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障害児向けの外出サポート:放課後デイ・家族支援の活かし方

📖 約60✍️ 谷口 理恵
障害児向けの外出サポート:放課後デイ・家族支援の活かし方
本記事は、障害のあるお子さまの外出を安全かつ効果的にサポートするための、放課後等デイサービス(放デイ)と移動支援(ガイドヘルプ)の活用法を解説しています。放デイでの公共交通機関利用訓練や買い物訓練など、具体的な外出支援の内容と、家庭との連携方法を詳しく紹介。また、家族のレスパイトにも繋がる移動支援の利用範囲や、信頼できるガイドヘルパーとの関係構築の重要性についても触れています。さらに、不安を和らげるための絵カードやソーシャル・ストーリーといった視覚支援のテクニック、パニック時の冷静な対処法、ヘルプマークの積極的な活用を提案し、お子さまの外出への自信と成長をサポートするための具体的な指針を提供します。


障害のあるお子さまの「できた!」を増やす

放課後デイ・家族支援を活用した外出サポート術

お子さまの成長にとって、様々な場所へ出かける「外出体験」は、社会性や生活スキルを育む大切な機会です。しかし、障害のあるお子さまを持つご家族や支援者の方々は、外出時の予期せぬ困難や、安全の確保、周囲の理解など、多くの不安を抱えていらっしゃることでしょう。

特に、公共交通機関の利用や新しい環境への適応は、事前の準備と専門的なサポートが不可欠です。このブログ記事では、障害児向けの主要な支援サービスである「放課後等デイサービス」や、自治体の「移動支援(ガイドヘルプ)」といった公的サービスをどのように活用し、お子さまの外出を安全かつ効果的にサポートできるかについて、具体的な方法を詳しくご紹介します。

この記事を通じて、お子さまの「行きたい!」という気持ちを大切にし、ご家族の負担を減らしながら、豊かな外出体験を積み重ねるためのヒントを見つけていただければ幸いです。

放課後等デイサービスの「外出訓練」を最大限に活かす

放課後等デイサービス(放デイ)は、学校の授業終了後や休日に利用できる、障害のあるお子さま向けの福祉サービスです。ここでは、集団活動や学習支援だけでなく、将来の自立に向けた重要な「外出訓練」が行われています。

外出支援の目的と具体的な活動内容

放デイでの外出支援の主な目的は、公共の場でのルールやマナーを学ぶこと、そして社会との接点を増やし、コミュニケーション能力を向上させることにあります。単に「遊びに行く」のではなく、明確な療育目標を持って外出計画が立てられます。

具体的な活動内容としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 公共交通機関の利用訓練: バスや電車に乗り、切符の購入や運賃の支払い、混雑時のマナーなどを学びます。
  • 買い物訓練: スーパーやコンビニで、自分で商品を選び、レジで支払いをする練習を通じて、金銭感覚と社会的なやり取りを習得します。
  • 公共施設利用: 図書館での本の借り方、公園での遊具の使い方など、公共の場所での適切な行動を体験します。

これらの訓練を通じて、お子さまは成功体験を積み重ね、外出への自信を育んでいきます。

ご家庭との連携:情報の共有と目標設定

放デイでの訓練を効果的にするためには、ご家庭との密な連携が欠かせません。放デイのスタッフが把握したお子さまの特性や、外出時の課題点をご家族と共有し、共通の目標を設定することが大切です。

例えば、「放デイでは電車に乗る練習ができているので、週末は家族で一駅だけ乗ってみましょう」といった具体的な連携を行うことで、訓練効果の持続と一般化(学んだスキルを他の場面でも使えるようにすること)が促されます。連絡帳や面談を通じて、自宅での外出計画や挑戦したいことを積極的に伝えましょう。

✅ 成功のコツ

放デイのスタッフと、お子さまの外出時の「最もストレスとなる要素」(例:音、光、人混み)を具体的に特定し、それを避ける、または慣れるための具体的なアプローチ方法を話し合っておきましょう。

個別支援計画への外出訓練の組み込み

放デイでは、お子さま一人ひとりに合わせた「個別支援計画」が作成されます。外出支援を充実させたい場合は、この計画の中に「外出スキル」の向上を明確な目標として組み込んでもらいましょう。

