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障害のある方の外出をラクにする基本ガイド【初めての外出サポート】

📖 約21✍️ 金子 匠
障害のある方の外出をラクにする基本ガイド【初めての外出サポート】
障害のある方の外出をサポートするための基本ガイド。事前準備として本人の希望確認、目的地の下見、バリアフリー情報の収集、持ち物チェックが重要。交通手段は目的や体調に合わせて選び、移動支援サービスも活用できる。外出中は本人のペースを最優先にし、定期的な休憩とコミュニケーションを大切に。トラブル時の対処法や、段階的なチャレンジ方法、支援者のセルフケアについても解説。安心して外出を楽しむための実践的なアドバイスが満載。

障害のある方の外出、不安に感じていませんか?

「外出したいけれど、何を準備すればいいかわからない」「初めての場所に行くのが怖い」「もし何かあったらどうしよう」——障害のある方やそのご家族、支援者の方から、こうした声をよく耳にします。外出は生活の質を高め、社会とのつながりを保つ大切な活動ですが、不安や心配があるのは当然のことです。

この記事では、障害のある方の外出をラクにするための基本的な知識とコツをご紹介します。事前の準備から当日のサポート、困ったときの対処法まで、初めて外出サポートをする方にもわかりやすく解説していきます。

外出前の準備:安心のための第一歩

本人の希望と体調を確認する

外出サポートの基本は、本人の「行きたい」という気持ちを大切にすることです。どこに行きたいのか、何をしたいのか、どんな不安があるのかを丁寧に聞き取りましょう。無理に外出を勧めるのではなく、本人のペースを尊重することが成功の鍵です。

体調面でも事前の確認が重要です。当日の体調はもちろん、普段の体調パターンや疲れやすい時間帯、気をつけるべき症状などを把握しておきましょう。医療的なケアが必要な場合は、主治医や看護師と相談して外出可能かどうかを確認することも大切です。

💡 ポイント

初めての外出は、短時間・近距離から始めるのがおすすめです。30分程度の近所への散歩から徐々に慣れていくことで、本人も支援者も安心して次のステップに進めます。

目的地の下見とバリアフリー情報の収集

可能であれば、事前に目的地の下見をしておくと当日の不安が大きく軽減されます。実際に現地を訪れることが難しい場合は、施設のウェブサイトやGoogleストリートビュー、口コミサイトなどを活用して情報を集めましょう。

確認しておきたい主なポイントは以下の通りです:

  • 建物の入口に段差はないか、スロープやエレベーターはあるか
  • 車椅子対応のトイレ(多目的トイレ)の場所
  • 休憩できるスペースや椅子の有無
  • 駐車場から目的地までの距離とルート
  • 混雑する時間帯や比較的空いている時間帯

最近では、バリアフリー情報を専門に扱うアプリやウェブサイトも増えています。WheeLog!(ウィーログ)やAccessible Japan(アクセシブル・ジャパン)など、当事者の声が集まるプラットフォームを活用すると、より実践的な情報が得られます。

持ち物チェックリストを作る

外出時の持ち物は、障害の種類や程度、外出の目的によって異なりますが、基本的なチェックリストを作っておくと忘れ物を防げます。

✅ 基本の持ち物リスト

  • 障害者手帳(割引やサービスを受けられる場合があります)
  • 健康保険証・お薬手帳
  • 常備薬(いつもより多めに)
  • 緊急連絡先のメモ
  • 水分補給用の飲み物
  • タオルやティッシュ
  • 必要に応じて:杖、補聴器の予備電池、コミュニケーションボードなど

医療的ケアが必要な方の場合は、医療機器の充電状態や予備バッテリー、必要な医療材料なども確認リストに加えましょう。チェックリストは紙に書いて玄関に貼っておくと、出かける前の確認がスムーズになります。

