就労移行支援の面談でよく聞かれる質問と、その意図

面談で何を聞かれるか不安
「就労移行支援の利用を申し込んだら面談があると言われたけれど、何を聞かれるの?」「うまく答えられなかったらどうしよう」——初めての面談は誰でも緊張するものです。どんな質問をされるのか、事前に知っておきたいと思うのは当然です。
この記事では、就労移行支援の面談でよく聞かれる質問と、スタッフがその質問をする意図について詳しく解説します。質問の意図を理解することで、適切な答え方がわかり、面談への不安が軽減されるはずです。
面談の目的を理解しよう
面談は「試験」ではない
まず理解しておきたいのは、面談は試験や審査ではないということです。「正解」を答えることを求められているわけではありません。スタッフは、あなたのことを知り、最適な支援計画を立てるために質問をしています。
うまく答えられなくても、途中で言葉に詰まっても大丈夫です。正直に、自分の言葉で話すことが最も大切です。わからないことは「わかりません」と答えることも、立派な回答です。
💡 ポイント
面談は双方向のコミュニケーションです。こちらからもわからないことを質問して構いませんし、むしろ積極的に聞くことで、その事業所が自分に合っているか判断する材料になります。
個別支援計画を作るための情報収集
面談での質問は、一人ひとりに合わせた個別支援計画を作成するために必要な情報を集めることが目的です。あなたの状況、希望、課題、強みなどを理解することで、効果的な支援ができるようになります。
そのため、質問内容は多岐にわたります。障害のこと、生活のこと、職歴のこと、希望する働き方など、さまざまな角度から聞かれるでしょう。これは詮索ではなく、より良い支援を提供するための必要なプロセスです。
障害や体調に関する質問とその意図
「障害の診断名と、日常生活での困りごとを教えてください」
この質問の意図は、あなたの障害特性を理解し、必要な配慮を考えるためです。診断名だけでなく、実際にどんな場面で困るのかを具体的に知ることが重要だからです。
例えば、同じ発達障害でも、人によって困りごとは全く異なります。「音に敏感で集中しづらい」「計画を立てるのが苦手」「対人コミュニケーションに不安がある」など、具体的に伝えることで、適切な環境調整や訓練内容を考えてもらえます。
「体調の波はありますか?どんなときに崩しやすいですか?」
この質問は、無理のない通所計画を立てるために聞いています。体調の波がある方に対して、最初から週5日フルタイムの通所を求めるのは現実的ではありません。
「季節の変わり目に調子を崩しやすい」「ストレスが溜まると眠れなくなる」「朝が苦手」など、自分のパターンを伝えることで、それに合わせた柔軟な計画を立ててもらえます。正直に伝えることが、継続的な通所につながります。
✅ 成功のコツ
困りごとを伝える際は、「どんな配慮や工夫があればうまくいくか」も一緒に伝えられると、スタッフが具体的な支援を考えやすくなります。例:「音に敏感なので、静かな環境や耳栓があると集中できます」
「服薬していますか?副作用はありますか?」
この質問は、健康管理のサポートを考えるためです。薬の副作用で眠気が出る、集中力が落ちるといった場合、訓練時間や休憩の取り方を調整する必要があるからです。
プライバシーに関わる質問ですが、より良い支援のために必要な情報です。安心して答えてください。もちろん、答えたくない場合は「その質問には答えたくありません」と言うこともできます。
職歴や学歴に関する質問とその意図
「これまでの職歴・学歴を教えてください」
この質問の意図は、あなたの経験やスキルを把握するためです。過去の経験は、新しい仕事を探す際の強みになります。また、過去の職場で何がうまくいって、何が難しかったかを知ることで、次の就職先選びに活かせます。
職歴が短い、ブランクが長い、学校を中退しているなどの事情があっても、恥ずかしがる必要はありません。そうした経験も含めて、あなたの歴史であり、支援を考える上で大切な情報です。
「前職を辞めた理由を教えてください」
この質問は、同じ失敗を繰り返さないために聞いています。過去の離職理由を分析することで、次の就職先では避けるべき環境や、必要な配慮が見えてくるからです。
「人間関係がうまくいかなかった」「業務量が多すぎた」「通勤が負担だった」など、率直に伝えてください。それを責められることはありません。むしろ、その経験から学び、次に活かすためのヒントを一緒に考えてくれます。
希望や目標に関する質問とその意図
「どんな仕事に就きたいですか?」
この質問は、支援の方向性を決めるために重要です。希望する職種によって、必要なスキル訓練や、紹介する企業が変わってくるからです。
明確な希望がなくても大丈夫です。「まだわからない」「いろいろ試してみたい」という答えも立派な回答です。その場合は、自己理解を深めるところから始めるプログラムを組んでもらえます。
⚠️ 注意
「こう答えなければいけない」と無理に背伸びした答えをする必要はありません。現実的でない目標を掲げるより、正直に今の気持ちを伝える方が、適切な支援につながります。
「週に何日、1日何時間くらい通えそうですか?」
この質問は、現実的な通所計画を立てるために聞いています。体調や生活状況によって、無理なく通える頻度は人それぞれです。
最初は控えめに答えても構いません。「まずは週2日、午前中だけから始めたい」という希望も尊重されます。徐々にペースを上げていくことができますので、無理のない範囲で答えましょう。
「就職の目標時期はありますか?」
この質問は、支援計画のタイムラインを考えるために聞いています。「半年後には就職したい」のか「じっくり2年かけて準備したい」のかで、支援の進め方が変わってくるからです。
