「配慮事項」って何を書く?面接で困らない表現例

「面接で合理的配慮を求めたいけれど、どこまで具体的に話せばいい?」「配慮を求めることで、企業に『わがまま』だと思われたり、採用に不利になったりしないか不安だ」と悩んでいませんか?
障害者雇用において、「必要な配慮事項を明確に、かつ論理的に伝える能力」は、スキルや職務経歴と同じくらい重要視されます。企業は、あなたの配慮要求が「過重な負担」にならないか、そしてその配慮によって「安定して長く働けるか」を知りたいからです。
この記事では、合理的配慮を「勤務時間・環境・業務指示・体調管理」の4つのカテゴリーに分けて、障害種別ごとの具体的な表現例を徹底解説します。さらに、配慮を「要望」ではなく「企業への貢献を可能にする条件」として伝えるための3つの鉄則をご紹介します。
この記事を読むことで、不安なく自信を持って面接に臨み、企業と建設的な対話を行うための具体的な方法を手に入れられるでしょう。
合理的配慮を伝えるための3つの鉄則
鉄則1:「配慮」と「貢献」をセットで伝える
配慮事項を伝える際、単に「○○をお願いします」と要望するだけでは、企業はあなたを「負担」と捉えかねません。重要なのは、「この配慮を受けることで、私は安定的に〇〇の業務で貢献できます」と、配慮と貢献をセットで伝えることです。
【悪い例】:精神障害のため、残業はできません。
【良い例】:体調の安定を最優先するため残業は原則免除をお願いしますが、その分、勤務時間内は高い集中力を維持し、データ入力や文書作成といった得意業務を時間内に完了させる能力に長けています。
このように、配慮があなたの能力を引き出し、企業にとってメリットをもたらすことを明確にアピールしましょう。
鉄則2:抽象的な表現を避け「具体性」を追求する
企業が最も判断に困るのは、抽象的で曖昧な配慮要求です。「ストレスがかからないようにしてほしい」「体調に合わせて調整してほしい」といった表現は、企業に「何をすればいいか分からない」という不安を与えます。
配慮事項は、誰が、いつ、何を、どのように行うか、という行動レベルまで具体化しましょう。具体性があるほど、企業は「実現可能かどうか」を正確に判断でき、採用に前向きになれます。
【悪い例】:休憩を多く取りたいです。
【良い例】:集中力が90分以上持続しない特性があるため、90分ごとに10分間の休憩を自席で取得することで、午後の業務効率を維持できます。
鉄則3:必ず「障害版トリセツ」として文書で準備する
口頭での説明は、漏れや誤解が生じやすいものです。面接で配慮事項を伝える際は、事前に作成した「障害版トリセツ(自分自身の取扱説明書)」を面接官に提出し、内容を補完しましょう。
トリセツには、あなたの障害特性、得意・苦手なこと、過去の成功事例、そして具体的な配慮事項を一覧で記載します。これにより、面接官は落ち着いて内容を確認でき、あなたの自己理解の深さを評価できます。
カテゴリー別:配慮事項の具体的な表現例(障害種別ごと)
カテゴリー1:勤務時間・通院・休暇に関する配慮
この分野の配慮は、体調管理の土台となるため、安定的な出勤が可能であることを強調しながら伝えましょう。
| 障害種別 | 必要な配慮事項 | 面接での具体的な表現例 |
|---|---|---|
| 精神障害 | 残業・休日出勤の免除 | 「再発防止と安定した体調維持のため、残業は原則免除をお願いします。その分、定時内で成果を出すことにコミットします。」 |
| 身体障害(肢体不自由) | 時差出勤、通勤負担軽減 | 「満員電車での体力的消耗を避けるため、9:30始業の時差出勤を希望します。通勤ストレス軽減により、業務に万全の状態で臨めます。」 |
| 内部障害 | 通院休暇、急な体調不良への対応 | 「定期的な通院のため、月に一度半日休暇をいただきます。また、予期せぬ体調悪化時には、速やかに休憩室で休養を取らせていただきたく存じます。」 |
