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障害の基礎知識:種類・定義・支援制度を初心者向けに解説

📖 約41✍️ 金子 匠
障害の基礎知識:種類・定義・支援制度を初心者向けに解説
障害についての基礎知識を初心者向けに網羅したガイド記事です。障害を「個人と社会の相互作用」と捉える社会モデルの考え方から、身体・知的・精神(発達)障害の特性、障害者手帳の種類と取得メリット、自立を支える福祉サービスや相談支援事業所の役割までを詳しく解説しています。また、障害年金や医療費助成(自立支援医療)といった経済的支援についても触れ、不安を抱える当事者や家族が「何から始めればよいか」を具体的に提示。専門用語を避け、寄り添うトーンで、社会資源を活用しながら自分らしく暮らすための第一歩を後押しします。

障害の基礎知識:自分らしさを支える種類・定義・支援制度のガイド

自分自身や大切な家族に障害があるかもしれないと気づいた時、あるいは診断を受けた時、多くの方は「これからどうなってしまうのだろう」という漠然とした不安を感じます。世の中には多くの情報が溢れていますが、専門用語が多く、どこから手をつければ良いか分からなくなることもあるでしょう。障害とは、その人の個性の一部であり、適切なサポートがあれば豊かに暮らしていくためのステップに過ぎません。

この記事では、初めて障害について学ぶ方に向けて、日本における障害の定義や種類、そして生活を支えるための基本的な支援制度をわかりやすく解説します。知識を持つことは、不安を安心に変える第一歩です。この記事が、あなたやあなたのご家族が自分らしい未来を描くための地図となることを願っています。

現代における「障害」の考え方

医学モデルと社会モデル

かつて、障害は「その人自身の心身の機能に問題がある」とする医学モデルの視点で語られることが一般的でした。しかし、現代では考え方が大きく進化しています。現在の主流は、障害を「個人と社会の相互作用」として捉える社会モデルという考え方です。

社会モデルでは、例えば車椅子を使っている人が階段の前で立ち止まってしまうのは、その人の足が動かないからではなく、「エレベーターがないという社会の仕組み」に障害があると考えます。この視点を持つことで、私たちは「その人を治す」ことだけでなく、「社会のバリアを取り除く」ことの重要性に気づくことができます。障害は個人の中にあるのではなく、社会との境界線にあるものなのです。

障害者基本法による定義

日本の法律である「障害者基本法」では、障害者を「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)その他の心身の機能の障害がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」と定義しています。ここで注目したいのは、単に身体の不自由さだけでなく、継続的な制限があること、そして社会的障壁が含まれている点です。

この定義は、手帳を持っているかどうかに関わらず、実際に生活に困りごとを抱えている人々を広く支援の対象とするための土台となっています。難病や高次脳機能障害など、外見からは分かりにくい障害についても、この法律の枠組みの中で理解が進んでいます。定義を知ることは、支援を求める正当な権利を確認することでもあるのです。

合理的配慮という考え方

2024年4月から、事業者による合理的配慮の提供が義務化されました。合理的配慮とは、障害のある人が他の人と平等に活動できるよう、個々の状況に合わせて行われる調整や工夫のことです。例えば、聴覚障害のある人に筆談で対応したり、視覚障害のある人に読み上げソフトが使える資料を提供したりすることがこれに当たります。

これは「特別な優遇」ではなく、スタートラインを揃えるための「調整」です。合理的配慮を求めることは、わがままではありません。自分の困りごとを伝え、社会側と一緒に解決策を探っていく対話のプロセスこそが、共生社会を作る鍵となります。まずは、どのような配慮があれば自分が活動しやすいかを言語化してみることから始めましょう。

💡 ポイント

「障害」という言葉は、個人の能力を否定するものではありません。社会との間にある「バリア」を指し示す言葉として捉え直してみましょう。

三つの主要な障害の分類と特徴

身体障害の種類とサポート

身体障害は、視覚、聴覚、言語、肢体(手足など)、そして心臓や腎臓などの内部障害を指します。これらは身体の機能の一部が制限されることで、移動やコミュニケーション、情報の取得に困難が生じる状態です。身体障害者福祉法に基づき、障害の程度によって1級から6級までの等級が定められています。

身体障害の支援では、車椅子や義足、補聴器といった「補装具」の活用が大きな役割を果たします。また、建物のバリアフリー化や、点字・手話通訳といった情報保障も欠かせません。最近では、ICT(情報通信技術)を活用して、視線入力だけでパソコンを操作するなど、テクノロジーによって活動の幅が飛躍的に広がっている分野でもあります。

