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生活費が足りないときに使える公的支援まとめ

📖 約33✍️ 金子 匠
生活費が足りないときに使える公的支援まとめ
障害を持つ方やその家族が直面する生活費不足の不安を解消するため、利用可能な公的支援制度をまとめました。一時的な資金難には社会福祉協議会の生活福祉資金貸付制度、長期的な生活再建には生活保護制度が最後の砦となります。また、高額療養費制度や自立支援医療による医療費負担軽減、特別障害者手当など、障害者特有の給付も重要です。これらの制度は「申請主義」のため、まずはお住まいの地域の自立相談支援機関や福祉事務所に相談し、ご自身の状況に合った最適な支援プランを立て、経済的な安定を目指しましょう。

生活費が足りないときに使える公的支援まとめ

お金の不安を抱えるすべての方へ

障害を持つ方、そのご家族、そして支援者の皆さま。日々の生活の中で、「今月の生活費が厳しい」「急な出費で家計が赤字になってしまった」といった経済的な不安に直面することは少なくありません。

障害年金や手当を受給していても、物価の上昇や医療費の負担などで、生活が立ち行かなくなることは誰にでも起こり得ます。しかし、日本には、そうした経済的な困難に直面した際に生活を立て直すための公的な支援制度がいくつも用意されています。

本記事では、生活費が足りないときにすぐに使える、または長期的に生活を支えるための重要な公的支援制度を分かりやすくまとめてご紹介します。利用できる制度を知り、一歩踏み出して相談することが、安心した生活を取り戻すための第一歩です。


一時的に生活が困窮した時のための資金

生活福祉資金貸付制度:緊急時の備え

生活福祉資金貸付制度は、低所得者や高齢者、障害を持つ世帯に対し、生活を維持していくために必要な資金を貸し付ける公的な制度です。一時的に生活費が不足した場合や、急な出費に対応する必要がある場合に非常に役立ちます。

この制度は、主に社会福祉協議会(社協)が窓口となっており、地域の状況に応じたきめ細やかな相談と支援が受けられます。利息は非常に低く(保証人なしで年1.5%など)、保証人がある場合は無利子となる場合もあります。

生活福祉資金貸付制度の主な種類

この制度には、目的や状況に応じていくつかの種類があります。

  • 総合支援資金:失業や病気などで生活が困窮し、生活再建までの間に必要な生活費や一時的な資金を貸し付ける制度です。原則3ヶ月~1年間、月々の生活費が貸し付けられます。
  • 福祉資金:療養費、介護費用、住宅の増改築費用、車の購入費など、福祉の目的のために必要な一時的な資金を貸し付ける制度です。
  • 緊急小口資金:緊急かつ一時的に生活費が必要となった際に、少額を貸し付ける制度です。急な病気や災害など、緊急性が高い場合に利用できます。

💡 ポイント

生活福祉資金貸付制度の相談は、お住まいの市区町村の社会福祉協議会が窓口です。まずは電話で予約を取り、現在の困窮状況を具体的に伝えましょう。

福祉事務所の「臨時特例つなぎ資金」

生活保護の申請を行う際、決定までの間に現金が必要となる場合があります。このような場合に、生活保護が開始されるまでのつなぎとして、一時的な資金を貸し付ける「臨時特例つなぎ資金」を利用できる場合があります。

これは、他の公的な給付(失業保険や年金など)を申請しているが、まだ受給できていない期間に利用できる制度です。この資金の貸付は、生活保護申請中の生活基盤を維持するために非常に重要です。相談窓口は、お住まいの地域の福祉事務所(生活保護担当課)です。


生活再建のためのセーフティネット

生活保護制度:最後の砦

生活保護制度は、憲法で定める「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するための、国が定める最後のセーフティネットです。病気や障害、高齢などで働けなくなり、あらゆる資産や能力、他の公的支援(年金、手当など)をもってしても最低生活費に満たない場合に適用されます。

障害を持つ方やそのご家族にとって、障害年金や他の手当と生活保護は併用されることが多く、生活保護の支給額は、それらの収入を差し引いた不足分が支給されます。

生活保護申請の注意点と手順

生活保護の申請は、お住まいの地域の福祉事務所で行います。申請には以下の点に注意が必要です。

  • 原則として資産の処分が必要:預貯金、生命保険、高価な車や不動産など、生活に不要な資産は原則として処分し、生活費に充てる必要があります。
  • 扶養義務の確認:親族(子ども、親、兄弟姉妹など)に扶養義務を履行できるかどうかが調査されます。ただし、親族に扶養を強制するものではありません。
  • 収入の確認:すべての収入(年金、手当、アルバイト収入など)を申告する必要があります。

