ホーム/記事一覧/生活サポート情報/外出・移動サポート/外出支援の支給量はどう決まる?自治体で違うポイント

外出支援の支給量はどう決まる?自治体で違うポイント

📖 約54✍️ 藤原 洋平
外出支援の支給量はどう決まる?自治体で違うポイント
本記事は、障害者向け外出支援サービス(同行援護・行動援護・移動支援)の支給量がどのように決定されるか、特に自治体ごとの違いに焦点を当てて解説しています。国制度サービスは障害支援区分がベースとなる一方、地域独自の「移動支援」は、自治体のローカルルール(月間上限時間、対象活動の範囲)によって大きく異なることを説明。支給量決定の際の主要な判断基準として、「家族の介護力」「外出の必要性・目的」「障害特性に基づく危険回避の困難さ」の三点を挙げ、申請時に具体的な根拠を提示することの重要性を強調しています。また、支給量が希望通りでなかった場合の対応策として、不服申し立てや代替サービス(福祉有償運送、自費サービス)の活用法を提示し、必要な支援量を確保するための実践的な情報を提供しています。


安心の外出を実現するために

外出支援の支給量はどう決まる?自治体で違うポイント

障害を持つ方々にとって、外出支援サービスは、社会生活を豊かにし、自立を支える上で不可欠なサポートです。しかし、いざサービスの利用を考えたとき、「月に何時間使えるのだろうか」「自分の希望通りに支給されるのだろうか」といった、支給量(サービス利用時間)に関する疑問や不安を抱える方は少なくありません。

外出支援には、国が定める「同行援護」(主に視覚障害者向け)や「行動援護」(主に知的・精神障害者向け)といった障害者総合支援法に基づくサービスと、市町村が独自に実施する「移動支援」(地域生活支援事業)の2種類があります。特に「移動支援」は、市町村(自治体)ごとに支給基準やサービス内容が大きく異なるため、その決定プロセスは複雑になりがちです。

本記事では、この複雑な外出支援サービスの支給量が、どのように決定されるのか、そして自治体によって異なる「支給量の決定ポイント」や「具体的なルール」を、専門的な視点から、わかりやすく、詳しく解説します。この記事を読むことで、ご自身の状況を正確に伝え、必要な支援量を確保するための具体的な道筋を見つけていただければ幸いです。

外出支援サービスの二つの柱:国と自治体の役割

外出支援の支給量を理解するためには、まず「同行援護・行動援護」と「移動支援」の制度上の違いと、それぞれの支給決定における自治体の役割を知る必要があります。

国制度サービス:同行援護と行動援護

同行援護(視覚障害)行動援護(知的・精神障害)は、障害者総合支援法に基づき、全国共通の基準で提供されるサービスです。これらの支給量は、以下のプロセスを経て決定されます。

  1. 一次判定: 障害支援区分認定調査の結果に基づき、コンピューターで判定されます。
  2. 二次判定: 市町村審査会が、一次判定の結果、主治医の意見書、申請者の状況などを総合的に勘案し、障害支援区分(区分1~6)を決定します。
  3. 支給決定: 決定された区分に基づき、さらにサービス等利用計画案の内容や、本人の生活状況、必要な支援時間などを勘案して、市町村が最終的な支給量を決定します。

国制度サービスでは、支給量の決定プロセスに「障害支援区分」という明確な基準が存在しますが、最終的な「上乗せ」や「調整」の部分で、やはり自治体の判断が反映されます。

【支給決定のキーパーソン】相談支援専門員

国制度サービスの支給量を適切に得るためには、相談支援専門員(サービス等利用計画作成者)の役割が極めて重要です。専門員が作成する計画案は、なぜその時間数が必要なのか、その根拠を裏付ける具体的な生活状況やニーズを市町村に伝えるための重要な資料となります。この計画案の質が、支給量を大きく左右すると言えます。

地域独自のサービス:移動支援(ガイドヘルプ)

一方、移動支援は、障害者総合支援法の「地域生活支援事業」に含まれる、市町村が独自の基準と財源で実施できるサービスです。このサービスは、国制度サービスでは対応が難しい、通院や生活必需品の買い物以外の「社会生活上必要不可欠な外出」(例:余暇活動、趣味、社会参加など)を支援します。

