就労移行支援のメリット・デメリットを実体験から徹底整理

就労移行支援、本当のところはどうなの?
「就労移行支援を使ってみようか考えているけれど、実際のところどうなんだろう?」「メリットだけでなく、デメリットも知っておきたい」——利用を検討するとき、良い面だけでなく、課題や注意点も知っておきたいと思うのは当然のことです。
この記事では、実際に就労移行支援を利用した方々の声をもとに、メリットとデメリットを包み隠さず整理しました。現実的な視点から、利用を判断するための材料にしていただければと思います。
就労移行支援のメリット|利用者が実感した良かった点
プロのサポートで就職活動がスムーズに
就労移行支援の最大のメリットは、就職活動の専門家が伴走してくれることです。履歴書の書き方、面接対策、求人の探し方など、一人では難しい部分を手厚くサポートしてもらえます。
ある利用者の方は「自分で就職活動をしていたときは、何十社応募しても書類選考で落ちていました。でも、スタッフに履歴書を添削してもらい、面接練習を重ねたら、3社目で内定をもらえました」と話していました。プロの視点からのアドバイスは、確かな効果があるようです。
💡 ポイント
多くの事業所では、企業とのネットワークを持っており、障害者雇用に理解のある企業を紹介してもらえることもあります。これは個人で探すのが難しい貴重な情報です。
実践的なスキルが身につく
就労移行支援では、実際の仕事で使えるスキルを訓練できます。パソコン操作(Word、Excel、メールなど)、ビジネスマナー、報告・連絡・相談の仕方など、職場で必要とされる基礎力を段階的に習得できます。
事業所によっては、Webデザイン、プログラミング、経理事務、軽作業など、より専門的なスキルを学べるところもあります。「独学では挫折していたけれど、事業所で体系的に学べて自信がついた」という声も多く聞かれます。
自己理解が深まり、長く働ける土台ができる
就労移行支援では、自分の得意・不得意を客観的に知るプログラムが充実しています。これは、自分に合った仕事を見つけ、長く働き続けるために非常に重要です。
発達障害のある方からは「自分の特性を理解できたことで、どんな配慮が必要か職場に具体的に伝えられるようになった。そのおかげで働きやすい環境を作ってもらえた」という感想がありました。自己理解は、就職後の定着率を大きく左右する要素です。
同じ目標を持つ仲間との出会い
就労移行支援を利用する大きな副次的メリットは、同じように就職を目指す仲間と出会えることです。一人で悩みを抱え込まず、お互いに励まし合える関係は、精神的な支えになります。
「他の利用者の頑張りを見て、自分も頑張ろうと思えた」「面接に落ちて落ち込んでいるとき、仲間が励ましてくれて立ち直れた」といった声は、利用者アンケートでもよく見られるコメントです。
就職後も最長3年半のサポートが受けられる
就労移行支援の特徴的なメリットは、就職後の定着支援があることです。就職してから最初の6ヶ月間は必ず支援が受けられ、状況に応じて最長3年半まで延長できます。
「就職して1ヶ月目、職場の雰囲気に慣れず辞めたくなったとき、スタッフに相談して乗り越えられた」「上司との関係で悩んだとき、スタッフが間に入って調整してくれた」など、定着支援が離職を防いだ事例は数多くあります。
| メリット | 具体的な効果 |
|---|---|
| 専門的な就職支援 | 書類選考通過率・内定率の向上 |
| スキル訓練 | 実践的な職業能力の習得 |
| 自己理解の深化 | 適職の発見・定着率の向上 |
| 仲間との出会い | モチベーション維持・孤独感の軽減 |
| 定着支援 | 就職後の早期離職防止 |
就労移行支援のデメリット|利用者が感じた課題や不満
訓練期間中は収入がない
就労移行支援の最大のデメリットは、訓練期間中に工賃や給与が発生しないことです。利用料金は多くの場合無料ですが、交通費や昼食代などは自己負担になります。