交通手段の選び方と利用のコツ

それぞれの交通手段の特徴を知る

障害のある方の外出には、さまざまな交通手段が利用できます。それぞれにメリットと配慮すべき点があるので、目的や体調、距離に応じて最適な方法を選びましょう

交通手段 メリット 注意点
自家用車 自分のペースで移動でき、荷物も多く運べる 駐車場の確保、運転者の確保が必要
電車・バス 比較的低コスト、長距離移動に便利 混雑時は避ける、乗り換えの確認が重要
タクシー ドア・ツー・ドアで便利 コストが高め、事前予約がおすすめ
福祉タクシー 車椅子のまま乗車可能、介助サポートあり 事前予約必須、利用条件がある場合も
移動支援サービス ヘルパーが同行、公的補助で低コスト 利用できる目的に制限がある

公共交通機関を利用する際のサポート

電車やバスなどの公共交通機関は、多くの障害者割引制度があり経済的です。ただし、利用にあたってはいくつかのポイントを押さえておく必要があります。

駅員さんやバスの運転手さんに事前に声をかけることで、スロープの設置や乗降のサポートを受けられます。「恥ずかしい」「迷惑をかけたくない」と感じる方もいらっしゃいますが、駅員さんたちは日常的にサポートを行っており、声をかけることは全く問題ありません。

💡 ポイント

鉄道会社によっては、事前に連絡しておくと乗車駅から降車駅まで連絡してくれるサービスもあります。乗り換えが複数ある場合は特に便利です。JRの「お客様センター」や各私鉄の案内窓口に相談してみましょう。

移動支援サービスを活用する

障害者総合支援法に基づく移動支援サービスは、ヘルパーが外出に同行してくれる制度です。買い物や通院、余暇活動など、社会参加のための外出に利用できます。

利用するには、お住まいの市区町村に申請が必要です。障害支援区分の認定を受けている方が対象となることが多く、サービスの内容や利用時間は自治体によって異なります。利用者負担は原則1割ですが、所得に応じて上限額が設定されています。

ただし、通勤や通学、医療機関での長時間の付き添いなど、利用できない目的もありますので、詳しくは相談支援事業所や市区町村の障害福祉課に確認しましょう。

外出先でのサポートの基本

本人のペースを最優先に

外出中は、本人の体調や気分の変化に常に注意を払いましょう。疲れた様子が見られたら、予定を変更してでも休憩を取ることが大切です。「せっかく来たのだから」と無理を続けると、次の外出への意欲が失われてしまうこともあります。

声かけも重要なポイントです。「大丈夫ですか?」と定期的に確認するだけでなく、「あそこに椅子がありますね」「少し休憩しませんか?」と具体的な提案をすると、本人も休憩しやすくなります。

コミュニケーションのサポート

お店や施設で何かを伝えたいとき、言葉でのコミュニケーションが難しい場合もあります。そんなときは、以下のような方法を試してみましょう:

  1. 筆談ボードやスマートフォンのメモ機能を使う
  2. 指差しができる絵カードやコミュニケーションボードを活用する
  3. 「はい」「いいえ」で答えられる質問の仕方を工夫する
  4. 支援者が代弁する場合も、必ず本人の意思を確認する

支援者が代わりに話すときも、本人を無視せず、必ず本人に向かって話しかけてもらうよう、お店の方などに伝えることが大切です。「ご本人に聞いていただけますか?」と穏やかに伝えれば、多くの方が理解してくださいます。

⚠️ 注意

パニックや強い不安が生じたときは、まず安全な場所に移動することを最優先に。人混みから離れ、落ち着ける静かな場所を探しましょう。無理に説得したり、大きな声で呼びかけたりするのは逆効果です。

トイレの利用と休憩のタイミング

外出先でのトイレは、事前に場所を確認しておくことが基本です。多目的トイレ(車椅子対応トイレ)は、大型商業施設や駅、公園などに設置されていますが、数が限られているため、余裕を持って向かうことをおすすめします。

また、多目的トイレは車椅子ユーザーだけでなく、オストメイトの方、お子さん連れの方なども利用するため、混雑していることもあります。時間に余裕を持ったスケジュールを組むことで、こうした状況にも対応しやすくなります。

休憩は疲れる前に取るのがコツです。1〜2時間に一度は休憩を入れるようなペース配分を心がけましょう。カフェやベンチ、施設の休憩スペースなど、座れる場所を見つけたら積極的に利用してください。