知的障害の定義と特性

知的障害は、発達期(おおむね18歳まで)に知的機能の遅れが現れ、日常生活に何らかの適応困難を伴う状態を指します。一般的にIQ(知能指数)と生活能力の両面から総合的に判断されます。自治体によって名称は異なりますが、主に「療育手帳」が交付される対象となります。

知的障害のある方は、抽象的な言葉や複雑なルールの理解が難しい場合がありますが、絵カードを使ったり、動作を一つひとつ丁寧に伝えたりすることで、多くのことを習得できます。また、環境の変化に敏感な方も多いため、見通しの持てるスケジュール管理が安心感につながります。周囲がその人の「学び方」に合わせることで、驚くほどの才能や個性が発揮されることも珍しくありません。

精神障害と発達障害

精神障害には、統合失調症やうつ病などの精神疾患に加え、近年では発達障害(自閉スペクトラム症、ADHD、LDなど)もこのカテゴリーに含まれることが一般的です。これらは脳の機能や心のバランスに関連するもので、対人関係の構築や感情のコントロール、集中力の維持などに困難を感じることがあります。

精神障害や発達障害は、身体障害のように外見で判断することが難しいため、周囲の理解が得られにくい「見えない障害」とも呼ばれます。支援の基本は、本人が安心して過ごせる環境設定と、心理的なケア、そして特性に合わせた生活習慣の構築です。薬物療法やカウンセリング、リハビリテーションを組み合わせながら、自分に合ったライフスタイルを模索していくことが大切です。

障害種別 主な内容 交付される手帳
身体障害 視覚、聴覚、肢体、内部障害など 身体障害者手帳
知的障害 知的機能と適応行動の困難 療育手帳(愛の手帳など)
精神障害 精神疾患、発達障害など 精神障害者保健福祉手帳

生活を支える「障害者手帳」の役割

手帳を取得するメリット

障害者手帳を取得することは、公的な支援を受けるためのパスポートを手に入れるようなものです。手帳があることで、所得税や住民税の控除、公共交通機関の割引、公共施設の利用料免除といった経済的な支援を受けやすくなります。また、障害者雇用枠での就職活動が可能になるなど、自立した生活を送るための選択肢が増えることも大きなメリットです。

「手帳を持つとレッテルを貼られるようで怖い」と感じる方もいらっしゃいますが、手帳はいつでも返還できますし、必要のない場面で見せる義務もありません。あくまで、自分を助けるためのツールとして捉えてみてください。手帳があることで、周囲に自分の特性を説明しやすくなり、適切な配慮を受けやすくなるという心理的な安心感も得られます。

申請の流れと必要な書類

障害者手帳の申請は、お住まいの市区町村の福祉窓口(障害福祉課など)で行います。基本的には、指定医による診断書、顔写真、申請書が必要です。申請後、専門の審査会を経て等級が決定され、手帳が発行されます。発行までには通常1ヶ月から2ヶ月程度の時間がかかります。

身体障害、知的障害、精神障害でそれぞれ申請のルールや診断書の様式が異なるため、まずは窓口で相談し、必要な書類のセットを受け取ることが第一歩です。20歳前の傷病や難病など、ケースによって細かな特例がある場合もあります。窓口の担当者は多くの事例を見てきているプロですので、分からないことは遠慮せずに質問してみましょう。

等級の見直しと更新手続き

障害の状態は、時間の経過とともに変化することがあります。そのため、精神障害者保健福祉手帳など、一定期間(通常2年)ごとの更新が必要な手帳もあります。身体障害者手帳の場合も、手術やリハビリによって状態が変わった場合には、再認定(等級変更)の申請を行うことができます。

更新や見直しを忘れてしまうと、受けていた割引サービスなどが一時的に使えなくなるため注意が必要です。手帳に記載されている有効期限をチェックし、期限が切れる3ヶ月ほど前から準備を始めるとスムーズです。自分の現在の状態を正しく反映した手帳を持つことは、その時々に最適な支援を受けるために欠かせないプロセスです。

⚠️ 注意

手帳の等級は「病気の重さ」そのものではなく、「生活のしづらさ」を基準に判定されます。診断書を書いてもらう際は、医師に日々の困りごとを具体的に伝えることが重要です。

自立を支える福祉サービスの種類

介護給付と訓練等給付

障害福祉サービスは大きく分けて、日常生活を助ける介護給付と、自立に向けた力をつける訓練等給付があります。介護給付には、自宅にヘルパーが来る「居宅介護」や、施設で入浴などのサポートを受ける「生活介護」が含まれます。これらは、日々の生活の土台を守るためのサービスです。