「経済的な余裕がないと利用しづらい」「親の援助がないと厳しかった」という声は少なくありません。生活費を稼ぎながら就職準備をしたい方にとっては、大きなハードルになります。
⚠️ 注意
収入面で不安がある方は、障害年金や生活保護など、利用できる制度がないか事前に確認しておくことをおすすめします。市区町村の福祉課で相談できます。
利用期間が原則2年間と限られている
就労移行支援は原則2年間という利用期限があります。延長が認められるケースもありますが、基本的にはこの期間内に就職を目指す必要があります。
「2年という期限にプレッシャーを感じた」「もう少し時間をかけて準備したかった」という声もあります。特に、ブランクが長い方や、複数の課題を抱えている方にとっては、2年間では十分でないと感じることもあるようです。
事業所によって質に大きな差がある
就労移行支援事業所は全国に3,000箇所以上あり、質やサービス内容に大きなばらつきがあります。スタッフの専門性、訓練プログラムの充実度、就職実績などは、事業所によって大きく異なります。
「最初に選んだ事業所が自分に合わず、途中で別の事業所に変更した」「就職支援が手薄で、ほとんど自力で就職活動をした」といった不満の声も聞かれます。事業所選びに失敗すると、貴重な2年間を無駄にしてしまう可能性があります。
通所がストレスになることも
定期的に事業所に通うことが、人によっては大きな負担になる場合があります。体調が不安定な方、対人関係が苦手な方、遠距離通所の方などは、通所そのものがストレスの原因になることもあります。
「体調が悪い日でも休みづらい雰囲気があった」「他の利用者との人間関係に疲れた」「通所に往復2時間かかり、それだけで疲れてしまった」という声もあります。
就職を急かされると感じる場合も
事業所によっては、就職実績を重視するあまり、利用者に就職を急かすような雰囲気があることもあります。「自分のペースで進めたいのに、早く就職するよう圧力を感じた」という声も一部では聞かれます。
また、「希望する職種ではなく、就職しやすい職種を勧められた」といった不満もあります。事業所の方針と自分の希望が合わない場合、ストレスになることがあります。
✅ 成功のコツ
デメリットの多くは、事業所選びを慎重に行うことで軽減できます。見学時に、就職実績だけでなく、スタッフの対応や雰囲気、利用者の声なども確認しましょう。
デメリットを最小限にするための対策
経済面の課題への対処法
収入がないという課題に対しては、いくつかの対策があります。まず、障害年金を受給できるか確認しましょう。精神障害や身体障害のある方の多くが対象になる可能性があります。
また、生活保護の受給、家族からの経済的支援、貯蓄の活用なども選択肢です。事業所によっては交通費補助や昼食の安価提供を行っているところもあるので、事前に確認しておくとよいでしょう。
事業所選びで失敗しないために
質の高い事業所を選ぶためには、最低でも2〜3箇所は見学・比較することが重要です。以下のポイントをチェックしましょう。
- 就職率だけでなく、定着率(半年後、1年後も働き続けている割合)も確認する
- スタッフの専門性や対応の丁寧さを見る
- 訓練プログラムが自分の目標に合っているか確認する
- 実際の利用者の雰囲気を観察する
- 口コミや評判も参考にする(ただし、鵜呑みにしない)
自分のペースを大切にする
就職を急かされていると感じたら、率直にスタッフに伝えることが大切です。「今は体調を整えることを優先したい」「もう少しスキルを身につけてから就職活動したい」など、自分の希望をはっきり伝えましょう。
良い事業所であれば、利用者の希望を尊重し、個別に対応してくれるはずです。もし聞き入れてもらえない場合は、事業所の変更も視野に入れてよいでしょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. デメリットが多いなら、使わない方がいいですか?
