薬の副作用との付き合い方——私の体験談

「薬は飲みたくない」——最初の抵抗
「抗うつ薬を処方します」——医師からその言葉を聞いた時、私の心には強い抵抗感がありました。「薬に頼るのは負け」「副作用が怖い」「一生飲み続けることになるのでは」——様々な不安が頭をよぎりました。
でも実際に服薬を始めてみると、確かに副作用はありました。吐き気、眠気、だるさ——それらは想像以上に辛いものでした。でも同時に、薬の効果も確実にありました。そして副作用との付き合い方を学ぶことで、治療を続けられるようになったのです。
この記事では、精神科の薬を服用する中で経験した副作用、それとの付き合い方、そして今だから言える「薬は敵じゃない」というメッセージをお伝えします。薬に不安を感じている方の参考になれば幸いです。
服薬開始——最初の副作用
初めて薬を飲んだ日
うつ病と診断され、抗うつ薬が処方されました。薬局で薬を受け取る時、薬剤師さんから副作用について説明を受けました。
「最初の1〜2週間は、吐き気や眠気などの副作用が出ることがあります。でも多くの場合、2〜3週間で落ち着きます」
その説明を聞いて、私は不安になりました。でも主治医は「副作用が辛ければ、すぐに連絡してください」と言ってくれたので、とりあえず試してみることにしました。
初日、夕食後に薬を飲みました。そして数時間後——激しい吐き気に襲われました。
⚠️ 注意
抗うつ薬の副作用は、服用開始直後に最も強く現れることが多く、多くは2〜3週間で軽減します。副作用が辛い場合は、自己判断で中止せず、必ず主治医に相談してください。
最初の2週間——副作用との闘い
服薬開始から最初の2週間は、本当に辛かったです。主な副作用は、以下のようなものでした。
- 吐き気:特に朝がひどく、何も食べられない
- 眠気:一日中ぼーっとして、集中できない
- だるさ:体が鉛のように重い
- 口の渇き:常に喉が渇いている
- 便秘:3日以上お通じがない
- 頭痛:鈍い頭痛が続く
「こんなに辛いなら、薬をやめたい」——何度もそう思いました。
でも薬剤師さんの言葉を思い出しました。「2〜3週間で落ち着く」と。そして主治医に電話で相談しました。
主治医のアドバイス
主治医は、電話で丁寧に話を聞いてくれました。そして以下のようなアドバイスをくれました。
- 吐き気対策:空腹時を避け、食後に服用する。吐き気止めを追加処方
- 眠気対策:服用時間を夕食後から就寝前に変更
- 便秘対策:水分を多く取る。必要なら便秘薬を使用
- 焦らない:副作用は一時的。効果が出るまで待つことが大切
このアドバイスに従ったところ、少しずつ副作用が軽減していきました。
| 時期 | 副作用の程度 | 対処法 |
|---|---|---|
| 1週目 | 非常に強い(吐き気で食事困難) | 吐き気止め追加、服用時間変更 |
| 2週目 | 強い(日常生活に支障) | 水分多めに、休息を増やす |
| 3週目 | 中程度(我慢できるレベル) | 継続観察 |
| 4週目 | 軽い(ほとんど気にならない) | 特になし |
| 6週目以降 | ほぼなし | 定期的な服薬継続 |
「副作用は、薬が体に作用している証拠でもあります。多くの場合、体が薬に慣れることで軽減します。辛い時期を乗り越えれば、効果を実感できるようになります」
— 主治医の言葉
薬の調整——自分に合った薬を見つける
最初の薬が合わなかった
副作用は落ち着いたものの、2ヶ月経っても期待したほどの効果が感じられませんでした。気分の落ち込みは少し改善したけれど、まだ十分ではありませんでした。
主治医に相談すると、「薬を変更してみましょう」と提案されました。
「抗うつ薬には様々な種類があります。最初の薬が合わないこともあります。焦らず、あなたに合った薬を見つけていきましょう」
この言葉に、私は少し安心しました。「合わない」ことは、失敗ではないのだと。
💡 ポイント