移動支援の支給量を決定する際、国制度のような「障害支援区分」という統一的な基準は存在しません。そのため、支給対象者の範囲、支給の単位(月あたり、または年あたり)、そして利用できる活動の範囲が、自治体によって大きく異なってくるのです。

💡 ポイント

例えば、A市では「月に15時間まで」と一律に定めている一方、B市では「区分に応じ、かつ年間で最大180時間」と定めているなど、移動支援のルールは自治体の財政状況や福祉への考え方によって多様です。必ずお住まいの市町村の要綱を確認しましょう。

支給量を決定する際の主な判断基準

国制度・地域制度を問わず、外出支援の支給量を決定する際に、自治体が共通して重視する判断基準があります。これらを理解し、申請時に適切に伝えることが、希望する支給量を得るための鍵となります。

基準1:家族の状況と介護力

自治体が最も重視する基準の一つが、「家族や同居者による支援が可能かどうか」、すなわち「家族の介護力」です。特に移動支援サービスは、「家族による支援が困難な場合」に初めて利用できるという考え方があります。

以下の状況は、外出支援の必要性が高いと判断される要因となります。

  • 家族が仕事や通学で日中不在である時間帯が多い。
  • 家族が高齢化しており、身体的な介助が困難である(老々介護)。
  • 障害を持つ方が、一人暮らしである。
  • 家族も病気や障害を持ち、介護による疲労(レスパイト)が必要である。

申請時には、家族の状況を具体的に記した「勤務証明書」や「家族の健康状態に関する申告書」などを提出することが有効です。

基準2:外出の「必要性」と「目的」

外出の「必要性」と「目的」も、支給量を左右する大きな要素です。特に移動支援では、「社会生活上必要不可欠な外出」の範囲を自治体が独自に定義しています。

  1. 生活必需性の高い外出: 通院、生活必需品の買い物、役所等での公的手続きなどは、通常、高い必要性が認められます。
  2. 社会参加・余暇活動: 趣味の教室、友人との会食、観劇、スポーツ活動などは、自治体によって判断が分かれるポイントです。「QOL(生活の質)の維持向上」に繋がる活動であることを明確に主張することが大切です。

単に「散歩したい」ではなく、「健康維持のため、週に一度、地域のウォーキング会に参加する」といった、具体的な目的と頻度を示すことが、支給決定に有利に働きます。

✅ 成功のコツ

支給量を増やすためには、「何時間欲しいか」ではなく、「なぜこの活動にこれだけの時間が必要なのか」という根拠(エビデンス)を示すことが重要です。移動時間、待ち時間、必要な介助時間を細かく計算し、相談支援専門員に伝えましょう。

基準3:障害特性と危険回避の困難さ

行動援護や同行援護の支給量決定において、特に重視されるのが、障害特性に基づく「危険回避の困難さ」です。これは、単に移動が難しいというだけでなく、外出時に発生する可能性のある以下のリスクを指します。

  • 行動援護(知的・精神): パニック、異食、自傷行為、多動による予期せぬ飛び出しなど、常時見守りや不適切な行動への対応が必要な時間。
  • 同行援護(視覚): 信号や障害物の確認、駅でのホームからの転落リスクなど、情報の提供と安全確保に要する時間。

これらの特性が、いかに長時間の外出において支援を必要とするかを、主治医の意見書や相談支援専門員のヒアリングを通じて、具体的に市町村に伝えることが支給量の確保に直結します。

自治体ごとの「ローカルルール」:違いの具体例

移動支援サービスは、地域差が最も顕著に出るサービスです。ここでは、自治体によって特に判断が分かれやすい「ローカルルール」の具体例を見ていきましょう。

ローカルルール1:支給単位と月間上限時間

移動支援の支給量の上限は、自治体間で最も大きな違いが見られます。主な支給方法には、以下のパターンがあります。

支給単位のパターン 特徴と具体例
定額制(一律支給) 障害支援区分や障害の種類に関係なく、全対象者に月あたり〇〇時間(例:月15時間)を一律に支給する。
区分別上限制 障害支援区分(国制度の区分)や、市独自の基準に基づき、利用可能な月間上限時間を設定する。重度ほど時間が多い。
個別審査制 個々の申請内容を詳細に審査し、必要に応じて時間数を加算していく。定額制に比べ、個別のニーズに対応しやすいが、審査が厳しい場合がある。

定額制は安定していますが、個別のニーズが多い方にとっては不十分となる可能性があります。ご自身の自治体がどのパターンを採用しているかを把握し、申請戦略を立てましょう。

