重度訪問介護とは?特徴・メリット・使える人の条件

重い障害があっても一人暮らしを。重度訪問介護の仕組みと活用法
「自分一人で生活したいけれど、常に介護が必要だから諦めるしかない」「家族が24時間体制で支え続けるのには限界がきている」といった悩みをお持ちではありませんか。重い障害があると、生活のすべてを家族や施設に頼らざるを得ないと思われがちです。しかし、実は住み慣れた地域で自分らしく過ごすための「重度訪問介護」という強力な味方があります。
重度訪問介護は、単なる家事代行や入浴介助ではありません。外出や夜間の見守りを含め、生活全体を包括的に支えるための特別な仕組みです。このサービスを知ることで、これまで「無理だ」と思っていた自立生活の扉が開くかもしれません。この記事では、サービスの基本からメリット、利用できる人の条件まで、専門用語を噛み砕いて徹底解説します。
あなたやご家族の未来をより豊かにするために、どのような選択肢があるのかを一緒に見ていきましょう。重度訪問介護は、障害のある方が「自分の人生の主役」として生きるための大切な基盤になります。まずはその第一歩として、制度の全体像を正しく理解することから始めてみませんか。
重度訪問介護とは?基本と役割
生活のすべてを支える包括ケア
重度訪問介護とは、重度の肢体不自由や知的障害、精神障害により、常に介護を必要とする方を対象とした訪問介護サービスの一種です。最大の特徴は、一般的な「居宅介護(ホームヘルプ)」のように入浴や食事といった特定の時間を切り取って支援するのではなく、長時間の見守りや外出支援を含め、生活を丸ごとサポートする点にあります。
具体的には、身体介護(食事、排泄、入浴)、家事援助(掃除、洗濯、調理)、さらには外出時の移動支援までを一人のヘルパーが一貫して行います。これにより、利用者は「次はどのヘルパーが来るのか」と不安になることなく、リラックスして自宅での生活を楽しむことができます。まさに、自宅での生活を支えるパートナーのような存在といえるでしょう。
このサービスは「障害者総合支援法」という法律に基づいています。多くの自治体では24時間の利用も視野に入れた設計となっており、家族に頼り切りの生活から脱却し、ヘルパーの支援を受けながら一人暮らしを実現している方も少なくありません。障害の種類を問わず、支援が必要な状態であれば活用を検討できる柔軟な制度です。
居宅介護との具体的な違い
重度訪問介護とよく比較されるのが「居宅介護」です。居宅介護は「入浴に30分」「掃除に1時間」といった具合に、サービス内容と時間が厳格に決められています。これに対し、重度訪問介護は「見守り」の時間が含まれているのが大きな違いです。何もしていないように見える時間でも、利用者のそばにいて異変に備えることがサービスの一部として認められています。
例えば、人工呼吸器を使用している方や、自分で寝返りが打てない方にとって、夜間に何かあった際すぐに誰かが駆けつけてくれる安心感は何物にも代えられません。居宅介護では対応しきれない「切れ目のない支援」を可能にするのが、この重度訪問介護という仕組みなのです。時間の枠に縛られすぎず、その時々の本人の欲求に合わせて柔軟に動いてくれるのが大きな魅力といえます。
また、外出支援が標準的に組み込まれている点も異なります。居宅介護の場合、外出するには「移動支援」という別のサービスを組み合わせる必要がありますが、重度訪問介護であれば、家の中での生活からそのままスムーズに外出へ移行できます。このシームレスな支援体制が、重度の障害を持つ方の社会参加を強力に後押ししています。
支援を提供するヘルパーの専門性
重度訪問介護に従事するヘルパーは、特別な研修を修了した専門スタッフです。特に「重度訪問介護従業者養成研修」を修了したスタッフは、重度の肢体不自由者の特性や、コミュニケーションの取り方、痰の吸引といった医療的ケアの基本を学んでいます。重い障害がある方特有の細かなサインを読み取ることが求められます。
