障害者の生活を支える訪問支援サービスまとめ

自宅で安心!障害者の生活を支える訪問支援サービス徹底まとめ
住み慣れた自宅で、自分らしく、安心して生活し続けることは、障害のある方やご家族の共通の願いです。しかし、日常生活における介助や見守り、家事の負担は、時に大きなストレスや不安につながることもあります。
このような在宅での生活を力強く支えるのが、障害者総合支援法に基づく様々な訪問支援サービスです。これらのサービスを適切に組み合わせることで、ご本人の自立を促し、ご家族の介護負担を軽減することができます。
この記事では、自宅にヘルパーが訪問して提供される主要な支援サービス(居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護など)について、それぞれの内容、対象者、そして賢い活用方法を、一つひとつ丁寧に、わかりやすく解説します。
この情報が、皆様の生活環境を整え、より安心で豊かな毎日を送るための一助となることを願っています。
🏠 在宅生活の基本:居宅介護サービス
居宅介護(きょたくかいご)は、在宅で生活する障害のある方に対し、ホームヘルパーが自宅を訪問し、日常生活の支援を行う、最も基本的な訪問支援サービスです。
居宅介護の三つの柱
居宅介護は、そのサービス内容によって主に三つの種類に分けられます。ご本人の障害の程度やニーズに合わせて、必要なサービスを組み合わせて利用します。
- 身体介護(しんたいかいご): ご本人の身体に直接触れて行う介護や介助のことです。
- 食事、入浴、排泄の介助
- 衣服の着脱、体位変換
- 移動・移乗の介助
- 生活援助(せいかつえんじょ): 掃除、洗濯、調理など、日常生活に必要な家事を支援することです。
- 居室や台所、トイレなどの掃除
- 衣類の洗濯と整理
- 日用品の買い物、調理
- 通院等介助(つういんとうかいじょ): 通院のために、ヘルパーが自宅から医療機関まで付き添い、移動の介助を行うことです。車両への乗り降りや院内での移動の介助も含まれます。
居宅介護は、主に身体障害、知的障害、精神障害、難病などを持つ方のうち、障害支援区分(しょうがいしえんくぶん)が認定された方が対象となります。
💡 ポイント
居宅介護における生活援助は、あくまでご本人一人の生活に必要な支援です。ご家族が同居している場合、家事支援の範囲が制限されることがありますので、事前に相談支援専門員と確認しましょう。
利用時間と頻度の決定方法
居宅介護サービスの利用時間や頻度は、ご本人の障害支援区分、生活状況、そして介護者の状況などを総合的に考慮し、相談支援専門員が作成する「個別支援計画」に基づいて決定されます。
例えば、重度の身体障害があり、日中の食事や入浴に介助が必要な方には、朝・昼・夕の時間帯に身体介護が組み込まれます。一方、精神障害があり、家事の管理が難しい方には、週に数回の生活援助が組み込まれます。
サービス支給決定の根拠となるのは、市町村が行う「障害支援区分の認定調査」の結果です。ご自身の現在の生活状況や困難さを正確に伝えることが、適切なサービス量に結びつきます。
🚑 重度の障害を支える:重度訪問介護と医療的ケア
重度の肢体不自由や、重度の知的障害・精神障害により、常時見守りや手厚い介護が必要な方には、「重度訪問介護」という、より包括的かつ長時間にわたるサービスが提供されます。
重度訪問介護の対象とサービス内容
重度訪問介護(じゅうどほうもんかいご)は、居宅介護では対応が難しい、長時間にわたる生活全般の支援を必要とする方が対象です。具体的には、重度の肢体不自由者で、障害支援区分4以上などが主な対象となります。
このサービスの特徴は、「見守り」を含む生活全般の支援を、長時間(時には24時間体制)で途切れなく提供できる点にあります。サービス内容は以下の通り、非常に多岐にわたります。
- 入浴、排泄、食事などの身体介護
- 調理、洗濯、掃除などの生活援助
- 移動中の介助や外出先での支援
- 緊急時の対応、体位変換
特に、重度の知的障害や精神障害により「行動の把握が困難な方」や「常時の見守りが必要な方」に対する支援も含まれるため、ご家族の精神的・身体的負担を大幅に軽減する役割を果たします。
⚠️ 注意
重度訪問介護は、原則として入院中の利用はできません。しかし、病院からの一時帰宅時や、重度の肢体不自由者が短期入所(ショートステイ)を利用する際の支援など、例外的に利用できるケースもありますので、事前に相談支援専門員に確認しましょう。
訪問看護・医療的ケアとの連携
人工呼吸器の使用や痰の吸引、経管栄養など、医療的な管理や処置(医療的ケア)が必要な方も、在宅生活を送ることが可能です。これを支えるのが、訪問看護サービスです。
訪問看護は、医療保険や介護保険(40歳以上)で提供されるサービスですが、障害者総合支援法の中にも、「医療型重度心身障害児者訪問看護」という制度があります。