デメリットはありますが、多くの人にとってメリットの方が大きいと言えます。特に、一人での就職活動に不安がある方、スキルアップが必要な方、就職後のサポートを求める方には、デメリットを上回る価値があります。重要なのは、デメリットを理解した上で、自分に合った事業所を選ぶことです。
Q2. 途中で「合わない」と思ったら、すぐにやめてもいいですか?
はい、いつでもやめることができます。ただし、すぐにやめる前に、まずスタッフに正直に相談してみることをおすすめします。プログラムの調整や通所頻度の変更で改善できる可能性もあります。それでも難しければ、他の事業所への変更を検討しましょう。
Q3. 就職を急かされたくないのですが、可能ですか?
事業所によって方針は異なりますが、利用者のペースを尊重する事業所も多くあります。見学時に「自分のペースで進めたい」ということを伝え、その意向を尊重してくれる事業所を選ぶことが大切です。
Q4. 交通費の負担が大きいのですが、何か対策はありますか?
一部の自治体では、就労移行支援利用者への交通費助成制度があります。また、事業所によっては独自に交通費補助を行っているところもあります。市区町村の障害福祉課や、利用を検討している事業所に確認してみてください。
Q5. 他の利用者との人間関係が不安です
多くの事業所では、個別訓練も可能です。また、利用者同士の交流を強制されることはありません。対人関係が苦手な方は、見学時にその旨を伝え、個別対応が可能か確認しておくとよいでしょう。
まとめ
この記事では、就労移行支援のメリット・デメリットについて、実体験をもとに解説しました。
- メリットとして、専門的な就職支援、スキル習得、自己理解の深化、仲間との出会い、定着支援などがあります
- デメリットとして、収入がないこと、利用期間の制限、事業所の質のばらつき、通所の負担などがあります
- デメリットの多くは、事業所選びを慎重に行い、自分の状況に合った利用方法を見つけることで軽減できます
- メリット・デメリットを理解した上で、自分にとって価値があるかを判断することが大切です
- 迷ったら、まずは見学や相談から始めてみることをおすすめします
完璧なサービスは存在しませんが、就労移行支援は多くの方の就職を実現してきた実績のあるサービスです。あなたにとって最適な選択ができることを願っています。

菅原 聡
(すがわら さとし)38歳📜 保有資格:
職業指導員、キャリアコンサルタント、精神保健福祉士
就労移行支援事業所で10年以上、障害のある方の「働く」を支援してきました。一般就労への移行支援から就労継続支援まで、幅広い経験をもとに、「自分に合った働き方」を見つけるための情報をお届けします。
大学で社会福祉を学び、卒業後すぐに就労移行支援事業所に就職。当初は「障害があっても一般企業で働けるんだ」という驚きと感動の連続でした。これまで150名以上の方の就労支援に携わり、その8割が一般企業への就職を実現。ただし、「就職がゴール」ではなく、「長く働き続けられること」が本当のゴールだと考えています。印象的だったのは、精神障害のある方が、障害をオープンにして自分のペースで働ける職場を見つけ、「初めて仕事が楽しいと思えた」と言ってくださったこと。その笑顔が忘れられません。記事では、就労移行支援と就労継続支援の違い、企業選びのポイント、障害者雇用の現実など、実際の支援経験に基づいた実践的な情報をお伝えします。
もっと詳しく▼
💭 福祉の道を選んだ理由
大学で社会福祉を学び、「障害があっても一般企業で働ける」という可能性に感動したことがきっかけです。
✨ 印象に残っている出来事
精神障害のある方が、自分のペースで働ける職場を見つけ、「初めて仕事が楽しいと思えた」と言ってくださったこと。
✍️ 記事を書く上で大切にしていること
「就職がゴール」ではなく、「長く働き続けられること」を大切に、実践的な情報を発信します。
🎨 趣味・特技
ランニング、ビジネス書を読むこと
🔍 最近気になっているテーマ
リモートワークと障害者雇用、週20時間未満の短時間雇用