特に精神障害の場合、「残業不可」と伝えるだけでなく、「時間管理能力が非常に高く、与えられたタスクを時間内に完了させるのが得意」といった、プラスのスキルを添えて伝えるのが効果的です。
カテゴリー2:業務環境・設備に関する配慮
この分野は、主に感覚過敏や移動の制約に対応するためのもので、企業側が物理的なコストを検討する項目です。代替案も用意しておくと交渉がスムーズです。
| 障害種別 | 必要な配慮事項 | 面接での具体的な表現例 |
|---|---|---|
| 発達障害 | 騒音・光の調整 | 「特定の音や光に過敏な特性があるため、可能であれば、パーティションで仕切られた席や、奥まった静かな席を希望します。これにより集中力を最大限に高められます。」 |
| 身体障害(車いす) | 設備・導線の確保 | 「車いすでの利用を前提とした広い導線とデスクスペース、および多目的トイレの使用をお願いします。オフィス内の移動は自力で可能です。」 |
| 視覚障害 | 情報機器の提供 | 「業務で使用するPCには、音声読み上げソフト(例:PC-Talker)の導入をお願いいたします。ソフトがあれば、他の社員の方と同じ情報にアクセスできます。」 |
物理的な配慮を求める際は、「もし難しい場合は、耳栓の使用や、私物の遮光ボードの使用など、自己負担で代替することも可能です」といった一言を添えると、企業側の負担軽減への配慮が伝わります。
カテゴリー3:業務内容・指示に関する配慮
カテゴリー3:業務内容・指示に関する配慮
この分野は、最も重要な合理的配慮であり、あなたの得意な業務に集中させてもらうために必要な調整です。企業の採用目的とあなたの特性を合致させるための交渉となります。
| 障害種別 | 必要な配慮事項 | 面接での具体的な表現例 |
|---|---|---|
| 精神・発達障害 | マルチタスク・電話応対の免除 | 「緊急性の高い電話応対や、同時に複数のタスクを処理する業務は苦手です。その代わり、データ入力や資料作成といった集中力が必要な業務は高品質で提供できます。」 |
| 全般(特に精神・発達) | 業務指示の明確化 | 「業務指示は、口頭だけでなく、メールやチャットで必ず文書化をお願いします。タスクを箇条書きで示していただけると、誤解なく、正確に作業を遂行できます。」 |
| 精神障害 | 業務量の段階的な調整 | 「入社後3ヶ月間は、業務量を通常より2割程度少なく設定し、徐々に増やしていく形でお願いできますでしょうか。段階的な負荷調整で、安定的な定着を目指します。」 |
業務内容に関する配慮は、面接官が最も判断に悩む部分です。必ず「なぜその業務が苦手なのか(障害特性)」と、「その代わりに何が得意なのか(強み)」をセットで説明し、納得感を持ってもらいましょう。
カテゴリー4:体調管理・コミュニケーションに関する配慮
これは、体調の悪化を防ぎ、早期に問題を解決するための仕組みに関する配慮です。企業への依存ではなく、自己管理能力の高さを示す機会と捉えましょう。
| 障害種別 | 必要な配慮事項 | 面接での具体的な表現例 |
|---|---|---|
| 精神障害 | 体調悪化時の対応ルール | 「もし体調不良のサイン(例:頭痛、集中力の著しい低下)が出た場合、すぐに直属の上司に報告し、休憩室で30分休養を取るというルールを設定いただけると幸いです。」 |
| 全般 | 上司との定期面談 | 「体調や業務進捗の報告・相談のため、週に一度、15分程度の定期面談を設けていただけると、問題の早期発見につながり、安定就労に貢献します。」 |
| 発達障害 | フィードバックの方法 | 「業務のフィードバックは、抽象的な表現ではなく、具体的に『何を、どのように改善するか』を伝えていただけると、正確に理解し、迅速に改善できます。」 |
「体調悪化時の対応ルール」は、トラブルを未然に防ぎたい企業にとって最も歓迎される配慮の一つです。具体的なサインと対応方法を明確に提案しましょう。
配慮事項に関する面接での交渉術とNG表現
交渉術1:配慮要求に「優先順位」をつける