重度訪問介護のヘルパーは原則として医療行為を行うことはできませんが、研修を受けたヘルパーであれば、喀痰吸引や経管栄養などの特定行為(いのちに関わる医療的ケア)を行うことが可能です。これを「重度訪問介護の医療連携体制加算」と呼びます。
重度の障害を持つ方の在宅生活では、重度訪問介護と訪問看護を適切に組み合わせ、切れ目のない医療的・介護的支援体制を構築することが最も重要です。
👀 外出を支援する:同行援護と行動援護
自宅での生活支援だけでなく、障害のある方が社会参加し、外出して活動できるように支援するサービスも充実しています。これらが「同行援護」と「行動援護」です。
視覚障害者をサポートする同行援護
同行援護(どうこうえんご)は、視覚障害により移動に著しい困難がある方が、外出する際にヘルパーが同行し、移動の支援や代筆・代読などを行うサービスです。
居宅介護の通院等介助と似ていますが、同行援護は単なる移動の介助に留まらず、目的地での情報提供や代筆・代読、排泄・食事の介助なども含みます。これにより、視覚障害のある方が、より積極的かつ安全に社会参加できるようになります。
- 買い物、公共機関の利用、役所の手続きへの同行
- 図書館での本の代読や、会議での情報保障
- 通院、散歩、レジャーへの同行
利用の対象となるのは、視覚障害を持つ方のうち、一定の基準(移動の困難さに関するアセスメント)を満たす方です。ヘルパーは、視覚障害に特化した研修(同行援護従業者養成研修)を修了している必要があります。
✅ 成功のコツ
同行援護を利用する際は、ヘルパーに慣れることが重要です。最初のうちは、自宅周辺や慣れたルートでの外出から始め、徐々に利用者のペースで活動範囲を広げていきましょう。信頼関係が安全な外出につながります。
行動障害を抱える方を支援する行動援護
行動援護(こうどうえんご)は、知的障害や精神障害により、行動障害がある方が、危険を回避し、外出や日常生活を安全に送れるように支援するサービスです。
行動障害とは、自傷行為や他害行為、器物破損、多動、異食など、周囲の環境や人間関係に著しい影響を及ぼす行動のことです。行動援護は、これらの行動を予防・抑制しつつ、外出時の危険回避や、行動上の困難さを伴う生活場面での支援を行います。
- 外出時における飛び出しや危険な行動の抑制
- 公共の場でのパニックや不適切な行動への対応
- 行動上の困難さを伴う居室での支援や見守り
行動援護の対象は、行動障害の支援が必要であると市町村に認められた方(障害支援区分3以上)です。サービス提供にあたるヘルパーも、行動援護に関する専門的な研修を受けている必要があります。
🤝 サービスの利用開始と連携の重要性
これらの多様な訪問支援サービスを自宅で利用するためには、適切な手順を踏み、専門家と連携して計画を立てることが不可欠です。
サービス利用開始までのステップ
訪問支援サービスを利用開始するまでの主なステップは以下の通りです。
- 相談: 市町村の障害福祉担当窓口や、地域の相談支援事業所に連絡する。
- 申請: 市町村にサービス利用の申請を行い、障害支援区分の認定調査を受ける。
- 計画作成: 相談支援専門員が、調査結果に基づき「個別支援計画」を作成する。
- 支給決定: 市町村が計画を承認し、支給量(時間数)が決定される。
- 契約・利用開始: 決定された支給量に基づき、サービス提供事業者と契約し、利用を開始する。
サービスの利用には、この「個別支援計画」が非常に重要です。ご本人の一日の生活サイクル、困難な動作、目標とする生活など、詳細な情報を専門員に伝え、計画に反映してもらいましょう。
✅ 成功のコツ
サービスの支給量が決定したら、できるだけ複数の事業所に連絡を取り、ヘルパーの確保状況やサービスの質について情報収集しましょう。特に、夜間や早朝の支援が必要な場合は、対応可能な事業所が限られるため、早めの確認が必要です。
訪問支援サービス利用の経済的負担
障害福祉サービスを利用する際の費用は、原則としてサービス費用の1割が自己負担となります。しかし、低所得世帯への配慮として、「負担上限月額(応能負担)」が設定されています。
| 世帯の区分 | 負担上限月額 |
|---|---|
| 生活保護受給世帯 | 0円 |
| 低所得世帯(市町村民税非課税) | 0円 |
| 一般世帯(市町村民税課税) | 9,300円 |
この上限額は、ひと月に利用したサービスの量に関わらず適用されるため、重度訪問介護などで長時間の支援を受けても、経済的な負担が過大になる心配はありません。
❓ よくある質問(Q&A)と相談窓口
訪問支援サービスに関する、よくある疑問と、頼れる相談窓口をまとめました。
Q1. ヘルパーさんに「医療的ケア」をお願いできますか?
