ホーム/記事一覧/生活サポート情報/住まい・生活環境/障害者の自宅での転倒防止策まとめ

障害者の自宅での転倒防止策まとめ

📖 約35✍️ 鈴木 美咲
障害者の自宅での転倒防止策まとめ
本記事は、障害のある方の自宅での転倒を防ぐための総合的な対策を解説します。転倒防止の鍵は、物理的な環境整備、身体機能の維持、福祉用具の活用、認知・感覚への配慮の4つの視点です。環境整備では、電気コードや敷物といった床面の「つまずき要素」の徹底排除と、段差の可視化・解消が重要。身体機能へのアプローチとして、理学療法士による筋力・バランス訓練の継続を推奨します。また、手すりや歩行補助具の適切な調整、夜間移動のための足元灯の設置、服薬リスクの確認など、多角的な工夫を促します。これらの対策には、介護保険や障害者総合支援法の助成制度の活用も不可欠です。

自宅での生活を安心に!障害のある方のための転倒防止策まとめ

ご本人、ご家族、そして支援者の皆様、ご自宅での「転倒」は、骨折や頭部外傷といった重篤な事態を招きかねない、最も避けるべきリスクの一つです。特に、運動機能やバランス能力に障害のある方、視覚や認知機能に課題を持つ方にとって、日々の生活には見えない危険が潜んでいます。

「自宅にいる時くらいは、安心して過ごしたい」「小さな工夫で転倒を防げるなら、すぐにでも対策したい」と強く願っているのではないでしょうか。転倒防止対策は、大規模なリフォームだけでなく、誰でもすぐに始められる簡単な環境整備や、身体機能へのアプローチも含めた総合的な対策が有効です。

この記事では、「環境整備(物理的なバリア排除)」「身体機能へのアプローチ」「福祉用具の活用」「認知・感覚への配慮」という4つの視点から、障害のある方の自宅での転倒を防ぐための具体的な対策を詳しくご紹介します。この情報を活用し、ご自宅を安全で安心できる空間へと変えていきましょう。


🏠 ステップ1:環境整備による物理的バリアの排除

転倒事故の多くは、床の障害物や小さな段差といった物理的な環境バリアが原因で起こります。まずは、家の中の「隠れた危険」を取り除くことから始めましょう。

床面の「つまずき要素」を徹底的に除去する

床の上にある見慣れたものが、ふとした瞬間に大きな危険となります。特に、頻繁に通行する経路を重点的にチェックしましょう。

  • 電気コード・配線の固定: 床を横切る電気コードや延長コードは、モールやコードカバーを使用して壁沿いや家具の裏側にしっかりと固定し、歩行経路から完全に排除します。
  • 敷物・マットの滑り止め: 玄関マット、キッチンマット、ラグなどは、端がめくれ上がりやすく危険です。裏面に滑り止め加工が施されたものを選び、さらに両面テープや専用の滑り止めシートで床に完全に密着させます。
  • 不用品や雑誌の排除: 廊下や階段、部屋の隅に置かれた新聞、雑誌、荷物などを整理し、通路を広く確保します。特に夜間、急いで移動する際に危険です。

⚠️ 注意

車椅子を使用する場合、床の上の敷物はかえってタイヤの動きを妨げ、転倒や転落の原因になることがあります。車椅子使用者の移動経路には、できる限り敷物を敷かないようにしましょう。

家の中の「段差」を可視化・解消する

自宅内の小さな段差は、つまずきの主な原因です。リフォームが難しい場合でも、工夫次第で危険を減らせます。

  • 敷居・段差の解消: 部屋と廊下の間の敷居は、スロープ状の段差解消材や、薄いゴムマットなどで埋めるか、撤去する工事(介護保険の住宅改修対象)を検討します。
  • 段差の「色」の工夫: 階段や玄関の段差など、やむを得ず残る段差には、段差の先端に明るい色や蛍光色のテープを貼り、視覚的に段差を強調し、見えやすくします。
  • 階段の手すり設置: 階段の昇降には、必ず両側に手すりを設置し、身体を支えられるようにします。手すりの太さは、しっかりと握れるよう直径3.2cm~3.5cm程度が推奨されます。