また、最近では「喀痰(かくたん)吸引等研修」を受けたヘルパーが増えており、医師や看護師の指示のもとで痰の吸引や経管栄養などの医療的ケアを自宅で行うことが可能になっています。これにより、医療的なバックアップが必要な方でも、病院や施設ではなく、大好きな自宅で過ごし続けることが現実的になっています。
ヘルパーとの信頼関係は、自立生活の質を左右する重要な要素です。重度訪問介護では長時間一緒に過ごすことになるため、性格の相性なども考慮されることが多いです。事業所によっては、本人のこだわりや好みを丁寧にヒアリングし、専任のチームを組んでサポートに当たる体制をとっています。まさに、二人三脚で歩む支援体制といえます。
💡 ポイント
重度訪問介護は「生活全体」を支えるため、ヘルパーは利用者の意思を尊重し、本人が望むタイミングで食事や外出ができるよう黒子に徹する姿勢が求められます。
利用できる人の条件と区分認定
障害支援区分4以上の条件
重度訪問介護を利用するためには、自治体が行う「障害支援区分」の調査を受ける必要があります。原則として「区分4以上」であること、かつ以下のいずれかの条件を満たしていることが基本的な利用要件となります。まずは自分がどの区分に該当するかを知ることが第一歩です。
- 二肢以上に麻痺等がある肢体不自由者で、支援区分の調査項目のうち「歩行」「移乗」「排尿」「排便」のいずれも「できる」以外と判定されていること。
- 知的障害や精神障害により、行動上著しい困難がある(行動援護の対象となるような)状態であること。
この基準はあくまで目安であり、実際の支給決定は各自治体の判断に委ねられます。例えば、一人暮らしを計画している場合や、家族が病気で支援が急務な場合などは、区分の数値だけでなく生活環境の必要性が加味されることもあります。自分には無理だと決めつけず、まずは地域の相談支援専門員や役所の窓口に相談してみることが大切です。
年齢制限と介護保険との優先順位
重度訪問介護を利用できる年齢は、原則として18歳から64歳までです。障害者総合支援法の対象となる年齢層がメインとなります。なお、18歳未満の児童については、自治体によって個別の判断や他の児童向けサービスでの対応となることが多いため、児童相談所や福祉窓口での確認が必要です。
ここで重要なのが「介護保険」との兼ね合いです。65歳以上になると介護保険制度が優先されるため、重度訪問介護から介護保険のサービスに移行するのが一般的です。しかし、介護保険のサービス内容(訪問介護など)では重度訪問介護で受けていたような長時間の支援が補いきれない場合、引き続き重度訪問介護の利用が認められる「上乗せ利用」が可能なケースもあります。
この「65歳の壁」については、当事者の間でも大きな課題となってきました。現在では、長年重度訪問介護を利用してきた方が65歳以降も生活水準を落とさずに済むよう、自治体ごとに柔軟な運用がなされるようになっています。将来への不安を感じる場合は、早めに将来設計についてケアマネジャーや相談員と話し合っておくことをおすすめします。
区分調査を受ける際のポイント
区分認定を受けるための調査では、調査員が自宅を訪問し、本人の状態を確認します。ここで大切なのは、「調子が良い時の状態」ではなく「最も手助けが必要な時の状態」を正確に伝えることです。障害のある方は頑張り屋さんが多く、つい「これくらいなら一人でできる」と言ってしまいがちですが、それが支給時間の不足に繋がってしまうことがあります。
ありのままの生活実態を伝えるために、以下の工夫をしてみましょう。
- 日々の困りごとや、支援が必要な場面をメモにまとめておく。
- 調査当日は、本人だけでなく、普段の様子をよく知る家族や相談支援専門員に同席してもらう。
- 24時間の生活スケジュール表を作成し、どの時間帯にどんな困難があるか視覚的に提示する。
