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外出中のトラブル対処法:急な体調不良・パニックのときは?

📖 約57✍️ 原田 彩
外出中のトラブル対処法:急な体調不良・パニックのときは?
本記事は、障害のある方、ご家族、支援者が外出中に遭遇する可能性のある、急な体調不良やパニック発作などのトラブルへの対処法を詳細に解説しています。トラブルを未然に防ぐための「ヘルプカード」や「緊急連絡先リスト」の作成、持ち物チェックの徹底といった事前準備の重要性を強調。さらに、体調異変時の初期対応(立ち止まる、セルフケア)や、パニック発作時に有効なグラウンディングなどの具体的なテクニックを紹介しています。駅員や周囲の人への具体的な支援要請の方法、そしてトラブル後のフォローアップの重要性についても触れ、読者が安心して外出できる知識と心構えを提供します。


安心・安全な外出のために

急な体調不良・パニック時のトラブル対処法ガイド

外出は生活の質(QOL)を高め、社会との繋がりを持つ上で非常に大切です。しかし、障害のある方やご家族、支援者の方々にとって、外出中に予期せぬトラブル、特に急な体調不良やパニック発作に見舞われることは、大きな不安の種となります。

「もし外で倒れたらどうしよう」「パニックになった時、周囲に理解してもらえるか」といった懸念から、外出をためらってしまう方も少なくありません。このブログ記事では、そのような不安を解消するために、外出中に起こり得る様々なトラブルに備えるための事前準備と、当日の具体的な対処法を、心構えから実践的なテクニックまで、詳細かつ温かく解説していきます。

この記事を参考に、万が一の時にも冷静に対応できる知識を身につけ、安心して一歩外へ踏み出せるよう、一緒に準備していきましょう。

トラブルを未然に防ぐ:万全の事前準備

トラブルへの対処は、実際に発生してから行うものですが、その効果を最大化するのは、トラブルが起こる前の入念な準備です。準備を徹底することで、緊急時の冷静さを保ち、被害を最小限に抑えることができます。

「ヘルプカード」と「緊急連絡先リスト」の作成

急な体調不良やパニックなどで、ご自身や支援を必要とする方が、自分の状況や必要なサポートを周囲に伝えることが困難になる場合があります。そのような状況に備えて、「ヘルプカード」「緊急連絡先リスト」を必ず用意しましょう。

ヘルプカードには、氏名、障害の種類、かかりつけ医、服用中の薬、緊急連絡先、特に必要な支援内容(例:座る場所の確保、静かな場所への移動)などを分かりやすく記載します。これを常に携帯し、いざという時に他者に提示できるようにしておきましょう。特に、外見からは障害が分かりにくい内部障害や精神障害をお持ちの方にとって、ヘルプカードは非常に重要です。

  • ヘルプカードは財布や首から下げるカードケースなど、すぐに取り出せる場所に携帯する。
  • 緊急連絡先は、家族や支援者以外に、かかりつけ医や相談窓口も含めて複数記載する。

持ち物チェックリストの徹底と常備薬の確認

外出時の持ち物は、単なる便利グッズではなく、命綱になり得ます。特に持病や障害に関連する常備薬は、必ずいつもより多めに携帯しましょう。薬の服用時間や方法を記したメモも一緒にしておくと、介助者が不在の場合でも安心です。

また、体調不良に備えて、水分補給用の飲み物、簡単にカロリーを補給できる軽食(飴、ゼリーなど)、そして体温調節のための羽織るもの(ブランケットや上着)も欠かせません。これらの持ち物チェックリストを習慣化することで、「持ってきたつもり」のミスを防げます。

💡 ポイント

常備薬は、万が一の遅延や宿泊に備えて、予備日分(1日分程度)も持ち歩くようにしましょう。これにより、予期せぬ事態で帰宅が遅れても、服薬を中断するリスクを避けられます。

移動ルートのバリアフリー情報と安全な休憩場所の把握

トラブル発生時には、すぐに安全な場所に移動し、休憩や支援を求めることが必要です。そのため、外出ルート上にある駅の待合室、多目的トイレ、地域の休憩所、病院やクリニックなど、緊急時に駆け込める場所を事前にチェックしておきましょう。

