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就労継続支援は誰が使える?対象となる障害や状況

📖 約37✍️ 菅原 聡
就労継続支援は誰が使える?対象となる障害や状況
就労継続支援(A型・B型)は誰が利用できるのかを解説。対象者は原則18歳以上65歳未満の全ての障害種別(身体・知的・精神・発達障害、難病)の方です。A型は「雇用契約に基づく就労が可能と見込まれる方」、B型は「雇用契約が難しく、自分のペースで働きたい方」が主な対象です。特にB型には50歳以上、障害基礎年金1級受給者などの特例要件があります。障害者手帳がなくても、医師の診断書等で利用できる可能性があるため、不安がある場合は市区町村の窓口や相談支援専門員に相談することを推奨します。

「障害があっても働きたいけれど、自分は就労継続支援を利用できるのだろうか?」「A型とB型、それぞれの対象者はどう違うの?」「障害者手帳がないと申請できない?」—就労継続支援の利用を検討する際、まず「誰が利用できるのか」という対象者に関する疑問は、最も重要な関心事の一つです。

就労継続支援は、働く意欲のある障害を持つ方々を支える、非常に重要な公的サービスです。このサービスは、単に障害の種類や有無だけで決まるのではなく、ご本人の年齢、就労経験、そして現在の心身の状態など、様々な条件を総合的に考慮して利用の可否が判断されます。

この記事では、就労継続支援(A型・B型)の対象となる方の基本的な要件を、障害の種類や具体的な状況ごとに詳しく解説します。この記事を読むことで、ご自身やご家族がこのサービスを利用できるかどうかの見通しが明確になり、次の一歩を踏み出すための具体的な情報が得られるはずです。


就労継続支援の基本的な対象者要件

サービスの根拠法と対象者の定義

就労継続支援は、障害者総合支援法(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)に基づく「障害福祉サービス」の一つです。この法律に基づき、就労継続支援の対象者は、「通常の事業所に雇用されることが困難な障害者のうち、雇用契約に基づき、又は雇用契約によらずに就労の機会を提供する事業による就労を通じて、知識及び能力の向上のために必要な訓練を行うもの」と定義されています。

この定義から、「働く意欲があること」、そして「一般企業での就労が難しい状況にあること」が、利用の最も基本的な条件であることがわかります。このサービスは、働くことが難しい状況にある方を支援するために存在しています。

原則的な年齢制限と障害種別

就労継続支援を利用できる方の基本的な年齢要件は、18歳以上65歳未満です。ただし、65歳に達する前に継続して利用していた方については、一定の要件を満たすことで65歳以降も引き続き利用できる「継続支給の特例」があります。

障害種別については、特定の種別に限定されておらず、以下の全ての障害種別の方が対象となります。

  • 身体障害:肢体不自由、視覚障害、聴覚・平衡機能障害、音声・言語・そしゃく機能障害、内部障害など。
  • 知的障害:知的機能の障害により日常生活に援助が必要な方。
  • 精神障害:統合失調症、うつ病、双極性障害、てんかんなど。
  • 発達障害:自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)など、精神障害に含まれます。
  • 難病等:障害者総合支援法の対象となる難病(約360種類)に指定されている方。

つまり、障害者手帳をお持ちの方であれば、障害種別に関わらず、サービスの利用を検討できます。

💡 ポイント

障害者手帳がなくても、医師の診断書や意見書によって障害福祉サービスの利用が必要と市区町村が認めた場合、特例的に利用できることがあります。まずは市区町村の窓口に相談しましょう。

A型とB型で異なる具体的な利用要件

就労継続支援はA型とB型に分かれていますが、それぞれのサービスで求められる具体的な利用要件は異なります。これは、A型が雇用契約を結ぶ「労働」を前提としているのに対し、B型が「訓練・リハビリ」を重視しているためです。

A型は、雇用契約に基づき就労が可能と見込まれる方を対象とし、B型は、A型の利用や一般企業への就労が困難な方を対象としています。この違いを理解することが、ご自身に合ったサービスを選ぶための出発点となります。