よくあるトラブルと対処法

体調が急に悪くなったとき

外出中に体調が悪化した場合は、無理をせずすぐに対応しましょう。まずは安全な場所に移動し、座る・横になるなど、楽な姿勢をとってもらいます。水分補給をし、必要があれば持参した薬を服用します。

症状が改善しない場合や、いつもと違う様子がある場合は、遠慮せず救急車を呼ぶか、近くの医療機関を受診しましょう。緊急連絡先のメモや健康保険証、お薬手帳を携帯しておくことの重要性がここで実感できます。

バリアフリー設備が使えなかったとき

「ウェブサイトではエレベーターがあると書いてあったのに故障中だった」「多目的トイレが施錠されていた」——こうした状況は残念ながら起こり得ます。

そんなときは、まず施設のスタッフに相談してみましょう。別の経路があったり、スタッフ用のエレベーターを案内してくれたり、鍵を開けてもらえたりすることもあります。諦めずに声をかけることが大切です。

✅ 成功のコツ

外出先で困ったときは「助けてください」と周囲に声をかける勇気も大切です。多くの人は助けたいと思っていても、どう声をかけたらいいかわからず躊躇しているだけです。具体的に「手伝ってほしいこと」を伝えれば、快く協力してくれる方がたくさんいます。

周囲の視線や言葉が気になるとき

残念ながら、障害のある方やその支援者に対して、心ない視線や言葉を向ける人がいるのも事実です。しかし、そうした一部の人の態度に負けず、堂々と外出を楽しむ権利があなたにはあります

気になる視線や言葉があっても、できるだけ気にしないことが一番です。それでもつらいときは、信頼できる人に話を聞いてもらったり、同じ経験をしている当事者団体やピアサポートグループに相談したりすることで、気持ちが楽になることがあります。

外出をもっと楽しむためのアイデア

段階的にチャレンジしていく

初めての外出が成功したら、少しずつ行動範囲を広げていきましょう。最初は近所の公園、次はショッピングモール、その次は映画館や美術館——というように、段階的にステップアップしていくことで、自信と経験が積み重なっていきます。

外出の記録をつけるのもおすすめです。どこに行ったか、何が楽しかったか、どんな困難があったか、次回に活かせることは何かなどを簡単にメモしておくと、次の外出計画の参考になります。写真を撮って思い出として残すのも楽しいですね。

同じ障害のある仲間と出かける

当事者同士で外出すると、お互いの気持ちがわかり合え、より楽しい時間が過ごせることがあります。障害者団体や当事者会、ピアサポートグループなどでは、定期的にレクリエーション活動を行っていることも多いので、参加してみるのも良いでしょう。

また、障害のある方向けの旅行プランを提供する旅行会社もあります。バリアフリー対応の宿泊施設や移動手段を手配してくれるため、安心して旅行を楽しめます。

テクノロジーを味方につける

スマートフォンのアプリやGPS機能は、外出の強い味方です。以下のような便利なツールがあります:

  • ナビゲーションアプリ:車椅子対応ルートや段差の少ない道を案内してくれるものも
  • バリアフリー情報アプリ:実際の利用者の口コミが見られる
  • コミュニケーション支援アプリ:音声を文字にしたり、絵で伝えたりできる
  • 緊急連絡アプリ:ワンタッチで家族や支援者に現在地を知らせられる

無料で使えるものも多いので、いくつか試してみて、自分に合ったものを見つけてください。

サポートする側の心構えと自己ケア

完璧を求めすぎない

支援者やご家族の方は、「完璧にサポートしなければ」と気負いすぎてしまうことがあります。しかし、外出サポートに正解は一つではありません。その日の状況や本人の体調によって、ベストな対応は変わってきます。

うまくいかないこともあるかもしれませんが、それは失敗ではなく「次への学び」です。本人と一緒に振り返り、次回に活かせば良いのです。リラックスして、楽しむ気持ちを持つことが、結果的に良いサポートにつながります。

支援者自身のケアも大切に

外出サポートは、身体的にも精神的にも負担がかかることがあります。支援者やご家族が疲れてしまっては、継続的なサポートが難しくなります。

定期的に自分の休息時間を取る、他の家族や支援者と役割を分担する、レスパイトケア(一時的に介護を代わってもらえるサービス)を利用するなど、自分自身のケアも忘れずに行いましょう。あなたが元気でいることが、本人にとっても何よりの支えになります。

よくある質問

Q1. 外出先で困ったとき、どこに相談すればいいですか?