一方、訓練等給付には、就労を目指す「就労移行支援」や、一人暮らしの練習をする「自立訓練」などがあります。サービスを利用するには、市区町村に申請し、生活の状況を調査した上で「障害支援区分」の認定を受ける必要があります。今の自分には「守る支援」と「挑む支援」のどちらが優先か、相談員と一緒に考えていきましょう。

相談支援事業所の役割

「どのサービスを選べばいいか分からない」という時に頼りになるのが、相談支援専門員です。彼らは、本人の希望や目標を聞き取り、最適なサービスを組み合わせた「サービス等利用計画」を作成してくれます。また、サービス開始後も定期的に状況を確認(モニタリング)し、必要に応じてプランを調整してくれます。

相談支援専門員は、本人と行政、サービス事業所をつなぐコーディネーターのような存在です。自分一人で制度の迷路を歩くのではなく、プロのガイドを伴走者につけることで、より安心して生活を組み立てることができます。まずは地域の基幹相談支援センターなどに連絡し、担当の相談支援専門員を見つけることから始めてみましょう。

地域生活支援事業の内容

国が一律で決めているサービスの他に、各自治体が地域の特色に合わせて実施しているのが地域生活支援事業です。移動支援(ガイドヘルプ)や手話通訳者の派遣、福祉用具のリサイクル、障害者スポーツの推進などがこれに当たります。

特に「移動支援」は、外出に困難がある方にとって非常に重要なサービスです。買い物や映画鑑賞など、余暇活動のための外出をサポートしてくれます。自治体によって利用できる時間や条件が異なるため、自分の住んでいる街ではどのような独自の支援があるかを確認しておくと、生活の楽しみがさらに広がります。

✅ 成功のコツ

福祉サービスを利用する際は、自分の「できないこと」だけでなく「これからやってみたいこと」を伝えるようにしましょう。目標があることで、より効果的な支援が受けられます。

お金に関する支援:年金と手当

障害年金の仕組みと受給条件

障害年金は、病気やケガによって生活や仕事に制限が出た場合に、国から支給される公的年金です。現役世代であっても受給できるのが大きな特徴です。初めて医師の診察を受けた「初診日」に、国民年金に加入していたら障害基礎年金、厚生年金に加入していたら障害厚生年金が対象となります。

受給には、初診日の証明、保険料の納付状況、障害の程度の三つの要件を満たす必要があります。金額は等級や加入期間によって異なりますが、生活を支える非常に強力な柱となります。手続きは複雑な場合が多いため、年金事務所や社会保険労務士などの専門家に相談しながら進めるのが確実です。申請には時間を要するため、早めの情報収集を心がけましょう。

特別障害者手当などの諸手当

年金以外にも、生活を支援するための手当がいくつかあります。精神または身体に著しく重度の障害があり、日常生活で常時特別の介護を必要とする方に支給されるのが特別障害者手当です。また、20歳未満の障害児を育てる保護者に支給される「特別児童扶養手当」もあります。

これらの手当には所得制限がある場合が多いですが、年金と併せて受給できるケースもあり、経済的な負担を軽減する助けとなります。自治体独自の手当(心身障害者福祉手当など)を設けている地域もあるため、手帳の申請時に併せて確認しておくことをお勧めします。知らなければ申請できない制度ですので、情報を取りに行く姿勢が大切です。

医療費の助成制度(自立支援医療)

継続的な通院が必要な方にとって、大きな助けとなるのが自立支援医療という制度です。通常3割負担の医療費が原則1割に軽減され、さらに世帯の所得に応じて1ヶ月あたりの支払上限額が設定されます。精神通院、更生医療、育成医療の3種類があります。

特に精神科の通院や、透析治療などの高額な医療費がかかる場合に、この制度は絶大な効果を発揮します。薬代も対象になるため、経済的な理由で治療を断念することを防げます。指定された医療機関でのみ有効ですので、通っている病院が対象かどうかを確認し、市区町村の窓口で手続きを行いましょう。有効期限は1年ですので、毎年の更新を忘れずに行うことがポイントです。


よくある質問と具体的な対処法

Q1. 障害があるか分からないグレーゾーンでも相談できますか?

もちろんです。診断名がついていなくても、生活に困りごとがあれば相談支援事業所や地域包括支援センターは話を聞いてくれます。むしろ、早めに相談することで、適切な医療機関の紹介を受けられたり、手帳がなくても利用できる地域のボランティア活動などにつながったりすることもあります。「こんなことで相談してもいいのかな」とためらわず、まずは今の状況を話してみてください。

Q2. 働いていると障害者手帳や年金はもらえませんか?