特に、精神的なパニックが起きやすい方は、周囲の騒音や人混みを避けられる「静かな場所」の候補を、地図アプリなどで把握しておくことが有効です。例えば、大きな公園のベンチ、人が少ない商業施設の休憩スペースなど、具体的な場所をいくつかリストアップしておくと安心です。

急な体調不良が発生したときの具体的な初期対応

外出中に体調の異変を感じたら、「気のせいかもしれない」と無理をせず、直ちに初期対応を始めることが重要です。早期の対応が、重篤な事態への進行を防ぐ鍵となります。

まずは「立ち止まる・座る」で安全を確保

体調不良やめまい、強い疲労感などを感じたら、無理に移動を続けず、すぐにその場に立ち止まる、または座り込むことを優先しましょう。移動中であれば、階段やエスカレーターの近く、人通りの多い場所など、危険な場所を避け、壁際やベンチなどにもたれかかれる場所へ移動します。

視覚障害の方や運動機能に不安がある方は、すぐに介助者や近くの人に声をかけ、安全な場所への誘導を依頼しましょう。もし、周囲に人がいない場合は、携帯電話で緊急連絡先に状況を伝え、指示を仰ぐことも重要です。

「以前、駅のホームで貧血を起こしそうになった時、すぐに壁に寄りかかり、座り込みました。数分間休んだだけで回復し、大事に至らずに済みました。無理をしない勇気が大切だと痛感しました。」

— 内部障害者 Dさんの体験談

症状に応じたセルフケアと周囲への伝達

安全を確保できたら、次は症状に応じたセルフケアに移ります。例えば、糖尿病による低血糖の症状が出ている場合は、すぐに携帯しているブドウ糖や飴を摂取しましょう。パニック発作の兆候がある場合は、深呼吸や事前に決めておいたリラックス法(例:好きな音楽を聴く、手のひらを強く握る)を試みましょう。

同時に、周囲に状況を伝えることも重要です。ヘルプカードを提示するか、「すみません、体調が悪いです」と声をかけ、援助を求めましょう。支援者やご家族が同行している場合は、状況を明確に伝え、必要な介助をお願いします。

✅ 成功のコツ

セルフケアを行う際は、周囲の目や意見を気にせず、自身の体調を最優先にしましょう。恥ずかしいと感じる必要はありません。公共の場で支援を求めることは、当然の権利です。

鉄道会社や施設のスタッフへの支援要請

体調不良が重度で、ご自身や介助者だけでの対応が困難な場合は、遠慮なく駅員や施設のスタッフに支援を求めましょう。駅のホームや改札付近であれば、すぐに駅員さんに声をかけます。

スタッフは、静かな休憩室への誘導、救急車の手配、ご家族への連絡、駅のAED(自動体外式除細動器)の準備など、訓練された適切な対応をしてくれます。連絡が取れない場合は、近くの公衆電話や、他の乗客に「駅員さんを呼んでほしい」と依頼しましょう。

精神的なパニック・不安発作への対応

精神障害や発達障害、または強いストレスが原因で、外出中に予期せぬパニックや不安発作に見舞われることがあります。これらの症状は周囲の理解が得られにくいこともあり、より慎重な対処が必要です。

パニック発作のサインを早期に察知する

パニック発作は、動悸、息苦しさ、めまい、非現実感などを伴い、強い恐怖感でその場から動けなくなることがあります。重要なのは、発作が本格化する前の初期サイン(例:急な手の震え、ざわざわした感覚、強い焦燥感)を当事者自身または介助者が早期に察知することです。

サインを察知したら、すぐに人混みを離れ、静かで落ち着ける場所へ移動することが最優先です。移動が難しい場合は、その場にしゃがみ込み、周囲の情報を遮断する(例:フードをかぶる、耳を塞ぐ)などの対処を試みます。

パニック時の「グラウンディング」テクニック

パニックや強い不安で現実感がない状態になったとき、現実世界に意識を繋ぎ止めるためのテクニックを「グラウンディング(接地)」と呼びます。これは、精神的な不安定さを物理的な感覚に集中することで解消する手法です。