まずは、その場にいる施設のスタッフや駅員さんに声をかけましょう。外出前や外出後の相談は、市区町村の障害福祉課や相談支援事業所が窓口となります。電話での相談も可能です。

Q2. 障害者手帳を持っていなくても、サポートは受けられますか?

障害者手帳がなくても、多くの施設では配慮やサポートを受けられます。ただし、交通機関の割引や一部のサービスは手帳の提示が必要な場合があります。手帳の取得を検討される場合は、主治医や市区町村の担当窓口にご相談ください。

Q3. 初めて行く場所で、事前に相談できますか?

はい、多くの施設では事前の相談を受け付けています。電話やメールで「車椅子で訪問予定ですが、利用できる設備について教えてください」といった形で問い合わせることができます。丁寧に対応してくれる施設がほとんどです。

Q4. 外出支援のヘルパーさんとの関係がうまくいかないときは?

まずはヘルパーさん本人に、どういったサポートを希望するか具体的に伝えてみましょう。それでも改善しない場合は、サービス提供事業所の責任者や相談支援専門員に相談することができます。我慢せずに早めに相談することが大切です。

まとめ

この記事では、障害のある方の外出をラクにするための基本的な知識とサポート方法について解説しました。

  • 外出前の準備(本人の希望確認、目的地の下見、持ち物チェック)が安心につながる
  • 交通手段は目的や体調に合わせて選び、移動支援サービスなども活用できる
  • 外出中は本人のペースを最優先に、定期的な休憩とコミュニケーションを大切に
  • トラブルが起きても慌てず、周囲に助けを求める勇気を持つ
  • 段階的にチャレンジし、テクノロジーも味方につける
  • 支援者自身のケアも忘れずに

外出は、生活の質を高め、社会参加を実現する大切な活動です。最初は不安があっても、一歩ずつ進めていけば、必ず楽しい経験が待っています。

詳しい情報やご不明な点は、お住まいの市区町村の障害福祉課、または施設検索ページからお近くの相談支援事業所にお問い合わせください。あなたの外出が、より安心で楽しいものになることを心から願っています。


金子 匠

金子 匠

かねこ たくみ55
編集長📚 実務経験 30
🎯 生活サポート🎯 制度・法律

📜 保有資格:
社会福祉士、精神保健福祉士

障害者支援施設で30年間勤務し、施設長を経験。現在はすぐサポ編集長として、障害のある方とご家族が必要な情報にアクセスできる環境づくりに取り組んでいます。「制度は複雑だけど、使えば生活が楽になる」という信念のもと、分かりやすい情報発信を心がけています。

大学卒業後、障害者支援施設に就職し、30年間にわたり現場で支援に携わってきました。生活支援員として10年、サービス管理責任者として15年、そして施設長として5年の経験があります。特に印象に残っているのは、重度の知的障害があり、施設入所が当然と思われていた方が、適切な支援と環境調整により地域での一人暮らしを実現したケースです。「できない」と決めつけず、その人に合った支援を考えることの大切さを学びました。現在は現場を離れ、すぐサポの編集長として、これまでの経験を記事という形で多くの方に届けることをミッションとしています。制度や法律の解説記事では、「専門用語を使わず、中学生でも分かる言葉で」を心がけています。

もっと詳しく

💭 福祉の道を選んだ理由

大学で社会福祉を学び、実習で出会った利用者の方々の笑顔に感動したことがきっかけです。

✨ 印象に残っている出来事

重度の知的障害のある方が、適切な支援により地域での一人暮らしを実現したこと。

✍️ 記事を書く上で大切にしていること

専門用語を使わず、中学生でも分かる言葉で伝えることを大切にしています。

🎨 趣味・特技

読書、散歩

🔍 最近気になっているテーマ

障害者総合支援法の改正動向、ICTを活用した新しい支援の形

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