調査員は限られた時間で判定を下さなければなりません。具体的なエピソード(例:夜間に体位変換ができず、痛みで目が覚めるが自分では動けないなど)を添えて説明することで、重度訪問介護の必要性がより明確に伝わります。自分たちの生活を守るための大切な権利ですので、遠慮せずに伝えたいことを整理しておきましょう。
| 障害支援区分 | 主な判定の目安 | 重度訪問介護の利用可否 |
|---|---|---|
| 区分1~3 | 比較的自立、または一部介助 | 原則として対象外(居宅介護を利用) |
| 区分4 | 中程度の支援が必要 | 条件を満たせば利用可能 |
| 区分5 | 高い頻度での支援が必要 | 利用可能(時間の拡大が期待できる) |
| 区分6 | 最重度の支援が必要 | 利用可能(24時間支援の検討対象) |
重度訪問介護を利用するメリット
一人暮らし・自立生活が可能に
最大のメリットは、重い障害があっても「自分の家で自由に暮らす」という選択ができることです。これまでは親や兄弟の負担を考えて施設入所を選んでいた方も、重度訪問介護を利用することで一人暮らしが可能になります。自分の好きな時間に起き、好きなテレビを観て、自分のリズムで生活できる喜びは、本人の自立心と自信を大きく育てます。
実際に、区分6で全身に麻痺がある方でも、複数の事業所と契約して24時間の介護体制を組み、仕事を持ったり趣味を楽しんだりしている事例はたくさんあります。重度訪問介護は、障害のある方が「保護される対象」から「社会の一員として生きる主体」へと変わるためのインフラなのです。家族の献身的な介護に頼るモデルから、公的なサービスで自立するモデルへの転換が可能になります。
また、一人暮らしをすることで、家族との関係が良好になるケースも多いです。毎日24時間顔を合わせ、介護する側・される側としての緊張感があった関係が、離れて暮らすことで「たまに会う大切な家族」という本来の形に戻ることができます。家族のQOL(生活の質)も向上し、お互いがそれぞれの人生を歩めるようになります。
外出支援による社会参加の拡大
重度訪問介護には外出支援が含まれているため、アクティブに社会と関わることができます。映画を観に行きたい、デパートで買い物をしたい、友人に会いに行きたいといった日常の希望を、専任のヘルパーが付き添うことで叶えられます。重度の障害があると外出の準備だけでも大変ですが、手伝ってくれるプロがいればハードルはぐっと下がります。
例えば、以下のような場面で外出支援が活用されています。
- 近所の公園への散歩や季節の行事への参加。
- 銀行や役所、病院への定期的な通院と手続き。
- コンサートやプロ野球観戦、趣味のサークル活動。
- (自治体の判断により)通勤や通学、就業中のサポート。
これまで「他人の目が気になる」「移動が大変」と諦めていたことも、ヘルパーという安心のバックアップがあれば、一歩踏み出す勇気が湧いてきます。社会に出ることで新しい刺激を受け、表情が明るくなったり、新しい目標が見つかったりする方も少なくありません。外の世界と繋がることは、生きる喜びそのものです。
家族の介護負担の劇的な軽減
ご家族にとって、重度訪問介護の導入は救いになります。特に重度の肢体不自由がある方の介護は肉体的な負担が大きく、腰痛や睡眠不足に悩まされるご家族が後を絶ちません。ヘルパーが自宅に入り、介護の大部分を担ってくれることで、ご家族は「介護者」である前に「夫・妻・親・子」としての時間を過ごせるようになります。
特に夜間の見守りをヘルパーが担当してくれると、ご家族は安心して自分の睡眠を取ることができます。これは単なる休養以上の意味を持ちます。介護疲れによる共倒れや「介護うつ」を防ぐための、最も現実的で効果的な対策といえるでしょう。ご家族が健康で、笑顔でいられることは、利用者本人にとっても一番の願いであることが多いはずです。