抗うつ薬の効果や副作用には個人差が大きくあります。最初の薬が合わない場合、種類の変更や用量の調整で改善することが多いです。諦めず、主治医と相談しながら最適な薬を見つけることが大切です。
2種類目の薬——また副作用
薬を変更すると、また副作用が出ました。今度は以前とは違う副作用でした。
激しい眠気と、体重増加。特に体重増加は、精神的にも辛いものでした。1ヶ月で3キロも増えてしまったのです。
「また副作用と闘わなければならないのか」——そう思うと、気持ちが沈みました。
でも今度は、以前の経験があったので少し冷静でした。「これも一時的かもしれない」「主治医に相談しよう」——そう考えられるようになっていました。
薬の微調整——用量の変更
主治医に相談すると、用量を調整してくれました。副作用を抑えつつ、効果を保てる量を探していくのです。
最初は標準的な量から始め、副作用が強ければ減らし、効果が不十分なら増やす——こうした微調整を繰り返しました。
そして3ヶ月ほどかけて、ようやく私に合った薬と用量を見つけることができました。
副作用は最小限で、効果は十分。朝起きられるようになり、食欲も戻り、少しずつ活動できるようになりました。
長期服用——新たな副作用と対策
体重増加という問題
自分に合った薬を見つけ、症状も改善してきた頃、新たな問題が浮上しました。体重増加です。
服薬開始から半年で、体重が8キロも増えていました。抗うつ薬の副作用の一つに、食欲増進と代謝の変化があるのです。
鏡を見るたびに、変わってしまった自分の姿に落胆しました。「薬のせいで太った」「見た目が変わってしまった」——その思いは、新たなストレスになりました。
主治医との相談——対策を立てる
主治医に相談すると、以下のような提案がありました。
- 薬の種類を変更する(体重増加しにくい薬へ)
- 用量を調整する
- 栄養士に相談する
- 軽い運動を取り入れる
私は、薬はそのままで、生活習慣の改善に取り組むことにしました。薬を変えることで、せっかく安定した症状がまた不安定になるのが怖かったからです。
栄養士と相談し、バランスの取れた食事を心がけるようにしました。また、散歩から始めて、少しずつ運動も取り入れました。
体重は劇的には減りませんでしたが、増加は止まりました。そして何より、「対策を取っている」という実感が、気持ちを前向きにしてくれました。
✅ 成功のコツ
体重増加などの長期的な副作用は、生活習慣の工夫で対処できることも多いです。完璧を目指さず、「できること」から始めることが大切です。主治医や栄養士など、専門家のサポートを活用しましょう。
性機能障害という副作用
もう一つ、話しづらかったけれど深刻だった副作用が性機能障害でした。これも抗うつ薬の一般的な副作用の一つです。
最初は主治医に言い出せませんでした。恥ずかしさがあったからです。でも、パートナーとの関係にも影響が出始め、意を決して相談しました。
主治医は、冷静に対応してくれました。「よくある副作用です。恥ずかしがることはありません」と。
そして、性機能障害が少ない別の薬への変更を提案してくれました。変更後、徐々にこの副作用は改善していきました。
副作用との上手な付き合い方
「完璧な薬」はないと理解する
様々な副作用を経験する中で、私は一つの重要なことを学びました——「完璧な薬」は存在しないということです。
どんな薬にも、多かれ少なかれ副作用があります。大切なのは、副作用と効果のバランスを取ることです。
「副作用がゼロの薬」を探すのではなく、「許容できる範囲の副作用で、十分な効果がある薬」を見つける——この考え方に変わってから、薬との関係が楽になりました。
主治医とのコミュニケーション
副作用との付き合いで最も大切なのは、主治医との密なコミュニケーションです。
私が実践していることは、以下の通りです。
- 副作用を記録する(いつ、どんな症状が、どの程度)
- 我慢せず、早めに相談する
- 恥ずかしがらず、正直に伝える
- 自分の希望や優先順位を伝える
- 疑問があれば、遠慮なく質問する
特に「副作用記録」は役立ちました。診察の時に見せることで、主治医が状況を正確に把握でき、適切な対応を提案してくれるからです。