働いていても、手帳の取得や年金の受給は可能です。特に身体障害や知的障害の場合は、就労していることが審査に直接不利に働くことは少ないです。精神障害や発達障害の場合は、就労状況が「日常生活能力」の判断材料の一つになりますが、職場から受けている配慮の内容(短時間勤務など)を詳しく説明することで、受給が認められるケースは多々あります。「働くこと」と「支援を受けること」は両立できるものだと考えてください。

Q3. 親がいなくなった後の「親亡き後問題」が不安です。

非常に切実な悩みです。対策としては、早めに福祉サービスに繋がっておき、本人と支援者の信頼関係を築いておくことが最優先です。また、金銭管理をサポートする成年後見制度や、住まいの場としてのグループホームへの入居検討など、具体的な準備を一つずつ進めていきましょう。地域の親の会などに参加して、同じ悩みを抱える方々と情報を共有することも、孤独感を和らげ、具体的な解決策を見つける一助になります。

Q4. 制度が多すぎて、何から手をつければいいかパニックです。

まずは一箇所、「相談の窓口」を決めることから始めましょう。市区町村の障害福祉窓口でも良いですし、地域の相談支援事業所でも構いません。「何から話せばいいか分からない」とそのまま伝えれば、担当者が今の状況を整理してくれます。一度にすべてを解決しようとせず、今日は窓口の電話番号を調べる、明日は電話をかける、といったように小さなアクションを積み重ねていくことが大切です。

「障害があることを受け入れるのは時間がかかりました。でも、制度を知って、ヘルパーさんや相談員さんと出会ったことで、一人で抱え込まなくていいんだと思えるようになりました。今は、自分のペースで少しずつ未来を考えています。」

— 発達障害のあるお子さんを持つお母様


まとめ

障害に関する知識や制度は、一見すると複雑で難しく感じられます。しかし、それらはすべて「あなたがあなたらしく、社会の中で生きていく」ための権利であり、支えです。障害の種類や定義を知ることは、自分の特性を客観的に理解し、必要な助けを適切に求めるための第一歩となります。

大切なのは、すべてを自分一人で解決しようとしないことです。世の中には、あなたやご家族を支えるための法律、手帳、福祉サービス、そして温かい支援者の手がたくさん用意されています。この記事で得た知識をきっかけに、まずは身近な窓口へ足を運んでみてください。少しの勇気を持って相談することで、あなたの世界はきっと明るく、開かれたものに変わっていくはずです。

まとめ

  • 障害は「個人の問題」ではなく「社会とのバリア」として捉え、合理的配慮を活用しましょう。
  • 身体・知的・精神(発達)の3分類があり、それぞれに合わせた手帳や支援が用意されています。
  • 障害者手帳は自立を支えるツールです。早めに申請し、経済的・社会的な支援を受けましょう。
  • 福祉サービスや年金制度を賢く組み合わせるために、相談支援専門員というプロの伴走者を頼りましょう。

金子 匠

金子 匠

かねこ たくみ55
編集長📚 実務経験 30
🎯 生活サポート🎯 制度・法律

📜 保有資格:
社会福祉士、精神保健福祉士

障害者支援施設で30年間勤務し、施設長を経験。現在はすぐサポ編集長として、障害のある方とご家族が必要な情報にアクセスできる環境づくりに取り組んでいます。「制度は複雑だけど、使えば生活が楽になる」という信念のもと、分かりやすい情報発信を心がけています。

大学卒業後、障害者支援施設に就職し、30年間にわたり現場で支援に携わってきました。生活支援員として10年、サービス管理責任者として15年、そして施設長として5年の経験があります。特に印象に残っているのは、重度の知的障害があり、施設入所が当然と思われていた方が、適切な支援と環境調整により地域での一人暮らしを実現したケースです。「できない」と決めつけず、その人に合った支援を考えることの大切さを学びました。現在は現場を離れ、すぐサポの編集長として、これまでの経験を記事という形で多くの方に届けることをミッションとしています。制度や法律の解説記事では、「専門用語を使わず、中学生でも分かる言葉で」を心がけています。

もっと詳しく

💭 福祉の道を選んだ理由

大学で社会福祉を学び、実習で出会った利用者の方々の笑顔に感動したことがきっかけです。

✨ 印象に残っている出来事

重度の知的障害のある方が、適切な支援により地域での一人暮らしを実現したこと。

✍️ 記事を書く上で大切にしていること

専門用語を使わず、中学生でも分かる言葉で伝えることを大切にしています。

🎨 趣味・特技

読書、散歩

🔍 最近気になっているテーマ

障害者総合支援法の改正動向、ICTを活用した新しい支援の形

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