また、重度訪問介護は長時間の利用が前提のため、ご家族が仕事に行ったり、他の兄弟の行事に参加したりする時間を確保しやすくなります。障害のある家族がいても、他の家族がそれぞれのキャリアや生活を犠牲にしない。そのような持続可能な形を作るために、重度訪問介護は欠かせないサービスです。
✅ 成功のコツ
「家族なんだから自分たちで頑張らなきゃ」という思い込みを一度手放してみましょう。プロの助けを借りることは、家族の絆をより強く、長く保つための賢い選択です。
利用開始までのステップと手続き
1. 相談支援センターへの問い合わせ
まず最初のアクションは、地域の「相談支援事業所」への連絡です。相談支援専門員は、障害福祉サービスの利用に関する計画(サービス等利用計画)を立ててくれるプロフェッショナルです。重度訪問介護を利用したい旨を伝えると、現在の困りごとや将来の希望を丁寧にヒアリングしてくれます。
相談支援専門員は、役所の窓口との橋渡し役にもなってくれます。制度は非常に複雑ですが、プロが間に入ることで、手続きの漏れや誤解を防ぐことができます。自分一人で「区分は足りるかな?」「どこの事業所がいいかな?」と悩む前に、まずは伴走者を見つけることが大切です。ほとんどの自治体で、相談支援の利用料は無料(公費負担)ですので、安心して頼ってください。
事業所選びに迷った場合は、役所の福祉課で「重度訪問介護に強い相談支援事業所を教えてほしい」と聞いてみるのも良いでしょう。すでに何らかのサービスを使っている場合は、その担当者に「重度訪問介護の検討を始めたい」と切り出すところからスタートです。一歩踏み出すことで、状況は確実に動き始めます。
2. 申請と障害支援区分の認定
相談員と方針が決まったら、お住まいの市区町村の窓口で「支給申請」を行います。申請を行うと、後日、認定調査員が自宅や病院を訪問し、本人の状態を確認するための聞き取り調査が行われます。前述の通り、この調査が支給時間を決定する極めて重要なプロセスとなります。
調査後、医師の意見書なども踏まえて、審査会で「障害支援区分」が決定されます。区分が通知されたら、次に「支給量(1ヶ月に何時間使えるか)」が決まります。区分6の方であれば、24時間に近い時間が決定されることもありますが、自治体の予算や方針によって差が出やすい部分でもあります。納得がいかない場合は、不服申し立てや再審査の請求をすることも権利として認められています。
決定通知が届くまでの期間は、概ね1ヶ月から2ヶ月程度かかることが多いです。急を要する場合は、暫定的な決定(暫定支給)をしてくれる自治体もあるため、相談員を通じて事情を詳しく伝えてもらいましょう。待っている間に、次に説明する「事業所探し」を並行して進めておくと効率的です。
3. 事業所との契約とサービス開始
支給時間が決まったら、実際にヘルパーを派遣してくれる「重度訪問介護事業所」を選び、契約を交わします。一つの事業所だけで24時間をカバーするのは難しいため、複数の事業所を組み合わせて利用するのが一般的です。事業所によって「夜間に強い」「医療的ケアに慣れている」「若いスタッフが多い」などの特色があります。
契約を結ぶ際には、以下のポイントを確認しましょう。
- 希望する時間帯(特に夜間や週末)にヘルパーを派遣できるか。
- 医療的ケアが必要な場合、対応可能なスタッフが十分にいるか。
- ヘルパーとの相性が合わなかった場合、交代の相談に乗ってもらえるか。
- トラブル時の連絡体制や、緊急時のバックアップ体制はどうなっているか。
契約が完了すれば、いよいよサービス開始です。最初は知らない人が家に入ってくることに緊張するかもしれませんが、少しずつ自分の好みや生活のルールを伝えていきましょう。ヘルパーもプロですので、利用者の生活リズムを尊重しながら、最適なサポート方法を一緒に模索してくれます。自分らしい生活のスタートです!