具体的な方法として、「5-4-3-2-1」の法則があります。

  1. 5つ:目に見えるものを5つ探して名前を言う。
  2. 4つ:体に感じられるもの(例:服の感触、ベンチの硬さ)を4つ感じる。
  3. 3つ:耳に聞こえる音を3つに集中する。
  4. 2つ:匂いを2つ感じる(例:自分の服、持っているもの)。
  5. 1つ:味覚を1つ感じる(例:飴、水)。

この手順を踏むことで、意識を外界の五感に戻し、不安のループから抜け出す助けとなります。

周囲の理解を求める「伝え方」の工夫

パニック発作や自閉スペクトラム症による感覚過敏などで、不適切な行動に見える場合、周囲の誤解や偏見を生むことがあります。このような時こそ、ヘルプカードの提示が非常に有効です。

もし、口頭で説明できる状態であれば、「ごめんなさい、持病で少しパニックになっています。大丈夫ですので、少し静かにさせてください」など、簡潔かつ丁寧に状況を伝えましょう。周囲の人が手助けを申し出てくれた場合は、静かに見守ってもらうようお願いするなど、具体的な支援内容を伝えることが、不要な干渉を防ぐことにつながります。

⚠️ 注意

パニック発作中の当事者に、過度な励ましや、大声での問いかけは逆効果になることがあります。介助者や支援者は、静かにそばで見守ること、そして物理的な安全を確保することを優先しましょう。

情報伝達と支援の引き継ぎの重要性

トラブル発生時に、適切な支援を継続的に受けるためには、情報の正確な伝達と、支援の引き継ぎが重要となります。

電話やメッセージによる状況報告

体調が回復に向かい始めたら、すぐに緊急連絡先に登録しているご家族や支援者に、電話やメッセージで状況を報告しましょう。この際、「現在地(具体的な駅名や施設名)、今の症状、必要な支援(例:迎えに来てほしい、病院へ行きたい)」を正確に伝えることが重要です。

もし、言葉での報告が難しい場合は、安否確認アプリなどで、GPS情報を共有したり、定型文メッセージを送信したりする機能を活用することもできます。情報が正確であるほど、駆けつけてくれるご家族や支援者の行動が迅速になります。

支援を求める際の明確な依頼と役割分担

周囲の人やスタッフに支援を求める場合、「手伝ってください」という抽象的な依頼ではなく、具体的な行動を依頼しましょう。例えば、「救急車を呼んでください」「あのベンチまで車いすを押してください」「水を一口ください」など、簡潔で分かりやすい言葉で伝えます。

もし、複数の人が支援を申し出てくれた場合は、支援者同士で役割分担を明確にすることも、スムーズな対応につながります。「あなた(指差して)は駅員さんを呼んで、あなた(指差して)は私とここにいて見守ってください」といった指示を出すことで、周りの人も戸惑うことなく行動に移れます。

抽象的な依頼 具体的な依頼
手伝ってほしい 救急車を呼んでください
具合が悪い 水を飲みたいです
どうしたらいいか 次の電車まで静かな場所で休ませてほしい

病院や帰宅までのフォローアップ

体調不良が落ち着き、病院へ向かう、あるいは帰宅の途につくことになった後も、フォローアップは欠かせません。移動の手段や、付き添いが必要かどうかを、ご家族や支援者と綿密に打ち合わせましょう。

病院へ行く場合は、ヘルプカードやかかりつけ医の情報、服用中の薬を医師に提示し、スムーズな診察を受けられるようにします。帰宅後も、その日の外出が体調に与えた影響を考慮し、無理せず安静にすることが、次の外出への不安を減らすことに繋がります。

「よくある質問」と相談窓口

外出中のトラブルについて、当事者やご家族からよく聞かれる質問と、困った時の相談窓口をご紹介します。

Q. 障害者手帳の提示は、緊急時に役立ちますか?

A. はい、非常に役立ちます。運賃割引の証明だけでなく、緊急時にご自身の障害や状況を公的に証明する重要な書類となります。警察官、救急隊員、医療機関のスタッフなどが、手帳を確認することで、その後の適切な対応を迅速に判断することができます。常にすぐに取り出せる場所に携帯しましょう。