目標設定の例としては、「2ヶ月後までに、支援員と二人でコンビニへ行き、お菓子を一つ購入できるようになる」「半年後までに、介助者と手をつながずに300m歩けるようになる」など、具体的で測定可能な目標を設定することが重要です。これにより、支援の質の担保と、進捗の確認が容易になります。

家族のための公的支援:移動支援(ガイドヘルプ)の活用

放デイの活動とは別に、ご家族の付き添いなしで、お子さまの個別的な外出を支援するのが、自治体の福祉サービスである「移動支援(ガイドヘルプ)」です。これは、ご家族のレスパイト(休息)としての役割も担います。

移動支援の対象と利用できる活動範囲

移動支援は、障害のある方が社会生活を送る上で欠かせない外出や、余暇活動、社会参加のための外出を、ガイドヘルパーが同行して支援するサービスです。具体的な対象者や利用時間、費用については、お住まいの市町村によって異なりますが、主に以下の活動に利用できます。

  • 通院・役所手続きへの同行: 医療機関や行政機関への訪問を支援します。
  • 余暇活動・社会参加: 映画館、動物園、博物館、公園などへの外出をサポートします。
  • 趣味・習い事への送迎や同行: 地域の活動や習い事への参加を助けます。

ただし、通勤・通学や経済活動に関する外出、介助を必要としない単なる見守りなどは、原則として移動支援の対象外となることが多いので、事前に自治体へ確認が必要です。

💡 ポイント

移動支援は、あくまでも「外出に伴う支援」であり、身体介護(食事、入浴など)が主目的ではありません。外出中の危険回避や、移動時の介助が主なサービス内容となります。

ガイドヘルパーとの信頼関係構築

お子さまの外出を安心して任せるためには、ガイドヘルパーとの間に強い信頼関係を築くことが最も重要です。ヘルパーは、お子さまの特性やコミュニケーションの方法、緊急時の対応について、詳細な情報を必要としています。

初めて利用する際には、お子さまの「こだわり」「不安のトリガー」「機嫌が良くなる方法」などをまとめたシートを作成し、ヘルパーに提供しましょう。また、支援前後に必ずフィードバックの時間を設け、その日の活動内容や、お子さまの様子を詳しく共有することも大切です。

「ガイドヘルパーさんには、娘のパニックの予兆と、その時の『抱きしめて落ち着かせる』という具体的な対処法を伝えています。これにより、安心して外出を任せられるようになりました。」

— 家族支援サービス利用者 Eさんの声

移動支援をレスパイトケアとして活用する

移動支援は、お子さまの社会参加を促すだけでなく、ご家族、特にメインで介助されている保護者の方にとってのレスパイト(休息)としての役割も非常に大きいです。障害のあるお子さまの介助には、計り知れない体力と精神力が必要です。

ヘルパーがお子さまの外出に付き添っている間、保護者の方はご自身の休息や、他のご家族との時間、あるいは自分の趣味の時間に充てることができます。この休息が、結果的にお子さまへのより質の高い支援へと繋がります。移動支援の利用時間を、無理のない範囲で積極的に確保しましょう。

外出時の不安を和らげる「視覚支援」の活用

特に自閉スペクトラム症など、視覚優位で、先の見通しが立たないことや、急な予定変更に強い不安を感じやすいお子さまにとって、視覚支援は外出時の不安を大きく軽減する強力なツールです。

絵カードや写真による「スケジュール提示」

外出の予定を立てる際、口頭での説明だけでは理解が難しいお子さまには、絵カードや写真を使った「見通し(スケジュール)提示」が非常に有効です。例えば、「家を出る→バスに乗る→公園で遊ぶ→お昼ご飯を食べる→帰宅」といった一連の流れをカードで示します。

これにより、お子さまは「次に何が起こるか」「いつ終わるか」を視覚的に把握できるため、不安が減り、落ち着いて行動できるようになります。活動が終わるたびにカードをめくる、あるいは裏返すといった動作も、達成感と次の行動への切り替えを促す助けとなります。

  • 外出先の写真(例:利用するバス停、目的地の入り口)を準備する。
  • 「おしまい」「休憩」などのカードも用意し、活動の切り替え時に使用する。
  • 急な予定変更があった場合は、カードを差し替えて、変更を視覚的に伝達する

ソーシャル・ストーリーの応用

ソーシャル・ストーリーとは、特定の社会的な状況や行動について、短い文章と絵で説明する手法です。これは、公共の場での適切な振る舞いを事前に教えるのに役立ちます。

例えば、「電車に乗るとき」というテーマであれば、「電車の中では静かに座ります」「大きな声で話すと、周りの人がびっくりします」といった内容を、お子さまが主人公になった簡単な物語形式で作成します。外出前に一緒に読むことで、予期される状況への心の準備を促します。