⚠️ 注意
重度訪問介護の事業所は数が限られている地域もあります。支給が決まっても、ヘルパーが見つからない「ミスマッチ」を防ぐため、早めに事業所の空き状況を確認しておくことが重要です。
よくある質問(FAQ)
Q. 家族と一緒に住んでいても重度訪問介護は使えますか?
A. はい、同居家族がいても利用可能です。居宅介護(家事援助)などでは「家族が働いている」「家族が病気」などの条件が厳しく問われることがありますが、重度訪問介護は「常に介護が必要な状態」そのものを支援の対象としているため、家族の有無にかかわらず認められやすい傾向にあります。家族が仕事に行っている間の見守りや、夜間の家族の休息を確保するために利用されるケースも非常に多いです。ただし、自治体によって判断基準に細かな違いがあるため、申請時に確認しましょう。
Q. ヘルパーさんに頼めないことはありますか?
A. 公的なサービスであるため、何でも頼めるわけではありません。原則として「本人の日常生活に直接関係ないこと」や「ヘルパーがやらなくても支障がないこと」は対象外です。例えば、来客へのお茶出し、ペットの世話、庭の草むしり、大掃除、家族の分の食事作りなどは依頼できません。また、医療行為については研修を受けたスタッフが特定の行為(吸引や経管栄養)を行う場合に限られます。どこまでが範囲内かは、事業所やケアプランを作成する際に詳しく確認しておくことがトラブル防止になります。
Q. 利用料金はどれくらいかかりますか?
A. 原則として、サービス費用の1割が自己負担となります。ただし、障害福祉サービスには「月額負担上限額」が設定されており、世帯の所得状況に応じて支払う上限が決まっています。生活保護世帯や市民税非課税世帯の方は0円(無料)です。市民税課税世帯であっても、概ね一般世帯で37,200円が上限となっており、長時間のサービスを受けてもこれ以上の金額を支払う必要はありません。所得が高い世帯については個別の計算になりますが、高額障害福祉サービス費の合算制度などもあり、過度な負担にならないよう配慮されています。
Q. 外出中に映画館に入る場合、ヘルパーさんの入場料はどうなりますか?
A. 基本的には「利用者の実費負担」となります。ヘルパーの交通費や施設入場料は、サービス提供に必要な経費として利用者が支払うのが一般的です。ただし、多くの映画館やレジャー施設では「障害者割引」があり、付き添いのヘルパー1名まで割引(または無料)になることが多いです。外出前に施設側の割引規定を確認しておくとスムーズです。なお、ヘルパーの賃金そのものはサービスの一部として公費から支払われるため、チップや別途の謝礼を渡す必要はありません。むしろ、原則として禁止されている事業所がほとんどです。
豊かな自立生活を実現するためのエピソード
実例:ALSを発症し一人暮らしを継続したAさん
Aさんは40代で難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症しました。徐々に手足が動かなくなり、人工呼吸器が必要になりましたが、「最後まで自分の家で、自分らしく暮らしたい」という強い希望を持っていました。当初、周囲は「施設に入ったほうが安全だ」と勧めましたが、相談支援専門員と協力し、重度訪問介護の24時間利用に向けて動き出しました。
3つの事業所を組み合わせ、夜間もヘルパーが枕元で見守る体制を整えました。最初は他人との共同生活に戸惑いもありましたが、お気に入りの音楽やアロマの香りをヘルパーに伝え、自分にとって最も心地よい環境を整えていきました。重度訪問介護を利用することで、Aさんは寝たきりの状態になっても、視線入力パソコンを使って友人と交流し、自宅で充実した毎日を送り続けることができました。これは、制度を味方につけたことで叶った「尊厳ある自立」の一例です。
(Image of a medical-caregiver-at-home-with-patient)
実例:知的障害のある息子の自立を支えたBさん家族
知的障害と激しい行動障害があるCさんは、20歳を過ぎても両親の介護を受けて暮らしていました。両親も高齢になり、将来を案じていたところ、重度訪問介護(行動援護的な側面を含む)の利用を開始しました。最初は他人が入ることにパニックを起こしていたCさんでしたが、専門的な研修を受けたヘルパーがじっくりと時間をかけて信頼関係を築いていきました。
