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障害年金を増額できる?加算制度と申請のポイント

📖 約39✍️ 酒井 勝利
障害年金を増額できる?加算制度と申請のポイント
障害年金を受給していても、生活費に不安を感じる方は少なくありません。本記事では、受給額を増額できる可能性のある「加算制度」について、具体的な条件と申請のポイントを徹底解説します。障害基礎年金には「子の加算」、障害厚生年金には「配偶者の加給年金額」があり、扶養家族がいる場合に年金額が大幅にアップする可能性があります。特に、受給後に家族構成が変わった方や申請漏れがある方は、過去5年分を遡って受け取れる可能性があるため、時効に注意し、年金事務所への確認と手続きを強く推奨します。専門家の活用も成功の鍵です。

障害年金を増額できる?加算制度と申請のポイント

障害年金は生活を支える大切な柱

障害年金を受給されている皆さん、そしてそのご家族や支援者の皆さま、日々の生活、本当にお疲れ様です。

障害年金は、障害のある方にとって経済的な基盤となり、安心して生活を送るために欠かせない大切な収入源です。しかし、「受給額だけでは少し生活が厳しい」「もっと手厚い支援はないのだろうか」と、金額面での不安を感じていらっしゃる方も少なくありません。

本記事では、現在障害年金を受給されている方が、受給額を増やすことができる可能性のある「加算制度」に焦点を当てて、詳しく解説していきます。

知っているか知らないかで、受け取れる年金額が大きく変わるかもしれません。加算の対象となる条件や、申請の具体的なポイント、よくある疑問まで、専門的な内容を分かりやすくお伝えしますので、ぜひ最後までお読みください。


障害年金の「加算」とは?基本を知ろう

加算制度の全体像と種類

障害年金には、受給者本人の障害の状態に応じて支払われる「本体の年金額」に加えて、一定の条件を満たす場合に上乗せされる「加算制度」がいくつか設けられています。

この加算制度は、特に家族を扶養している方や、障害基礎年金を受給している方に、より手厚い経済的支援を提供することを目的としています。加算の種類は主に、障害年金の種類によって異なります。

主な加算制度として、「子の加算」と「配偶者の加給年金(加給年金額)」があります。まずはご自身がどちらの障害年金を受給しているかを確認することが、加算制度の理解の第一歩です。

「子の加算」の対象となる障害年金

「子の加算」は、障害基礎年金(障害等級1級または2級)を受給している方が対象となる加算です。これは、生計を維持している「子」がいる場合に年金額に上乗せされる制度です。

障害基礎年金は国民年金に加入していた方が対象となる年金で、自営業者や専業主婦(夫)、20歳前の傷病による障害などが該当します。

💡 ポイント

障害基礎年金を受給している方は、扶養している子がいるかどうかを必ずチェックしましょう。加算額は子の人数に応じて増額します。

「配偶者の加給年金額」の対象となる障害年金

一方、「配偶者の加給年金額」は、障害厚生年金(障害等級1級または2級)を受給している方が対象となる加算です。これは、生計を維持している「配偶者」がいる場合に年金額に上乗せされる制度です。

障害厚生年金は厚生年金に加入していた方が対象となる年金で、会社員や公務員として働いていた方が該当します。

注意点として、障害厚生年金を受給している場合でも、障害基礎年金のみの受給者には配偶者の加給年金額はつきません。また、配偶者が老齢厚生年金や退職共済年金などを受け取る権利がある場合、加算は停止されることがあります。


子の加算の具体的な条件と金額

「子」の定義と生計維持の要件

障害基礎年金における「子の加算」の対象となる「子」とは、次のいずれかの要件を満たす必要があります。

  • 18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子
  • 20歳未満で、障害等級1級または2級に該当する障害の状態にある子

年齢要件に加え、「生計を維持されている」ことが必要です。これは、原則として受給権者と生計を同じくし、かつ前年の収入が850万円未満であることなどが要件となります。

たとえ別居していても、仕送りをしているなど生計の同一性が認められれば対象となる可能性があります。ご自身のケースに不安がある場合は、年金事務所などに確認してみましょう。

子の加算の年金額を具体的な数字で確認

子の加算の金額は、子どもの人数に応じて定められています。令和6年度の金額は以下の通りです。

子の人数 年間の加算額(令和6年度)
1人目・2人目 各234,800円
3人目以降 各78,300円

例えば、18歳未満の子が2人いる場合、年間で 234,800円+234,800円=469,600円 が障害基礎年金に上乗せされることになります。これは月々約39,133円の増額となり、家計にとって非常に大きな助けとなるでしょう。

事例:子の加算で年金が増額したケース

Aさん(40代・女性)は、精神の障害で障害基礎年金2級を受給しています。受給開始時、お子様はまだ小さかったため加算の申請をしていませんでした。その後、お子様が2人になり、ある時支援者から子の加算制度について知らされました。

すぐに申請手続きを行った結果、2人のお子様の加算が認められ、年間の受給額が約47万円増加しました。Aさんは「このお金で子どもの習い事の費用を賄えるようになり、生活にゆとりが持てた」と喜びの声を寄せています。