対処法のレパートリーを増やす
副作用への対処法は、薬の調整だけではありません。生活の工夫でも軽減できることがたくさんあります。
私が実践している対処法を、副作用別にまとめます。
| 副作用 | 私の対処法 |
|---|---|
| 吐き気 | 食後に服用、吐き気止めの併用、生姜湯を飲む |
| 眠気 | 就寝前に服用、昼寝を取り入れる、カフェインは控えめに |
| 口の渇き | こまめに水分補給、飴を舐める、加湿器を使う |
| 便秘 | 水分多めに、食物繊維を意識、軽い運動 |
| 体重増加 | バランス良い食事、間食を控える、散歩を習慣化 |
| だるさ | 無理せず休む、軽いストレッチ、規則正しい生活 |
薬への考え方の変化
「敵」から「味方」へ
服薬を始めた当初、私は薬を「敵」のように感じていました。副作用をもたらす厄介なもの、できれば避けたいもの——そう思っていました。
でも今は違います。薬は「味方」だと思っています。
確かに副作用はあります。でもそれ以上に、薬は私に多くのものをくれました。朝起きられる力、食事を楽しめる余裕、人と会える勇気、未来を考えられる希望——。
副作用は、その「代償」かもしれません。でもトータルで見れば、得たものの方がはるかに大きいのです。
「薬に頼る」ではなく「薬を使う」
もう一つ変わったのは、言葉の使い方です。
以前は「薬に頼っている」と言っていました。でも今は「薬を使っている」と言います。
「頼る」という言葉には、どこか否定的なニュアンスがあります。でも「使う」は、主体的な選択です。
眼鏡をかける人が「眼鏡に頼っている」とは言わないように、私も「薬を使っている」のです。それだけのことです。
一生飲み続けることへの受容
「一生薬を飲み続けなければならないのか」——これは、服薬開始時の大きな不安でした。
でも今は、もしそうなってもそれでいいと思っています。
糖尿病の人がインスリンを使い続けるように、高血圧の人が降圧剤を飲み続けるように、私がうつ病の薬を飲み続ける——それは自然なことです。
もちろん、減薬や中止の可能性も主治医と相談しています。でも、「飲み続けること」を恐れる必要はないと理解しました。
「薬を飲むことは、弱さの証ではありません。自分の健康を守るための、賢明な選択です。それを恥じる必要はまったくないのです」
— 主治医の言葉
薬に不安を感じている人へ
不安は自然なこと
もし今、薬を飲むことに不安を感じているなら、それはとても自然なことです。私もそうでした。
副作用への恐怖、依存への不安、「薬に頼る」ことへの抵抗——これらの感情を否定する必要はありません。
でも、不安だからといって服薬を避けるのではなく、不安を主治医に伝えてください。一緒に対策を考えてもらえます。
副作用は一時的なことが多い
副作用の多くは、服用開始直後が最も強く、徐々に軽減します。
最初の2〜3週間は辛いかもしれません。でもその時期を乗り越えれば、体が薬に慣れて副作用は軽くなることが多いのです。
「副作用が辛いから」とすぐにやめるのではなく、少なくとも1ヶ月は続けてみることをお勧めします。もちろん、耐えられない場合は主治医に相談してください。
自分に合った薬は必ず見つかる
最初の薬が合わなくても、諦めないでください。抗うつ薬には様々な種類があります。
私も、3種類目でようやく自分に合った薬を見つけました。時間はかかりましたが、その価値はありました。
主治医と一緒に、焦らず、あなたに合った薬を探していってください。必ず見つかります。
薬だけに頼らない
最後に、薬は治療の一部であって、すべてではないということも知ってほしいです。
カウンセリング、生活習慣の改善、運動、人とのつながり——こうした要素も、回復には大切です。
薬を「土台」として、その上に様々な要素を積み重ねていく。そうした総合的なアプローチが、確実な回復につながります。
よくある質問
Q1: 副作用が辛い時、自己判断で服薬をやめてもいいですか?