ローカルルール2:対象となる活動の範囲

「社会生活上必要不可欠な外出」の解釈も、自治体によって大きく異なります。特に、以下の活動が対象となるかどうかが分かれ道となります。

  • 冠婚葬祭: 遠方の親族の結婚式や葬儀への参加は、生活必需性が低いと判断され、支給対象外とする自治体が多いです。
  • 趣味・娯楽: 映画鑑賞、カラオケ、遠方への旅行など、純粋な娯楽と見なされる活動は、支給対象外となることがあります。一方で、心身のリフレッシュを目的とした散歩などは認められるケースもあります。
  • 通学や通勤: 原則として、同行援護・行動援護も含め、経済活動や学業のための移動は支給対象外ですが、一部自治体では独自の判断基準を設けている場合があります。

申請書には、単なる活動名ではなく、「なぜその活動が本人にとって不可欠なのか」という理由を具体的に記載することが重要です。

⚠️ 注意

移動支援の支給量を使い切ってしまった場合、原則として追加支給はありません。時間配分を誤ると、月末に必要な外出(例:通院)ができなくなる可能性があるため、計画的な利用が必要です。

支給量が希望通りでなかった場合の対応策

申請した結果、希望する時間数に満たなかった場合でも、すぐに諦める必要はありません。支給量を確保するためのいくつかの対応策があります。

対応策1:不服申し立て(再審査請求)

市町村の支給決定に納得できない場合は、「不服申し立て(行政不服審査法に基づく審査請求)」を行うことができます。これは、決定が法律や条例に照らして不当であると考える場合に、上位の行政機関に再審査を求める手続きです。

不服申し立てを行う際は、以下の準備が必要です。

  • 決定通知書を受け取った日の翌日から3ヶ月以内に手続きを行うこと。
  • 「なぜ決定が不当であるか」という明確な根拠を示すこと(医師の診断書、詳細な生活記録など)。

手続きは複雑ですが、行政書士などの専門家に相談することも可能です。不服申し立ては、ご自身の権利を主張する重要な手段となります。

対応策2:サービス等利用計画の見直し

不服申し立てと並行して、担当の相談支援専門員に依頼し、「サービス等利用計画」の見直しを行うことが効果的です。計画を見直す際には、以下の点を改善しましょう。

  • ニーズの再定義: 最初の計画案では不十分だった、切実な生活上のニーズを改めて詳しく記述する。
  • 第三者の意見: 医師や作業療法士(OT)など、第三者の専門家から、必要な介助時間に関する意見書を書いてもらう。
  • モニタリング記録の活用: 実際にサービスを利用した際の記録(モニタリング記録)を活用し、想定外の困難事例や、時間延長が必要な事例を具体的に示す。

計画の修正と再提出により、市町村が支給量を再検討する可能性があります。

対応策3:代替サービスと自費サービスの活用

公的サービスの支給量がどうしても足りない場合は、公的サービス以外の代替サービスを組み合わせることを検討しましょう。

  • 福祉有償運送: 比較的安価な運賃で、通院や生活に必要な移動手段を確保できます。
  • 民間の自費ヘルパーサービス: 費用はかかりますが、公的サービスでは対象外となる活動(例:旅行、長時間のアウトドア)にも柔軟に対応してもらえます。
  • 地域のボランティア: 社会福祉協議会などが運営するボランティアによる外出付き添いサービスを探してみましょう。

公的支援に頼りすぎるのではなく、これらのサービスを賢く組み合わせる「ハイブリッド支援」も、生活の質を高める重要な戦略です。

「よくある質問」と相談窓口

外出支援の支給量に関する、よくある質問と、困った時の相談窓口をご紹介します。

Q. 遠方への旅行のために、月の上限時間を超えて使えますか?

A. 原則として、移動支援の月間上限時間を超える支給は困難です。しかし、一部の自治体では、「遠距離移動加算」や「年間支給時間の上限」を設定している場合があります。旅行の計画がある場合は、事前に相談支援専門員を通じて市町村に確認し、「遠方の旅行でも支給対象となるか」、そして「時間数の調整が可能か」を相談しましょう。不足分は、自費サービスで補うのが一般的です。