生活保護の審査は厳格ですが、生活が破綻する前に、躊躇せず福祉事務所に相談することが大切です。福祉事務所の担当員(ケースワーカー)が、親身になって相談に乗ってくれます。

住宅確保給付金:住居の安定化支援

住宅確保給付金は、離職・廃業などにより経済的に困窮し、住居を失った方、または失うおそれがある方を対象に、賃貸住宅の家賃相当額を支給する制度です。これは、生活の基盤となる住居を安定させることを目的としています。

新型コロナウイルス関連の特例措置として注目されましたが、恒久的な制度として利用が可能です。原則3ヶ月間(最長9ヶ月まで延長可能)、自治体が定める上限額の範囲内で家賃が支給されます。

✅ 成功のコツ

住宅確保給付金は、ハローワークでの求職活動を行うことなどが支給の要件となる場合があります。申請する際には、地域の自立相談支援機関に相談し、就労支援と合わせて利用計画を立てましょう。


特別な費用を支援する制度

高額療養費制度:医療費負担の軽減

生活費が逼迫する大きな原因の一つが、医療費です。高額療養費制度は、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が、ひと月(月の初めから終わりまで)で自己負担限度額を超えた場合、その超えた分が払い戻される制度です。

この制度の最大のポイントは、自己負担限度額が所得に応じて決められている点です。特に、障害年金のみを受給しているなど、所得が低い世帯ほど、限度額が低く設定されており、高額な医療費がかかっても、月々の負担を大幅に軽減できます。

高額療養費制度の具体的な利用手順

  1. 加入している公的医療保険(健康保険組合、協会けんぽ、国民健康保険など)に問い合わせる。
  2. 事前に「限度額適用認定証」を申請し、医療機関の窓口に提示すると、支払いが自己負担限度額までで済みます。
  3. 事前の申請が間に合わなかった場合は、後日、医療保険に払い戻し(療養費の支給)を申請します。

この制度は、申請しないと払い戻されないため、高額な医療費がかかる見込みがある場合は、必ず事前に手続きを行いましょう。

災害援護資金:災害による生活再建の支援

地震や台風などの自然災害により、住居や家財に大きな被害を受け、生活費が不足した場合に利用できるのが災害援護資金です。これは、被災した世帯に対し、生活の再建のために必要な資金を低利または無利子で貸し付ける制度です。

災害援護資金は、罹災(りさい)証明書の提出が求められ、被害の程度に応じて貸付限度額が定められています。災害からの復旧は多大な費用がかかるため、被災された方はお住まいの市区町村の災害担当窓口に相談しましょう。


障害を持つ方向けの追加支援制度

特別障害者手当:重度障害者への上乗せ給付

障害年金を受給している方の中でも、身体または精神に著しく重度の障害があり、日常生活において常時特別の介護を必要とする20歳以上の方を対象に、特別障害者手当が支給されます。

この手当は、障害年金やその他の公的給付とは別に支給され、月額約27,980円(令和6年度)が支給されます。ただし、所得制限があり、また、病院に3ヶ月以上入院している場合や、施設に入所している場合は支給対象外となることがあります。

福祉事務所への申請と再判定

特別障害者手当の申請は、お住まいの市区町村の福祉事務所(障害福祉担当課)が窓口です。手当の受給が認められた後も、支給継続のために数年ごとに障害状態の再判定が行われます。診断書の内容や日常生活の状況が、重度障害の状態を維持しているか確認されます。

この手当は、重度障害による追加的な費用負担を軽減するための重要な給付です。対象となり得る方は、必ず窓口に相談しましょう。

補装具費・日常生活用具費の給付

障害を持つ方にとって、車いす、補聴器、義肢装具などの補装具や、特殊寝台、入浴補助具などの日常生活用具は、生活に欠かせません。これらの購入・修理費用を原則1割の自己負担で済むよう助成する制度があります。

これらの給付は、一時的に大きな出費となることを防ぎ、生活費の圧迫を回避するために非常に重要です。手続きには、医師の意見書や見積もりが必要となり、必ず購入前の事前申請が必須となります。

詳細は、お住まいの市区町村の障害福祉担当課に相談し、「補装具費支給制度」や「日常生活用具給付等事業」の対象品目リストを確認しましょう。

⚠️ 注意

日常生活用具の給付は、所得によって自己負担上限額が設けられています。また、給付を受けられる用具の種類や回数には制限があるため、購入前に必ず確認が必要です。


よくある質問と相談のステップ

Q1. どの制度から優先的に申請すべきですか?