配慮事項をすべて羅列するのではなく、「これだけは譲れない生命線」となる配慮(例:残業免除、通院休暇)と、「できればあればありがたい」という配慮(例:個別ブース)に、事前に優先順位をつけましょう。
面接で企業から「この配慮は難しい」と言われた場合、すぐに「では、〇〇は諦めます」と次点の配慮や代替案を提示できるように準備しておくと、企業に「柔軟性がある」という好印象を与えられます。
交渉術2:「過去の成功例」を根拠として提示する
「なぜ、その配慮が必要なのですか?」と聞かれたら、あなたの過去の就労経験や、就労移行支援での訓練経験を根拠として示しましょう。
【例】:「前職で、業務指示が文書化されず混乱し、ミスが多発した経験から、文書化の配慮を求めるに至りました。文書化されてからは、ミスがゼロになった実績があります。」
このように、失敗を教訓にし、その配慮が有効である「実績」を示すことで、企業はあなたの要求に論理的な根拠があると判断し、納得しやすくなります。
NG表現:配慮を「当たり前の権利」として主張する
合理的配慮は法的な義務ですが、面接の場で「これは法律で決まっているので当然やってもらいます」といった強い口調や、権利を主張するような態度は避けましょう。これは、企業に「協調性がない」「入社後のトラブルが多そう」といったマイナスな印象を与えます。
あくまで、「共に働くパートナーとして、安定的な業務遂行のために協力をお願いしたい」という、丁寧で謙虚な姿勢で臨むことが、建設的な関係を築くための第一歩となります。
まとめ
障害者雇用の面接における配慮事項の伝達は、あなたの自己理解の深さと、安定就労への意欲を示す最高のチャンスです。配慮は「要望」ではなく、「企業への貢献を可能にするための条件」として、前向きかつ論理的に伝えましょう。
「勤務時間」「業務指示」「環境」「体調管理」の4つのカテゴリーごとに、具体的な表現と「貢献」の視点をセットで準備し、面接に臨んでください。そして、必ず「障害版トリセツ」を文書で用意し、企業との対話を成功させてください。
- 配慮事項は、「配慮(要求)」と「貢献(メリット)」をセットにし、前向きに伝える。
- 抽象的な表現を避け、具体的な行動レベルまで落とし込んで伝える。
- 面接では、「勤務時間」「業務指示」「体調管理」の3つを重点的に説明する。
- 質問に備え、配慮要求に優先順位をつけ、代替案も準備しておく。

伊藤 真由美
(いとう まゆみ)33歳📜 保有資格:
特別支援学校教諭免許、社会福祉士
特別支援学校で5年教員を務めた後、就労継続支援B型事業所で5年勤務。「学校から社会へ」の移行支援と、「自分のペースで働く」を応援します。進路選択や作業所選びの情報をお届けします。
大学で特別支援教育を学び、卒業後は特別支援学校の教員として5年間勤務。知的障害や発達障害のある生徒たちの進路指導を担当する中で、「卒業後の支援」の重要性を痛感しました。そこで教員を辞め、就労継続支援B型事業所に転職。現在は生活支援員として、様々な障害のある方が自分のペースで働く姿を日々見守っています。特に大切にしているのは、「働くことがすべてではない」という視点。一般就労が難しくても、作業所での仕事や日中活動を通じて、生きがいや居場所を見つけることは十分可能です。記事では、特別支援学校卒業後の進路選択、就労継続支援A型・B型の違い、作業所での実際の仕事内容など、「自分らしい働き方・過ごし方」を見つけるための情報を発信します。
もっと詳しく▼
💭 福祉の道を選んだ理由
特別支援教育を学び、「卒業後の支援」の重要性を感じたことがきっかけです。
✨ 印象に残っている出来事
作業所での仕事や日中活動を通じて、生きがいや居場所を見つけた方々を見守ってきたこと。
✍️ 記事を書く上で大切にしていること
「働くことがすべてではない」という視点を大切に、自分らしい過ごし方を見つける情報を発信します。
🎨 趣味・特技
ハンドメイド、音楽鑑賞
🔍 最近気になっているテーマ
発達障害のある方の就労支援、工賃向上の取り組み