🚶 ステップ2:身体機能と動作へのアプローチ

転倒は、環境要因だけでなく、ご本人の身体機能の低下や、動作の誤りによっても引き起こされます。日々のリハビリテーションと動作の確認が重要です。

リハビリテーションによる筋力・バランス能力の維持

運動機能の維持・向上は、転倒防止の最も基本的な対策です。

  • 専門家による評価: 定期的に理学療法士(PT)や作業療法士(OT)による専門的な評価を受け、ご本人の筋力やバランス能力の現状を把握します。
  • 日常的な運動: PTの指導のもと、下肢の筋力(特に大腿四頭筋)を維持・強化するための運動や、バランス能力を鍛えるための訓練(例:片足立ち、踵上げ)を日常生活に組み込みます。
  • 多動的運動の継続: 関節の可動域が制限されると、歩行時のつまずきにつながります。関節をゆっくり大きく動かすストレッチや体操を毎日継続しましょう。

✅ 成功のコツ

転倒リスクが高い方は、太極拳やヨガなど、ゆっくりとした動作でバランスを整える運動が有効であることが科学的に示されています。医師やリハビリ専門職に相談の上、導入を検討してみましょう。

危険な動作を避けるための指導と工夫

急激な動作や、不適切な身体の使い方(代償動作)が転倒を招きます。動作の修正と、介助者の指導が重要です。

  • 「急がない」指導の徹底: 急に立ち上がったり、急いで方向転換したりする動作を避けるよう、常に意識付けを行います。
  • 立ち上がりの工夫: 立ち上がる際は、手すりや安定した家具(アームレストなど)を使い、「頭を前に、お尻を上げる」という正しい姿勢を指導します。
  • 視覚・聴覚障害への配慮: 視覚障害のある方には、杖の使用法の再確認と、家具の配置変更の際は必ず口頭で詳細に伝え、実際に触って確認してもらう機会を設けます。


🛡️ ステップ3:福祉用具と補助具の適切な活用

ご本人の身体機能を補い、安全な動作を可能にするための福祉用具や補助具は、転倒防止の強力なツールです。重要なのは「身体に合ったもの」を選ぶことです。

手すり・歩行補助具の選定と使い方

自宅内の手すりは、特定の場所での立ち座りや移動を安全にするために必須です。

  • 場所に応じた手すりの設置: 玄関、トイレ、浴室、階段など、立ち座りや段差がある場所に、ご本人の手の高さに合わせた手すりを設置します。
  • 据置型手すりの活用: 壁への工事が難しい賃貸住宅などでは、床と天井を突っ張って設置する据置型・突っ張り型の手すりが有効です。ベッドやソファからの立ち上がりに役立ちます。
  • 歩行補助具の調整: 杖や歩行器を使う場合、その高さが適切か(肘が30度程度曲がる角度が目安)を定期的に理学療法士にチェックしてもらいましょう。不適切な高さの補助具は、かえって姿勢を崩し、転倒を招きます。

💡 ポイント

手すりの設置や段差解消などの改修工事は、介護保険や障害者総合支援法の住宅改修費の対象となる場合があります。必ず工事前に、ケアマネジャーや相談支援専門員に相談し、制度の利用手続きを進めましょう。

転倒時の衝撃を軽減する用具

転倒自体を防ぎきれない場合に備え、万が一転倒した場合の被害を最小限に抑えるための対策も重要です。

  • 衝撃吸収マットの活用: ベッドサイドや車椅子からの移乗場所など、特に転倒リスクが高い場所の床に、衝撃吸収性に優れた分厚いマットを敷き詰めます。
  • ヒッププロテクター: 転倒した際に骨折しやすい股関節を守るため、クッション材が内蔵された下着やアウターを装着するヒッププロテクターも、特に骨粗鬆症のある方に有効です。
  • 緊急通報装置(ナースコール): 転倒後、すぐに助けを呼べるよう、ベッドサイドや浴室など転倒しやすい場所に、紐やボタンを押すだけで外部に連絡できる緊急通報装置を設置します。


🧠 ステップ4:認知・環境要因への多角的な配慮

転倒の原因は物理的なバリアだけではありません。照明の暗さや、服用している薬の影響、認知機能の低下など、複合的な要因をチェックすることが、総合的な転倒防止につながります。

照明と視覚への配慮

明るさとコントラストは、特に夜間の転倒防止に非常に重要です。

  • 足元灯(フットライト)の設置: 夜間、トイレに起きる際など、暗闇の中で移動する経路に、人感センサー付きの足元灯を設置し、足元を常に明るく照らすようにします。
  • 照明の均一化: 部屋や廊下に影ができると、段差があるように錯覚する場合があります。照明を増やしたり、全体を均一に明るく照らす照明器具に変更したりして、影を作らないようにしましょう。
  • 床と壁の色の対比: 視覚障害や認知機能の低下がある場合、床と壁の色を大きく変えることで、空間の境界をわかりやすくします。

