実習先で、ジョブコーチ支援を試験的に導入してもらい、支援があれば安定して働けるという実績を作ることも有効です。
専門学校で得た専門性と、実習で得た職業適性の情報を組み合わせることで、ミスマッチの少ない就職を実現できます。
3. 「障害者雇用枠」への応募と企業との交渉
専門学校卒業後に専門スキルを活かして働く場合、一般雇用だけでなく障害者雇用枠も視野に入れます。企業に対して合理的配慮を求めるための交渉戦略も重要です。
- 自己理解の深さ:「自分の特性で何ができて、何ができないか」を正確に把握し、企業に必要な配慮を具体的に提示する。
- 企業への提案:「読み書きは苦手だが、PCでのデザイン作業なら集中力を維持できる」といった、強みと配慮をセットで提案する。
専門学校の就職指導では困難な交渉の部分は、ハローワークや就労移行支援事業所の担当者に依頼することで、専門的なサポートを受けることができます。
よくある質問(FAQ)と相談窓口
専門学校への進学を検討する際に、よくある質問と、活用できる相談窓口についてお答えします。
Q1. 専門学校の入試に配慮申請はできますか?
A. 専門学校も大学と同様に、入試において合理的配慮を提供する義務があります。試験時間延長、別室受験、マークシートへの配慮などを申請できます。
- 申請方法:入試要項で配慮申請の手続きを確認し、出願前の指定期間内に診断書や支援実績を添えて申請します。公立高校入試よりも学校の裁量が大きいため、事前に個別相談でどこまで可能か確認しておきましょう。
入試で配慮を求めることは、入学後の支援を求める上での第一歩となります。
Q2. 専門学校の卒業率は高いですか?
A. 専門学校の卒業率は全体的に高い傾向にありますが、専門分野によって異なります。特に国家資格を目指す医療系や美容系では、実習の厳しさから留年や退学が生じることがあります。
- 情報収集:オープンキャンパスで在校生や教員に、「進級や卒業の難しさ」について具体的に尋ねてみましょう。入学後に後悔しないよう、厳しさも理解しておくことが大切です。
障害のある学生の場合、適切な配慮が受けられれば、健常の学生と同等かそれ以上の卒業率が期待できます。
Q3. 学費の負担を軽減する制度はありますか?
A. 専門学校でも大学と同様に、国の修学支援新制度(授業料減免と給付型奨学金)の対象となる学校があります。この制度は、住民税非課税世帯などの要件を満たせば利用可能です。
- その他:日本学生支援機構(JASSO)の奨学金制度や、学校独自の特待生制度、地方自治体の奨学金なども検討できます。
専門学校は設備費などで学費が高額になることが多いため、入学前に必ず学校の窓口で利用可能な支援制度について相談しましょう。
相談窓口・参考リンク
専門学校への進学や就職支援に関する専門的な相談は、以下の窓口を活用してください。
- 発達障害者支援センター:お子さんの特性と専門分野の適性について、専門家の立場から助言を受けられます。
- 高等学校の進路指導担当の先生:地域の専門学校の情報や過去の卒業生の実績について確認できます。
- 地域障害者職業センター:専門学校卒業後の就職を見据えて、職業評価や就労支援の計画を相談できます。
まとめ
専門学校は、特定の分野への強いこだわりや実践的な学びを好む障害のある学生にとって、大学よりも適応しやすく、就職に直結する強力な選択肢です。ASDならITやデザイン、ADHDなら変化の多いクリエイティブ系など、特性を強みに変えられる分野を選びましょう。
入学前の個別相談で診断書を開示し、実習ペアの固定、試験時間延長、実習スケジュールの調整といった具体的な配慮を確認することが成功の鍵です。学校のキャリアサポートと外部の就労支援サービスを連携させることで、専門スキルを活かした安定した就労を実現できます。
まとめ
- 専門学校は実習・実技中心の学びであり、ASDの強いこだわりやADHDの行動力など、特性を専門スキルに直結させやすい。
- 入学前に早期に診断書を開示し、実習でのペア固定やスケジュール調整など、具体的かつ実務的な合理的配慮の可否を文書で確認することが重要。
- 卒業後の就職成功のため、学校のキャリアセンターと地域障害者職業センターなどの福祉サービスを連携させ、就労支援の体制を構築する。

伊藤 真由美
(いとう まゆみ)33歳📜 保有資格:
特別支援学校教諭免許、社会福祉士
特別支援学校で5年教員を務めた後、就労継続支援B型事業所で5年勤務。「学校から社会へ」の移行支援と、「自分のペースで働く」を応援します。進路選択や作業所選びの情報をお届けします。
大学で特別支援教育を学び、卒業後は特別支援学校の教員として5年間勤務。知的障害や発達障害のある生徒たちの進路指導を担当する中で、「卒業後の支援」の重要性を痛感しました。そこで教員を辞め、就労継続支援B型事業所に転職。現在は生活支援員として、様々な障害のある方が自分のペースで働く姿を日々見守っています。特に大切にしているのは、「働くことがすべてではない」という視点。一般就労が難しくても、作業所での仕事や日中活動を通じて、生きがいや居場所を見つけることは十分可能です。記事では、特別支援学校卒業後の進路選択、就労継続支援A型・B型の違い、作業所での実際の仕事内容など、「自分らしい働き方・過ごし方」を見つけるための情報を発信します。
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💭 福祉の道を選んだ理由
特別支援教育を学び、「卒業後の支援」の重要性を感じたことがきっかけです。
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「働くことがすべてではない」という視点を大切に、自分らしい過ごし方を見つける情報を発信します。
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