いいえ。急に服薬を中止すると、離脱症状や病状の悪化を招く可能性があります。副作用が辛い場合は、必ず主治医に相談してください。用量の調整や薬の変更など、対処法を一緒に考えてくれます。
Q2: 副作用はいつまで続きますか?
多くの副作用は2〜3週間で軽減します。ただし、体重増加や性機能障害など、長期的に続く副作用もあります。それぞれの副作用について、主治医に相談し、対処法を確認することが大切です。
Q3: 薬を飲むと依存症になりますか?
抗うつ薬は、依存性が低い薬です。適切に使用していれば、依存症になるリスクは非常に低いです。ただし、抗不安薬の一部(ベンゾジアゼピン系)には依存性があるため、主治医の指示通りに服用することが重要です。
Q4: 薬を減らしたい時は、どうすればいいですか?
症状が安定したら、主治医と相談しながら段階的に減薬することが可能です。ただし、自己判断で減らすと再発のリスクがあります。必ず主治医の指導のもとで、ゆっくりと減らしていきましょう。
Q5: ジェネリック医薬品は効果が違いますか?
ジェネリック医薬品は、先発品と同じ有効成分を含み、効果は同等です。ただし、添加物が異なるため、稀に体質に合わないことがあります。ジェネリックへの変更を検討する際は、主治医や薬剤師に相談してください。
まとめ
この記事では、精神科の薬を服用する中で経験した副作用と、その付き合い方についてお話ししました。
- 副作用の多くは一時的で、体が慣れることで軽減します
- 自分に合った薬を見つけるには、時間と試行錯誤が必要です
- 主治医との密なコミュニケーションが、副作用対策の鍵です
- 薬は「敵」ではなく、回復を支える「味方」です
もし今、薬の副作用に悩んでいるなら、一人で抱え込まないでください。主治医に相談してください。対処法は必ずあります。副作用を乗り越えた先に、確実に回復があります。薬を味方につけて、一緒に前に進んでいきましょう。

鈴木 美咲
(すずき みさき)42歳📜 保有資格:
社会福祉士、相談支援専門員
相談支援専門員として15年、障害のある方とそのご家族の「困った」に寄り添ってきました。実際の相談事例をもとに、当事者やご家族のリアルな声、具体的な解決策をお届けします。「一人で悩まないで」がモットーです。
社会福祉士として障害者相談支援事業所に勤務し15年。年間約100件の相談に対応し、サービス等利用計画の作成や、関係機関との調整を行っています。この仕事の魅力は、「困っている」状態から「解決した!」という笑顔に変わる瞬間に立ち会えること。ただし、制度が複雑で「どこに相談すればいいか分からない」という声を本当によく聞きます。特に印象深いのは、お子さんの障害を受け入れられず孤立していたお母さんが、同じ境遇の親の会に繋がり、「一人じゃないと分かって救われた」と涙ながらに話してくださったこと。情報と繋がりの大切さを実感しました。記事では、実際の相談事例(もちろん個人情報は特定できないよう配慮)をベースに、「こんなとき、どうすればいい?」という疑問に答えていきます。
もっと詳しく▼
💭 福祉の道を選んだ理由
大学のボランティアで障害のある方と出会い、「困っている」を「解決した!」に変える仕事がしたいと思ったことがきっかけです。
✨ 印象に残っている出来事
孤立していたお母さんが、親の会に繋がり「一人じゃないと分かって救われた」と話してくださったこと。
✍️ 記事を書く上で大切にしていること
実際の相談事例をもとに、「こんなとき、どうすればいい?」という疑問に答えることを大切にしています。
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