薬と認知機能への注意

服用している薬の副作用や、体調の変化も、転倒リスクを高めます。

  • 薬剤師との相談: 睡眠薬、向精神薬、血圧降下剤など、一部の薬はふらつきやめまい、眠気を引き起こし、転倒の原因となることがあります。服薬中の薬について、薬剤師に転倒リスクの有無を相談し、可能な場合は処方変更を検討してもらいます。
  • 体調と服薬管理: 発熱や脱水、低血糖など、体調が優れない時は転倒しやすくなります。ヘルパーやご家族が体調の変化を常に観察し、無理な動作をさせないようにします。
  • 認知症対策: 認知症などで見当識障害がある場合、歩行経路に安全のためのゲートやセンサーを設置したり、逆に歩き回っても安全な「周回できる経路」を確保したりするなどの環境整備を行います。


✨ まとめと次の一歩の提案

障害のある方の自宅での転倒防止策は、物理的な環境整備、身体機能の維持、福祉用具の適切な活用、そして認知・感覚への配慮という、多角的なアプローチが必要です。特に、床の上の敷物やコード類、小さな段差といった「つまずき要素」を徹底的に排除することが、最も即効性のある対策です。

リフォームや用具の導入には、必ず専門家(理学療法士、福祉住環境コーディネーター)の評価を受け、ご本人の障害特性と生活スタイルに合ったものを選択することが重要です。また、介護保険や障害者総合支援法の助成制度を最大限に活用し、費用の負担を軽減しながら、安心できる住環境を整えましょう。

次の一歩の提案

ご自宅の「最も危険な場所」を3つ選んでリストアップし、それぞれの場所でこの記事のチェックリストに基づき、今日からできる対策を一つずつ実行してみましょう。小さな行動が、大きな安心につながります。

まとめ

  • 転倒事故を防ぐため、床上のコードや敷物、小さな段差を最優先で除去し、物理的なバリアを排除する。
  • 手すりや歩行補助具は、理学療法士の指導に基づき適切な高さに調整し、身体機能に合致したものを選ぶ。
  • 夜間の安全を確保するため、人感センサー付きの足元灯を設置し、服薬中の薬について薬剤師に転倒リスクの有無を確認する。

鈴木 美咲

鈴木 美咲

すずき みさき42
担当📚 実務経験 15
🎯 相談支援🎯 当事者・家族支援

📜 保有資格:
社会福祉士、相談支援専門員

相談支援専門員として15年、障害のある方とそのご家族の「困った」に寄り添ってきました。実際の相談事例をもとに、当事者やご家族のリアルな声、具体的な解決策をお届けします。「一人で悩まないで」がモットーです。

社会福祉士として障害者相談支援事業所に勤務し15年。年間約100件の相談に対応し、サービス等利用計画の作成や、関係機関との調整を行っています。この仕事の魅力は、「困っている」状態から「解決した!」という笑顔に変わる瞬間に立ち会えること。ただし、制度が複雑で「どこに相談すればいいか分からない」という声を本当によく聞きます。特に印象深いのは、お子さんの障害を受け入れられず孤立していたお母さんが、同じ境遇の親の会に繋がり、「一人じゃないと分かって救われた」と涙ながらに話してくださったこと。情報と繋がりの大切さを実感しました。記事では、実際の相談事例(もちろん個人情報は特定できないよう配慮)をベースに、「こんなとき、どうすればいい?」という疑問に答えていきます。

もっと詳しく

💭 福祉の道を選んだ理由

大学のボランティアで障害のある方と出会い、「困っている」を「解決した!」に変える仕事がしたいと思ったことがきっかけです。

✨ 印象に残っている出来事

孤立していたお母さんが、親の会に繋がり「一人じゃないと分かって救われた」と話してくださったこと。

✍️ 記事を書く上で大切にしていること

実際の相談事例をもとに、「こんなとき、どうすればいい?」という疑問に答えることを大切にしています。

🎨 趣味・特技

ヨガ、カフェ巡り

🔍 最近気になっているテーマ

ヤングケアラー支援、家族のレスパイトケア

📢 この記事をシェア

関連記事