Q. ヘルプカードの配布はどこでされていますか?

A. ヘルプカードは、お住まいの自治体(市町村役場の福祉課など)や、障害者支援センターなどで配布されていることが多いです。また、自治体のホームページからテンプレートをダウンロードして、ご自身で作成することも可能です。自治体によっては、独自のカードやバッジを配布している場合もありますので、確認してみましょう。

Q. パニック発作が起きた時に「放置してほしい」と伝えるのはわがままですか?

A. いいえ、全くわがままではありません。パニック発作や感覚過敏の場合、周囲からの声かけや接触が、かえって症状を悪化させることがあります。これは障害の特性によるものであり、「静かに見守ってほしい」と明確に伝えることは、適切な支援を求めるための重要な自己主張です。ヘルプカードにその旨を記載しておくと、より理解を得やすくなります。

相談窓口と参考リンク

外出や移動に対する不安、または過去のトラブルについて専門家に相談したい場合は、以下の窓口を活用してください。

  • お住まいの自治体の障害福祉課: 移動支援やガイドヘルパー制度など、外出サポートに関する相談。
  • 精神保健福祉センター(精神障害をお持ちの方): パニック発作など、精神的なトラブルへの対処法や地域の専門家を紹介。
  • 地域包括支援センター(高齢者の方も含む): 地域での生活全般の困りごとや、緊急時の対応に関する相談。

不安を一人で抱え込まず、専門的なサポートを受けることが、安心な外出への第一歩です。


まとめ

外出中のトラブルは誰にでも起こり得ますが、障害のある方にとっては、その影響がより深刻になりがちです。しかし、ヘルプカードや緊急連絡先リストの作成、常備薬の確認といった万全の事前準備を行うことで、トラブルのリスクを減らし、万が一の際の対応力を高めることができます。

体調不良やパニックを感じたら、すぐに安全な場所に移動し、冷静に状況を周囲に伝えましょう。適切な支援を求める勇気と、具体的な依頼を行うことが、あなた自身と周囲の人を守ります。この記事が、皆さまの外出への不安を和らげ、よりアクティブな生活を送るための一助となることを願っています。

  • ポイント1: ヘルプカード緊急連絡先リストは、外出時の必須アイテムとして必ず携帯する。
  • ポイント2: 体調不良を感じたら、無理をせずすぐに立ち止まり、安全な場所で初期対応を行う。
  • ポイント3: パニック時にはグラウンディングを試み、支援を求める際は具体的な行動を依頼する。

原田 彩

原田 彩

はらだ あや35
担当📚 実務経験 10
🎯 地域情報🎯 バリアフリー

📜 保有資格:
社会福祉士、相談支援専門員

相談支援専門員として10年、地域の福祉資源の発掘と繋ぎに力を入れています。「この街で暮らす」を支えるために、施設情報だけでなく、バリアフリースポットや割引施設など、生活を豊かにする地域情報をお届けします。

大学で福祉を学び、卒業後は地域の相談支援事業所に就職。当初は「障害福祉サービス」だけが支援だと思っていましたが、地域の中には使える資源がたくさんあることに気づきました。例えば、障害者割引が使える映画館、バリアフリー対応のカフェ、当事者の方が集まれるコミュニティスペースなど。こういった情報を知っているかどうかで、生活の質が大きく変わります。特に印象的だったのは、引きこもりがちだった方が、近所のバリアフリー図書館を知り、そこで読書会に参加するようになったこと。「外に出るのが楽しくなった」と言ってくださいました。記事では、すぐサポの26万件の施設データベースを活用しながら、地域ごとの福祉サービスの特徴や、知って得する地域情報をお伝えします。

もっと詳しく

💭 福祉の道を選んだ理由

大学で福祉を学び、地域の中に使える資源がたくさんあることに気づいたことがきっかけです。

✨ 印象に残っている出来事

引きこもりがちだった方が、バリアフリー図書館を知り、読書会に参加するようになったこと。

✍️ 記事を書く上で大切にしていること

すぐサポの施設データベースを活用し、地域ごとの特徴や知って得する情報を発信します。

🎨 趣味・特技

街歩き、写真撮影

🔍 最近気になっているテーマ

インクルーシブな街づくり、ユニバーサルデザイン

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