配偶者の加給年金額の要件と金額

配偶者の加給年金額の対象者

障害厚生年金1級または2級を受給している方が、配偶者の加給年金額の対象となります。この加算の対象となる「配偶者」も、受給権者によって生計を維持されていることが必要です。

配偶者自身の前年の収入が850万円未満であること、原則として受給権者と生計を同じくしていること、そして離婚や死亡などにより配偶者でなくなった場合は加算の対象外となることなどが要件です。

加給年金額の金額と注意点

配偶者の加給年金額は、令和6年度の金額で年間234,800円です。子の加算と異なり、配偶者の人数に関わらず一律の金額となります。

ただし、配偶者の加給年金額には「振替加算」という制度が関わってくることがあります。これは、加給年金の対象となっている配偶者が、65歳になり自身の老齢基礎年金を受け取れるようになった際に、加給年金に代わって配偶者の老齢基礎年金に上乗せされる制度です。

この振替加算の仕組みは非常に複雑で、生年月日や年金加入期間によって金額が変わってきます。ご自身のケースで振替加算が適用されるか、またその金額については、年金事務所で詳しく相談することをおすすめします。

⚠️ 注意

配偶者が老齢厚生年金や退職共済年金を受け取る権利を得た場合、障害年金の「配偶者の加給年金額」は支給停止されます。二重取りはできない仕組みになっています。

配偶者・子の両方に加算を受けるケース

障害厚生年金1級または2級を受給している方は、配偶者の加給年金額と子の加算の両方を受け取ることができます。これは、家族全体の経済的な負担を考慮した制度設計になっています。

例えば、障害厚生年金2級を受給し、配偶者と18歳未満の子が2人いる場合、年間で 234,800円(配偶者)+234,800円(子1人目)+234,800円(子2人目)=704,400円 もの加算が年金に上乗せされます。


加算の申請漏れを防ぐ!手続きのポイント

加算の申請は自動ではない!

障害年金を初めて申請する際に、扶養家族がいる場合は同時に加算の申請を行うのが一般的です。しかし、申請後に扶養家族が増えた場合(例えば結婚したり、子どもが生まれたりした場合)は、年金事務所に自ら届け出をしない限り、加算は自動で開始されません。

また、過去に結婚・出産などを経験しているにも関わらず、障害年金本体の申請時に加算の届け出を忘れていた、というケースも少なくありません。心当たりのある方は、すぐに年金事務所に相談しましょう。

申請に必要な書類と手続きの流れ

加算を申請する際には、「障害給付加算額・加給年金額対象者加算等申請書」などの書類を提出する必要があります。必要な主な添付書類は以下の通りです。

  • 加算対象者の戸籍謄本(続柄の確認のため)
  • 世帯全員の住民票の写し(生計同一の確認のため)
  • 配偶者や子の所得証明書類(生計維持の確認のため)

手続きは、年金事務所またはお住まいの市区町村役場の年金担当窓口で行います。まずは窓口で相談し、ご自身の状況に必要な書類を確認してから準備を進めるのが効率的です。

✅ 成功のコツ

提出書類の準備には時間がかかることがあります。年金事務所に問い合わせる際には、ご自身の障害年金の種類(基礎/厚生)と、加算の対象者(子/配偶者)を明確に伝えると、スムーズに手続きが進みます。

時効に注意!遡及請求の可能性

加算の対象となる条件を満たしていたにもかかわらず、手続きをしていなかった場合、最大で過去5年分について遡って加算額を受け取れる可能性があります。これを「時効の援用」と言います。

ただし、年金には原則として5年の時効がありますので、気づいた時点から早く手続きを行うことが重要です。5年を超えた分は時効により受け取れなくなってしまうため、申請漏れに心当たりのある方は、一日も早く年金事務所に相談してください。

もし、申請漏れの原因が国のミス(例えば、年金記録の不備など)であった場合は、時効に関わらず全額が支払われる可能性もあります。


よくある質問と加算に関するエピソード

Q1. 子が18歳になったら加算はどうなる?

A. 子の加算は、子が18歳到達年度の末日(3月31日)をもって、原則として対象外となります。自動的に加算は停止されますが、特に手続きは必要ありません。ただし、その子が引き続き障害等級1級または2級の状態にある場合は、20歳になるまで加算が継続されますので、その旨を年金事務所に届け出る必要があります。

Q2. 配偶者が働いていると加算はもらえない?

A. いいえ、配偶者が働いていても加算を受け取れる可能性はあります。重要なのは「生計を維持されている」という要件です。この要件は、配偶者の前年の収入が850万円未満であること(または所得が655.5万円未満であること)が目安となります。配偶者の収入がこの基準以下であれば、働いていても加算の対象となり得ます。

Q3. 加算の申請を社労士に頼むメリットは?