焦る必要はありませんが、漠然としたイメージでも構いないので、希望を伝えると良いでしょう。「体調を整えてから考えたい」という答えも、もちろんOKです。
生活状況に関する質問とその意図
「現在の生活リズムを教えてください」
この質問は、通所のための準備状況を把握するためです。不規則な生活リズムの方に対しては、まず生活リズムを整えるところから支援が始まることもあります。
「昼夜逆転している」「朝起きられない」といった状況も正直に伝えましょう。それを改善するためのサポートも、就労移行支援の役割の一つです。
「家族との関係や、サポート体制について教えてください」
この質問は、あなたを取り巻く環境を理解するために聞いています。家族の理解があるか、協力が得られるかによって、支援の進め方が変わることがあるからです。
「家族が反対している」「一人暮らしで頼れる人がいない」といった状況も、隠さず伝えてください。その状況を踏まえた支援を考えてもらえます。
「経済的な状況について教えてください」
この質問は、利用料金の負担区分を確認したり、経済的な不安を把握するためです。障害年金を受給しているか、収入はあるか、利用料の支払いに不安はないかなどを確認します。
経済的な不安がある場合は、利用できる制度を案内してもらえることもあります。遠慮せず、正直に状況を伝えましょう。
| 質問のカテゴリ | 主な意図 | 答え方のポイント |
|---|---|---|
| 障害・体調 | 必要な配慮を考える | 具体的な困りごとを伝える |
| 職歴・学歴 | 経験とスキルを把握 | 正直に、経緯も含めて話す |
| 希望・目標 | 支援の方向性を決める | わからなければ正直に言う |
| 生活状況 | 現実的な計画を立てる | ありのままを伝える |
よくある質問(FAQ)
Q1. 答えたくない質問には答えなくてもいいですか?
はい、答えたくない質問には答えなくて構いません。「その質問には答えたくありません」とはっきり伝えましょう。ただし、答えないことで適切な支援が難しくなる可能性もあることは理解しておいてください。
Q2. 面談で聞いた内容は他に漏れませんか?
個人情報は厳重に管理されます。ただし、支援に必要な範囲で、事業所内のスタッフ間では共有されます。他の利用者や外部に漏れることはありませんので、安心してください。
Q3. 面談は何回くらいありますか?
利用開始前に1〜2回、利用開始後も定期的に面談があります。頻度は事業所によって異なりますが、月1回程度が一般的です。面談は負担ではなく、困りごとを相談できる貴重な機会です。
Q4. 面談で緊張して話せなかったらどうしよう?
緊張するのは当然です。うまく話せなくても、スタッフは理解してくれます。メモを持参したり、「緊張しています」と最初に伝えたりすることで、スタッフも配慮してくれるでしょう。
Q5. 家族も同席できますか?
多くの場合、家族の同席は可能です。ただし、本人が主体となって話すことが大切です。家族は補足的な役割にとどめ、本人の意思が尊重されるよう心がけましょう。
まとめ
この記事では、就労移行支援の面談でよく聞かれる質問とその意図について解説しました。
- 面談は試験ではなく、個別支援計画を作るための情報収集が目的です
- 障害・体調、職歴、希望、生活状況など、多角的な質問がされますが、すべて適切な支援のために必要な情報です
- 正直に、自分の言葉で答えることが最も大切で、わからないことは「わからない」と答えて構いません
- 答えたくない質問には答えなくてもよいですが、情報が少ないと適切な支援が難しくなる可能性があります
- 面談は双方向のコミュニケーションなので、こちらからも積極的に質問しましょう
面談を怖がる必要はありません。スタッフはあなたの就職を支援するパートナーです。リラックスして、ありのままの自分を伝えることで、より良い支援が受けられます。
詳しい情報やご不明な点は、お住まいの市区町村の障害福祉課、または施設検索ページからお近くの相談支援事業所にお問い合わせください。面談が実りあるものになることを願っています。

菅原 聡
(すがわら さとし)38歳📜 保有資格:
職業指導員、キャリアコンサルタント、精神保健福祉士
就労移行支援事業所で10年以上、障害のある方の「働く」を支援してきました。一般就労への移行支援から就労継続支援まで、幅広い経験をもとに、「自分に合った働き方」を見つけるための情報をお届けします。
大学で社会福祉を学び、卒業後すぐに就労移行支援事業所に就職。当初は「障害があっても一般企業で働けるんだ」という驚きと感動の連続でした。これまで150名以上の方の就労支援に携わり、その8割が一般企業への就職を実現。ただし、「就職がゴール」ではなく、「長く働き続けられること」が本当のゴールだと考えています。印象的だったのは、精神障害のある方が、障害をオープンにして自分のペースで働ける職場を見つけ、「初めて仕事が楽しいと思えた」と言ってくださったこと。その笑顔が忘れられません。記事では、就労移行支援と就労継続支援の違い、企業選びのポイント、障害者雇用の現実など、実際の支援経験に基づいた実践的な情報をお伝えします。
もっと詳しく▼
💭 福祉の道を選んだ理由
大学で社会福祉を学び、「障害があっても一般企業で働ける」という可能性に感動したことがきっかけです。
✨ 印象に残っている出来事
精神障害のある方が、自分のペースで働ける職場を見つけ、「初めて仕事が楽しいと思えた」と言ってくださったこと。
✍️ 記事を書く上で大切にしていること
「就職がゴール」ではなく、「長く働き続けられること」を大切に、実践的な情報を発信します。
🎨 趣味・特技
ランニング、ビジネス書を読むこと
🔍 最近気になっているテーマ
リモートワークと障害者雇用、週20時間未満の短時間雇用