A. 経済的な困窮度合いや状況によって優先順位は異なりますが、一般的には以下のステップで検討することが推奨されます。

  1. 現在の収入を最大化:障害年金、特別障害者手当、児童扶養手当など、利用可能な公的給付を全て申請しているか確認する。
  2. 支出を最小化:高額療養費制度、自立支援医療などの医療費軽減制度を利用し、支出を抑える。
  3. 一時的な資金調達:生活福祉資金貸付制度の緊急小口資金など、低利な貸付制度を検討する。
  4. 最後の手段:上記全てでも生活が維持できない場合に、生活保護制度を検討する。

判断に迷う場合は、後述の相談窓口に相談し、専門家の意見を聞くのが最も確実です。

Q2. 相談窓口はどこに行けばいいですか?

A. 支援制度によって担当窓口が異なりますが、まずは地域の「自立相談支援機関」に相談するのがおすすめです。ここは、生活に困窮している方のために、最適な支援プランを立ててくれる総合窓口です。

困りごとの種類 主な相談窓口
全般的な生活困窮 自立相談支援機関(市区町村の福祉担当課が所管)
緊急の生活費貸付 社会福祉協議会
医療費の負担軽減 加入している健康保険、または病院の医療ソーシャルワーカー(MSW)
障害福祉サービス・手当 市区町村の障害福祉担当課
最後の生活支援 福祉事務所(生活保護担当課)

Q3. 生活費が足りない状況を正直に話して大丈夫ですか?

A. はい、もちろんです。これらの公的支援制度は、まさに生活に困窮した方を救済するために存在しています。包み隠さずに現状を正直に話すことが、あなたに合った最適な支援を受けるための唯一の方法です。

相談を受けた担当者(ケースワーカー、相談支援専門員など)は守秘義務を負っており、親身になって話を聞いてくれます。遠慮や見栄を張らず、今困っていることを具体的に伝えましょう。


まとめ

生活費が足りないという経済的な不安は、心身に大きな負担を与えます。しかし、障害年金や手当の制度の他に、生活福祉資金貸付制度、生活保護制度、各種医療費助成、特別障害者手当など、あなたの生活を支えるための公的支援はいくつも存在します

これらの制度は「申請主義」であり、ご自身で情報を得て、一歩踏み出して申請しない限り、利用することはできません。今日ご紹介した情報を参考にして、まずはお住まいの地域の「自立相談支援機関」や「社会福祉協議会」に相談することから始めてみてください。専門家と協力して、経済的な不安を解消し、安心できる生活を再建しましょう。

まとめ

  • 生活福祉資金貸付制度は、一時的な生活費不足を低利で補うための有効な手段である。
  • 生活保護制度は最後のセーフティネットであり、困窮した際はためらわず福祉事務所に相談すべき。
  • 高額療養費制度や自立支援医療を利用し、医療費の支出を最小限に抑えることが重要である。
  • まずは地域の自立相談支援機関に相談し、利用可能な支援を総合的に判断してもらう。

金子 匠

金子 匠

かねこ たくみ55
編集長📚 実務経験 30
🎯 生活サポート🎯 制度・法律

📜 保有資格:
社会福祉士、精神保健福祉士

障害者支援施設で30年間勤務し、施設長を経験。現在はすぐサポ編集長として、障害のある方とご家族が必要な情報にアクセスできる環境づくりに取り組んでいます。「制度は複雑だけど、使えば生活が楽になる」という信念のもと、分かりやすい情報発信を心がけています。

大学卒業後、障害者支援施設に就職し、30年間にわたり現場で支援に携わってきました。生活支援員として10年、サービス管理責任者として15年、そして施設長として5年の経験があります。特に印象に残っているのは、重度の知的障害があり、施設入所が当然と思われていた方が、適切な支援と環境調整により地域での一人暮らしを実現したケースです。「できない」と決めつけず、その人に合った支援を考えることの大切さを学びました。現在は現場を離れ、すぐサポの編集長として、これまでの経験を記事という形で多くの方に届けることをミッションとしています。制度や法律の解説記事では、「専門用語を使わず、中学生でも分かる言葉で」を心がけています。

もっと詳しく

💭 福祉の道を選んだ理由

大学で社会福祉を学び、実習で出会った利用者の方々の笑顔に感動したことがきっかけです。

✨ 印象に残っている出来事

重度の知的障害のある方が、適切な支援により地域での一人暮らしを実現したこと。

✍️ 記事を書く上で大切にしていること

専門用語を使わず、中学生でも分かる言葉で伝えることを大切にしています。

🎨 趣味・特技

読書、散歩

🔍 最近気になっているテーマ

障害者総合支援法の改正動向、ICTを活用した新しい支援の形

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