就労継続支援A型:対象者となる具体的な状況

A型対象者の最も重要な要件:「雇用可能」な見込み

就労継続支援A型は、利用者と事業所が雇用契約を結ぶサービスであるため、最も重要な要件は、「適切な支援があれば、雇用契約に基づく就労が可能な方」と見込まれることです。これは、利用開始後、ある程度安定した体調で、事業所が定める労働時間を継続できる能力が期待されるということです。

一般的には、週に20時間以上の勤務を継続することが一つの目安とされることが多いです。面接や体験利用を通じて、支援員がご本人の体力や作業能力、そして働く意欲などを総合的に評価し、雇用契約を結ぶことが可能かを判断します。

具体的な過去の経験に基づくA型の対象要件

A型の対象者として、厚生労働省が例示している具体的な状況は以下の通りです。これらの経験を持つ方は、A型への適性が高いと見なされます。

  • 就労移行支援からの移行:就労移行支援を利用したものの、一般就労に結びつかなかった方。ただし、就労意欲があり、A型での雇用契約に基づく就労が適切と判断された場合に限ります。
  • 特別支援学校卒業後:特別支援学校を卒業して就職活動を行ったが、一般企業への就労が叶わなかった方。
  • 離職者:一般企業での就労経験はあるものの、離職後、現在の体力や能力ではすぐに再度の一般就労が困難となった方。

これらの経験は、ご本人が「働く」という活動に対して一定の意欲と経験を持っていることの証明にもなります。A型は、これらの経験を活かしつつ、安定した環境で再チャレンジしたい方を支える場所です。

⚠️ 注意

A型事業所は、営利活動を通じて給与を支払うため、事業所側も一定の生産性を求めます。そのため、働く意欲だけでなく、一定の作業能力や継続性が利用の重要な鍵となります。

A型利用を特に検討すべき障害特性

A型の利用を特に検討すべき障害特性としては、例えば、以下のようなケースが挙げられます。

  • 精神障害:うつ病などが回復期に入り、規則正しい生活リズムと安定した収入を得ることで、社会復帰を目指したい方。
  • 知的障害・発達障害:一般就労に必要な複雑なコミュニケーションや臨機応変な対応は難しいが、ルーティン作業やマニュアル化された仕事であれば、高い集中力と正確性を発揮できる方。
  • 身体障害:一般企業での物理的な環境調整が難しいが、事業所内であれば、バリアフリー環境や必要な補助具の提供により、十分に能力を発揮できる方。

A型は、雇用契約という形で、あなたの働く能力と社会性を最大限に引き出すための支援を行います。


就労継続支援B型:対象者となる具体的な状況

B型対象者の要件:「雇用契約が困難な方」

就労継続支援B型は、「通常の事業所に雇用されることが困難であり、雇用契約に基づく就労が難しい方」を対象としています。これは、A型や一般就労で求められるような、一定の労働時間や生産性を継続することが、現在の心身の状態では難しい方を指します。

B型は、収入よりも、リハビリテーション、社会との繋がり、生活リズムの維持を重視するサービスです。そのため、働くことへの意欲はあっても、体調の波が激しい方や、長時間の作業が困難な方でも、安心して利用を始められるのが大きな特徴です。

具体的な心身の状況に基づくB型の対象要件

B型は、特に以下のような心身の状態にある方を想定しています。

  • 体力的な不安:病気や加齢に伴う体力低下があり、長時間の立ち仕事や集中力を要する作業が難しい方。
  • 体調の波:精神障害などで体調に大きな波があり、決まった日時に安定して通所・勤務することが難しい方。週に数回、短い時間から始めたい方。
  • 就労経験がない:これまで就労経験がなく、まずは社会参加や集団での活動に慣れることから始めたい方。

B型では、「週に1日、1時間から」といった非常に柔軟な働き方が可能です。これは、何よりもご本人のペースを尊重し、社会との接点を途絶えさせないことを最優先にしているからです。

「B型は、『働く訓練』というよりも『社会で生きるためのリハビリ』の場だと考えてください。働くことが目的ではなく、活動を通して元気を取り戻すことが目標です。」

— 相談支援専門員 F氏

B型で特例的に利用できる方の要件

B型事業所には、上記の他に、年齢に関する特例的な要件が設けられています。これは、過去の就労経験や年齢を考慮し、特に就労の場が必要と判断される方々を対象としています。