Q. 支給量が減らされたのはなぜですか?

A. 支給量が減らされる主な理由は、以下の通りです。

  1. 生活状況の変化: 同居家族が増えた、家族の仕事の状況が変わったなど、家族の介護力が向上したと判断された場合。
  2. 障害支援区分の見直し: 国制度サービスの場合、障害支援区分が低下した場合。
  3. サービスの重複: 他のサービス(例:デイサービス、短期入所)の利用が増え、外出支援の必要性が減少したと見なされた場合。

決定理由に納得できない場合は、必ず市町村の担当者に具体的な根拠を尋ね、不服申し立てを検討しましょう。

Q. 障害支援区分と支給量は必ず比例するのですか?

A. 同行援護や行動援護では、支給量のベースは区分によって決まりますが、区分が同じでも支給量が異なることは多々あります。これは、区分は身体状況や知的レベルを測るものであり、実際の外出に必要な支援時間(例えば、目的地までの距離、家族の状況)は、区分以外の要素で決まるためです。相談支援専門員が作成するサービス等利用計画の質が、支給量を左右します。

相談窓口と参考リンク

外出支援の支給量に関する複雑な問題について迷ったときは、以下の専門窓口へ相談しましょう。

  • 相談支援事業所: サービス等利用計画の作成、市町村との交渉、支給量に関する具体的なアドバイス。
  • 市町村の障害福祉担当窓口: 支給量の決定基準、不服申し立ての手続き、移動支援のローカルルールの確認。
  • 地域の社会福祉協議会: 福祉サービス以外の、福祉タクシーやボランティアサービスの情報提供。

これらの専門家と連携することで、必要な支援量をしっかりと確保しましょう。


まとめ

外出支援サービスの支給量は、国が定める障害支援区分と、自治体が独自に定めるローカルルールの双方によって複雑に決定されます。特に移動支援では、家族の介護力、外出の目的、自治体の財政状況が支給量を大きく左右します。

希望する支援量を確保するためには、相談支援専門員と密に連携し、なぜその時間数が必要なのかという具体的で客観的な根拠を、市町村にしっかりと伝えることが不可欠です。万が一支給量が不足した場合は、不服申し立てや、福祉有償運送などの代替サービスを組み合わせる「ハイブリッド支援」を検討し、活動的な生活を維持しましょう。

  • ポイント1: 支給量決定の鍵は、障害特性に基づく危険回避の困難さ家族の介護力にある。
  • ポイント2: 移動支援は自治体独自のルール(支給上限、対象活動)が適用されるため、要綱を必ず確認する。
  • ポイント3: 支給量が不服な場合は、不服申し立てを行うか、代替サービスの活用を検討する。

藤原 洋平

藤原 洋平

ふじわら ようへい40
担当📚 実務経験 15
🎯 地域情報🎯 バリアフリー

📜 保有資格:
一級建築士、福祉住環境コーディネーター

バリアフリー設計専門の建築士として15年。公共施設や商業施設のユニバーサルデザインに携わってきました。「誰もが使いやすい」施設情報と、バリアフリーの実践的な知識をお届けします。

大学で建築を学び、卒業後は設計事務所に就職。当初は一般的な建築設計をしていましたが、車椅子を使う友人から「段差一つで行けない場所がたくさんある」と聞き、バリアフリー設計の重要性に目覚めました。その後、ユニバーサルデザインを専門とする設計事務所に転職し、学校、図書館、商業施設など、様々な公共建築のバリアフリー化に携わってきました。特に印象深いのは、地域の古い商店街のバリアフリー改修プロジェクト。車椅子の方も、ベビーカーの方も、高齢者も、みんなが安心して買い物できる街になり、「誰にとっても便利」なデザインの素晴らしさを実感しました。記事では、すぐサポの施設データベースを活用しながら、バリアフリー施設の見つけ方、チェックポイント、外出時の工夫など、実際に役立つ情報を建築の専門家の視点で発信します。

もっと詳しく

💭 福祉の道を選んだ理由

車椅子を使う友人から「段差一つで行けない場所がたくさんある」と聞き、バリアフリー設計の重要性に目覚めました。

✨ 印象に残っている出来事

古い商店街のバリアフリー改修で、誰もが安心して買い物できる街を実現したこと。

✍️ 記事を書く上で大切にしていること

建築の専門家の視点で、実際に役立つバリアフリー情報を発信します。

🎨 趣味・特技

街歩き、建築巡り

🔍 最近気になっているテーマ

心のバリアフリー、センサリールーム

📢 この記事をシェア

関連記事