A. 原則として、ヘルパーは医療行為を行うことはできません。しかし、一定の研修(喀痰吸引等研修)を修了したヘルパーであれば、医師や看護師との連携のもと、喀痰吸引や経管栄養などの「特定行為」を行うことが可能です。
この支援が必要な場合は、「重度訪問介護」を利用し、医療連携体制加算を申請する必要があります。まずは、相談支援専門員と、かかりつけ医に相談しましょう。
Q2. 居宅介護と重度訪問介護は、どちらを選ぶべきですか?
A. 居宅介護は、比較的短時間で特定の生活動作の介助を必要とする方に適しています。一方、重度訪問介護は、長時間にわたる見守りや生活全般のサポートが不可欠な、重度の障害を持つ方に適しています。
選択は、ご本人の障害支援区分や生活状況、特に「行動の困難さ」や「常時の見守り」の必要性を基準に、市町村の総合的な判断によって決まります。まずは、ご自身の現在の状況を相談支援専門員に詳しく伝えましょう。
Q3. どこに相談すれば、サービスを組み合わせて利用できますか?
A. 障害福祉サービスの利用計画を立てる専門家である「相談支援専門員」が在籍する「相談支援事業所」が主な相談窓口です。
相談支援専門員は、ご本人のニーズを把握し、居宅介護、重度訪問介護、短期入所、日中活動系サービスなど、複数のサービスを効果的に組み合わせた「個別支援計画」を作成してくれます。
✨ まとめと次の一歩の提案
障害者の生活を支える訪問支援サービスは、居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護など、ご本人の障害特性とニーズに応じて多岐にわたります。これらのサービスは、在宅での生活の自由と安心を守る、かけがえのない基盤です。
大切なのは、ご家族だけで問題を抱え込まず、公的な支援制度を最大限に活用し、ヘルパーという専門職の手を借りることです。サービスを適切に利用することで、ご本人の活動範囲が広がり、ご家族の介護負担が軽減されます。
まずは一歩踏み出して、専門家の力を借り、ご自身とご家族にとって最善の支援計画を立てていきましょう。
次の一歩の提案
お住まいの地域にある「相談支援事業所」をインターネットや市町村の窓口で探し、連絡してみましょう。「訪問支援サービスについて相談したい」と伝えれば、サービスの申請から計画作成まで、サポートを受けることができます。
まとめ
- 訪問支援サービスは、居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護などがあり、それぞれ身体介助、長時間支援、視覚・行動面での外出支援といった役割を持つ。
- サービス利用の鍵は、市町村の認定調査に基づき、相談支援専門員が作成する「個別支援計画」である。
- 費用は所得に応じた負担上限月額が設定されており、経済的な負担を気にせず、必要な量のサービスを利用できる。

鈴木 美咲
(すずき みさき)42歳📜 保有資格:
社会福祉士、相談支援専門員
相談支援専門員として15年、障害のある方とそのご家族の「困った」に寄り添ってきました。実際の相談事例をもとに、当事者やご家族のリアルな声、具体的な解決策をお届けします。「一人で悩まないで」がモットーです。
社会福祉士として障害者相談支援事業所に勤務し15年。年間約100件の相談に対応し、サービス等利用計画の作成や、関係機関との調整を行っています。この仕事の魅力は、「困っている」状態から「解決した!」という笑顔に変わる瞬間に立ち会えること。ただし、制度が複雑で「どこに相談すればいいか分からない」という声を本当によく聞きます。特に印象深いのは、お子さんの障害を受け入れられず孤立していたお母さんが、同じ境遇の親の会に繋がり、「一人じゃないと分かって救われた」と涙ながらに話してくださったこと。情報と繋がりの大切さを実感しました。記事では、実際の相談事例(もちろん個人情報は特定できないよう配慮)をベースに、「こんなとき、どうすればいい?」という疑問に答えていきます。
もっと詳しく▼
💭 福祉の道を選んだ理由
大学のボランティアで障害のある方と出会い、「困っている」を「解決した!」に変える仕事がしたいと思ったことがきっかけです。
✨ 印象に残っている出来事
孤立していたお母さんが、親の会に繋がり「一人じゃないと分かって救われた」と話してくださったこと。
✍️ 記事を書く上で大切にしていること
実際の相談事例をもとに、「こんなとき、どうすればいい?」という疑問に答えることを大切にしています。
🎨 趣味・特技
ヨガ、カフェ巡り
🔍 最近気になっているテーマ
ヤングケアラー支援、家族のレスパイトケア