  • 50歳に達している方:50歳に達している方で、就労を希望する方。
  • 障害基礎年金1級受給者:障害基礎年金1級を受給している方で、就労を希望する方。

これらの特例要件は、加齢や重度の障害により、一般就労やA型事業所での就労が極めて困難である方を、社会との繋がりから孤立させないための配慮措置です。

✅ 成功のコツ

B型を選ぶ際は、工賃の額よりも、「自分の体調や趣味に合った作業内容」があるかどうかを重視しましょう。継続できることが、生活の安定と心の健康に繋がります。


利用のための手続きと診断書の重要性

利用開始までの一般的な手続きの流れ

就労継続支援(A型・B型)の利用を開始するためには、まずお住まいの市区町村の障害福祉担当窓口に申請を行う必要があります。手続きの全体的な流れは、以下の通りです。

  1. 相談・申請:市区町村の窓口で利用の相談を行い、サービス利用の申請書を提出します。
  2. サービス等利用計画の作成:相談支援専門員と面談し、ご本人の目標や必要な支援内容を盛り込んだ計画案を作成します。
  3. 認定調査:市区町村の職員が訪問調査を行い、心身の状況や生活環境を確認します。
  4. 支給決定・受給者証交付:審査を経てサービス利用の可否が決定し、「障害福祉サービス受給者証」が交付されます。
  5. 事業所との契約:受給者証を持って、ご自身が選んだ事業所と契約し、利用を開始します。

この手続きを通じて、ご本人が就労継続支援を利用するにふさわしい状態にあるかどうかが、専門家の視点から客観的に判断されます。

診断書や意見書が果たす重要な役割

就労継続支援の申請において、医師の診断書や意見書は非常に重要な役割を果たします。特に、障害者手帳をお持ちでない方や、精神障害・発達障害で体調の波が大きい方の場合、医師の意見書が、「なぜこのサービスが必要なのか」を証明する重要な根拠となります。

診断書には、病名や現在の症状だけでなく、就労に関して必要な配慮事項、体力的な限界、推奨される働き方などが具体的に記載されていることが望ましいです。これにより、市区町村の審査や、事業所での支援計画の作成がスムーズに進みます。

申請前に、主治医と就労継続支援の利用を希望する旨をしっかり相談し、サービス利用の必要性について意見をまとめてもらいましょう。

診断書の作成に関するガイドラインを参考に、準備を進めることができます。

利用開始時の年齢に関する特例(例外)

前述の通り、サービス利用の原則は65歳未満ですが、65歳に達する前に継続して利用していた方(継続支給の特例)の他に、以下のような特例が認められる場合もあります。

  • 特定期間の例外:自治体独自の判断や、特別な事情が認められた場合。
  • サービス変更の例外:過去に障害福祉サービスを利用していた経緯があり、65歳以降に病状が再発し、再度サービスが必要になった場合など。

これらの特例は個別の状況に大きく依存するため、必ず事前に市区町村の窓口で確認し、詳細な情報を得るようにしてください。自己判断せずに専門家に相談することが、適切なサービスの継続に繋がります。


よくある質問:利用に関する疑問を解消

Q. 障害者手帳がないと絶対に利用できませんか?

原則として、障害福祉サービスの利用には障害者手帳が必要ですが、手帳がなくても利用できる場合があります。特に、精神障害や難病の方で、手帳の申請をしていない方や、認定までに時間がかかっている方は、医師の診断書や意見書、または精神障害者保健福祉手帳の申請中であることを証明する書類などがあれば、市区町村の判断でサービス利用の「支給決定」を受けられることがあります。

これは、手帳の有無にかかわらず、真に支援が必要な方を救済するための特例措置です。まずはためらわずに、お住まいの市区町村の窓口にご相談ください。

Q. 難病の人でも利用できますか?

はい、利用可能です。2013年(平成25年)の法改正により、障害者総合支援法の対象となる難病等が追加されました。現在、約360種類の難病が対象となっており、これらの難病をお持ちの方で、就労に困難を抱えている方は、就労継続支援A型・B型のサービスを利用することができます。