今では、週に数回はヘルパーと電車に乗って大好きな鉄道ミュージアムに行くのが日課になっています。外出を通じて社会のルールを学び、パニックの頻度も劇的に減りました。両親は「息子をプロに任せることで、自分たちの時間も持てるようになった。息子にとっても、親以外と繋がる場所ができたことが一番の財産だ」と語っています。重度訪問介護は、肢体不自由だけでなく、知的・精神的な支援が必要な方にとっても、世界を広げるツールになります。
実例:仕事と介護を両立させたDさん
車いすユーザーのDさんは、重度訪問介護を利用しながら一般企業で働いています。以前は通勤途中にトイレに行きたくなったらどうしよう、という不安で外出を控えていましたが、重度訪問介護の「移動支援」機能を活用することで、ヘルパーが駅まで、あるいは職場まで付き添ってくれるようになりました。最近では、一部の自治体で職場内での介助(就労支援特別事業)も始まっており、Dさんは安心して仕事に集中できています。
「障害があるから働けないのではなく、環境が整っていないから働けなかったんだと気づきました」とDさんは言います。重度訪問介護があることで、身の回りの世話を気にせず社会貢献ができる。これは経済的な自立だけでなく、精神的な充実感にも繋がっています。プロの支援を受けることは、決して「依存」ではなく、より良く生きるための「戦略的活用」なのです。
✅ 成功のコツ
実例に共通しているのは「自分の希望を明確に伝えること」と「プロの支援を信頼して任せること」です。まずは小さな成功体験を積み重ねていくことが、大きな自立への道となります。
まとめ
- 重度訪問介護は生活のインフラ:入浴・食事・外出・見守りまで、24時間体制で支える包括的なサービスです。
- 利用には「区分4以上」が必要:調査では、ありのままの「最も困っている状態」を伝えることが支給時間決定の鍵となります。
- 一人暮らしと社会参加を実現:家族への負担を軽減しながら、自分のリズムで地域生活を送るための強力なツールです。
- 専門家(相談員)が最初の一歩:自分一人で悩まず、まずは相談支援事業所に連絡してプラン作成のパートナーを見つけましょう。
重度訪問介護は、障害のある方が「あたりまえの生活」を送るために国が用意した大切な権利です。「重い障害があるから」「家族に迷惑をかけるから」と、自分の人生を制限する必要はありません。この制度をうまく活用することで、あなた自身の新しい可能性がきっと見えてくるはずです。
まずは、お住まいの地域の福祉課や相談支援センターに、「重度訪問介護について知りたい」と電話をしてみることから始めてみませんか。そこから、あなたらしい、あなただけの自由な生活が始まります。この記事が、その素晴らしい旅立ちのきっかけになれば幸いです。

阿部 菜摘
(あべ なつみ)36歳📜 保有資格:
社会保険労務士、精神保健福祉士
社会保険労務士として障害年金の申請支援を専門に12年。「難しい」と言われる障害年金を、分かりやすく解説します。医療費助成、各種手当など、お金に関する制度情報をお届けします。
大学卒業後、社会保険労務士事務所に就職し、障害年金の申請支援を専門に担当してきました。これまで500件以上の申請をサポートし、多くの方の生活を支えるお手伝いをしてきました。障害年金は「難しい」「通らない」と諦めている方が多いですが、適切な書類準備と申請を行えば、受給できる可能性は十分あります。実際、初診日の証明が難しいケースでも工夫して認定を受けた例もあります。特に心に残っているのは、精神障害で長年苦しんでいた方が障害年金を受給できたことで、「経済的な不安が減り、治療に専念できるようになった」と感謝されたこと。制度を知ることの大切さを実感しました。記事では、障害年金の申請方法、特別障害者手当、医療費助成など、「知らないと損する」お金の制度を、専門家として正確かつ分かりやすく解説します。
もっと詳しく▼
💭 福祉の道を選んだ理由
社会保険労務士として、障害年金の申請支援を通じて多くの方の生活を支えたいと思ったことがきっかけです。
✨ 印象に残っている出来事
精神障害のある方が障害年金を受給でき、「経済的な不安が減り、治療に専念できるようになった」と感謝されたこと。
✍️ 記事を書く上で大切にしていること
「知らないと損する」お金の制度を、専門家として正確かつ分かりやすく解説します。
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資格勉強、温泉巡り
🔍 最近気になっているテーマ
障害年金のオンライン申請、制度の周知不足問題