A. 加算の申請は、本体の年金請求ほど複雑ではありませんが、提出書類の準備や、生計維持関係を証明するための聞き取りなどが難しい場合があります。社会保険労務士(社労士)に依頼することで、書類の不備なくスムーズに手続きを進めることができ、遡及請求の可能性を最大限に引き出すための専門的なアドバイスを受けることができます。

「障害年金を受給し始めてから10年近く経っていましたが、まさか配偶者と子どもの分の加算が漏れていたとは思いませんでした。社労士さんに相談したところ、すぐに手続きを進めてくださり、過去5年分の加算額が一括で振り込まれた時は本当に驚きました。生活費の不安がかなり軽減され、感謝しています。」

— 障害厚生年金2級受給者のCさん


その他の年金増額の可能性と相談窓口

障害年金本体の「額改定請求」

加算制度以外にも、障害年金の金額を増額させる可能性として「額改定請求」があります。これは、障害の状態が悪化し、障害等級が上がった場合に年金額を増やしてもらう手続きです。

障害の状態が明らかにおもくなった場合、診断書などの書類を添えて年金事務所に請求を行います。もし、現在受給している等級よりも重い状態にあると感じている場合は、医師や社労士に相談し、額改定請求の検討をしてみる価値があります。

障害年金に関する相談窓口一覧

障害年金や加算制度について疑問や不安がある場合は、専門機関に相談することが最も確実です。ご自身の状況を整理して、以下の窓口を活用してみてください。

  • 年金事務所:手続きや必要書類についての最も正確な情報を提供してくれます。全国各地に設置されています。
  • 街角の年金相談センター:年金事務所よりも気軽に相談できる場所として利用されています。
  • 社会保険労務士(社労士):複雑なケースや遡及請求、額改定請求など、専門的な手続きの代行やアドバイスを依頼できます。
  • 障害者就労・生活支援センター:地域の生活支援の一環として、お金の困りごとに関する相談も受け付けています。

💡 ポイント

相談に行く前に、ご自身の「年金証書」と「基礎年金番号」を必ず準備しておきましょう。スムーズな相談につながります。

専門家や支援者の力を借りることは、決して恥ずかしいことではありません。むしろ、利用できる制度を最大限に活用し、生活の安定を図るための賢明な選択です。


まとめ

本記事では、障害年金受給者の方が年金額を増額できる可能性のある「加算制度」を中心に、その具体的な内容と申請のポイントを詳しくご紹介しました。

障害基礎年金受給者には「子の加算」、障害厚生年金受給者には「配偶者の加給年金額」があり、扶養している家族がいる場合に年金額が大きく増える可能性があります。

特に、受給後に家族構成が変わった場合や、過去に加算の申請を忘れていた場合は、遡って年金を受け取れる可能性があるため、すぐにでも年金事務所に確認することが重要です。

経済的な不安を少しでも軽減し、より豊かな生活を送るために、ぜひこの記事を参考にして、ご自身の年金受給状況を見直してみてください。もし手続きに不安があれば、社労士などの専門家や、地域の支援機関を積極的に活用していきましょう。

まとめ

  • 障害年金には「子の加算」と「配偶者の加給年金額」という増額制度がある。
  • 障害基礎年金は「子の加算」、障害厚生年金は「配偶者の加給年金額」が対象となる。
  • 扶養家族が増えた場合や申請漏れがあった場合は、年金事務所へ届け出が必要である。
  • 時効は原則5年。遡及請求の可能性もあるため、早急な確認と手続きが重要。
  • 手続きに不安があれば、社労士や年金事務所に相談し、支援を求めるのが賢明。

酒井 勝利

酒井 勝利

さかい かつとし38
担当📚 実務経験 12
🎯 生活サポート🎯 福祉用具

📜 保有資格:
作業療法士、福祉住環境コーディネーター

作業療法士として病院・施設で12年勤務。「できないこと」を「できる」に変える福祉用具や環境調整の専門家です。車椅子、杖、リフトなどの選び方から、住宅改修まで、実践的な情報をお届けします。

リハビリテーション専門学校を卒業後、総合病院で5年、障害者支援施設で7年、作業療法士として勤務してきました。特に力を入れているのは、福祉用具を活用した「できることを増やす」支援。例えば、片麻痺がある方が自助具を使って料理ができるようになったり、車椅子の選び方一つで外出の頻度が劇的に変わったりします。印象的だったのは、重度の身体障害がある方が、適切な電動車椅子と環境調整により、念願だった一人での買い物を実現したこと。「自分でできる」という自信が、その方の人生を大きく変えました。記事では、福祉用具の選び方、住宅改修のポイント、補助金の活用方法など、「生活をより便利に、より自立的に」するための情報を発信します。

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💭 福祉の道を選んだ理由

リハビリの仕事を通じて、「できないこと」を「できる」に変える喜びを知ったことがきっかけです。

✨ 印象に残っている出来事

重度の身体障害がある方が、適切な電動車椅子で一人での買い物を実現したこと。

✍️ 記事を書く上で大切にしていること

福祉用具を活用して「生活をより便利に、より自立的に」する情報を発信します。

🎨 趣味・特技

DIY、キャンプ

🔍 最近気になっているテーマ

スマート家電と福祉の融合、IoT活用

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