難病の利用に必要な書類は、特定医療費(指定難病)受給者証や、難病の診断を受けていることがわかる医師の診断書などです。この場合も、手帳の有無は必須ではありません。

Q. 学生(高校生など)でも利用できますか?

就労継続支援の利用対象年齢は原則18歳以上ですが、高校生などの学生は原則として利用できません。これは、障害福祉サービスが「学齢期を終えた後の支援」を想定しているためです。ただし、例外的に、卒業後の進路として就労継続支援を検討している高校3年生などについては、卒業を控えた特定の時期に体験利用や申請手続きを開始できる場合があります。

具体的な申請開始時期や体験利用の可否については、在籍する学校の進路指導の先生や、市区町村の窓口に確認が必要です。

相談窓口と次の一歩

就労継続支援の利用について具体的な疑問や不安がある場合は、以下の相談窓口を積極的に活用しましょう。

  • お住まいの市区町村 障害福祉担当窓口:申請手続きや制度に関する全般的な相談。
  • 指定特定相談支援事業所:利用計画の作成や、どのサービス(A型・B型)が合っているかの専門的な相談。
  • 地域障害者職業センター:就労に関する専門的なアセスメント(評価)や職業リハビリテーションの相談。

これらの専門機関と連携し、あなたの状態と目標に最も合った働き方を見つけることが、充実した生活への第一歩となります。


まとめ

就労継続支援は、身体、知的、精神、発達、難病など、全ての障害種別の方が対象となる、働く意欲を持つ人々のためのサービスです。A型は「雇用契約に基づく就労が可能な方」、B型は「雇用契約が難しいが社会参加を希望する方」という違いがあります。

利用の可否は、単に障害の種類だけでなく、年齢、就労経験、そして医師の意見などを総合的に判断して決定されます。もし不安や疑問がある場合は、ためらわずに市区町村の窓口や相談支援専門員に相談し、ご自身がサービスを利用できるかどうかを確認してください。あなたの「働きたい」という気持ちを、この制度は必ず支えてくれます。

まとめ

  • 就労継続支援の対象者は、18歳以上65歳未満全ての障害種別(難病含む)の方です。
  • A型は「雇用契約が可能」、B型は「雇用契約が困難」な方を対象としており、要件が異なります。
  • 障害者手帳がない場合でも、医師の診断書等により特例的に利用できる可能性があります。

菅原 聡

菅原 聡

すがわら さとし38
デスク📚 実務経験 12
🎯 就労支援🎯 進路支援

📜 保有資格:
職業指導員、キャリアコンサルタント、精神保健福祉士

就労移行支援事業所で10年以上、障害のある方の「働く」を支援してきました。一般就労への移行支援から就労継続支援まで、幅広い経験をもとに、「自分に合った働き方」を見つけるための情報をお届けします。

大学で社会福祉を学び、卒業後すぐに就労移行支援事業所に就職。当初は「障害があっても一般企業で働けるんだ」という驚きと感動の連続でした。これまで150名以上の方の就労支援に携わり、その8割が一般企業への就職を実現。ただし、「就職がゴール」ではなく、「長く働き続けられること」が本当のゴールだと考えています。印象的だったのは、精神障害のある方が、障害をオープンにして自分のペースで働ける職場を見つけ、「初めて仕事が楽しいと思えた」と言ってくださったこと。その笑顔が忘れられません。記事では、就労移行支援と就労継続支援の違い、企業選びのポイント、障害者雇用の現実など、実際の支援経験に基づいた実践的な情報をお伝えします。

もっと詳しく

💭 福祉の道を選んだ理由

大学で社会福祉を学び、「障害があっても一般企業で働ける」という可能性に感動したことがきっかけです。

✨ 印象に残っている出来事

精神障害のある方が、自分のペースで働ける職場を見つけ、「初めて仕事が楽しいと思えた」と言ってくださったこと。

✍️ 記事を書く上で大切にしていること

「就職がゴール」ではなく、「長く働き続けられること」を大切に、実践的な情報を発信します。

🎨 趣味・特技

ランニング、ビジネス書を読むこと

🔍 最近気になっているテーマ

リモートワークと障害者雇用、週20時間未満の短時間雇用

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