💡 ポイント

ソーシャル・ストーリーは、否定的な表現を避け、「~をすると、みんなが気持ちよく過ごせるよ」といった肯定的なメッセージで作成することが、お子さまの行動変容を促す鍵となります。

感覚過敏対策としての持ち物

外出時の不安やパニックの原因の一つに、感覚過敏があります。特に、人混みの音、光、匂いなどが苦手なお子さまへの対策として、以下のアイテムを準備しましょう。

感覚の種類 具体的な対策アイテム
聴覚過敏 イヤーマフやノイズキャンセリングヘッドホン
視覚過敏 サングラス、つばの広い帽子、フード付きの上着
触覚過敏 お気に入りのぬいぐるみやブランケット、握るための感触おもちゃ

これらのアイテムを携帯することで、外部からの刺激を調整し、お子さまが安心感を保てる環境を外出先でも作り出すことができます。

トラブル発生時の冷静な対処と周囲の理解

どんなに準備をしても、外出中に予期せぬトラブル、特にパニックや不適切な行動が起こる可能性はゼロではありません。大切なのは、トラブルが発生した際に、ご家族や支援者がいかに冷静に対応できるか、そして周囲の理解を得られるかです。

パニック時の安全確保と沈静化のステップ

お子さまがパニック状態になった際は、まず第一にお子さま自身の安全と、周囲への影響を最小限に抑えることを考えます。大声で叱ったり、無理に止めようとしたりせず、以下のステップで対応しましょう。

  1. 安全な場所への移動: 人混みや車道など危険な場所から、静かで落ち着ける場所(例:お店の裏側、駅の休憩スペースなど)へ誘導します。
  2. 刺激の遮断: イヤーマフの使用や、優しく抱きしめる(感覚入力が好きな場合)など、お子さまにとって過剰な刺激を取り除きます。
  3. 沈静化を待つ: 「大丈夫だよ」「すぐ終わるよ」といった短い言葉で安心感を与えつつ、パニックが落ち着くのを静かに待ちます。

この際、ご家族や支援者自身が深呼吸をし、落ち着いて対応することが、お子さまの安心感に繋がります。

ヘルプマークやSOSサインの積極的な活用

外出中のトラブル時に、周囲の理解と支援を得るためには、ヘルプマークの活用が非常に有効です。ヘルプマークを身につけることで、周囲の人に「支援が必要な可能性がある」ことを示せます。

特に、お子さまが突然パニックを起こし、大声を出したり、座り込んだりした場合、「しつけが悪い」と誤解されるのを防ぐことができます。ヘルプマークを見える場所に提示し、可能であれば「障害のためです。大丈夫です」など、簡潔なメッセージを周囲に伝えましょう。

「以前、バスの中で娘が急に大きな声を出した時、つけていたヘルプマークに気づいた方が、席を移動して静かに見守ってくれました。マークの存在が、周囲の優しい行動を引き出してくれたと感じました。」

— 家族支援団体のアンケートより

事後の振り返りと次の外出への教訓

トラブルが発生した後、最も重要なのは、その日の外出を「失敗」として終わらせないことです。帰宅後、お子さまが落ち着いてから、何が不安の原因だったのか、どうすれば良かったのかを、放デイのスタッフやガイドヘルパーと共に客観的に振り返りましょう。

その振り返りの結果を、次の外出計画や個別支援計画に反映させることが、お子さまの成長と、ご家族の安心へと繋がります。トラブルを乗り越えるたびに、お子さまの対応力と、ご家族の対処スキルは向上していきます。

✅ 成功のコツ

トラブルの際は、「お子さまに責任がある」と考えず、「環境や状況が合わなかった」と捉えましょう。この視点を持つことで、冷静な振り返りと、より良い環境調整が可能になります。

「よくある質問」と相談窓口

障害児の外出サポートに関して、ご家族や支援者から寄せられることの多い質問と、利用できる相談窓口をまとめました。

Q. 移動支援と放課後等デイサービスの「外出」はどのように違いますか?

A. 放課後等デイサービスの外出は、集団での活動や、療育・訓練の一環として位置づけられます。一方、移動支援は、個別での社会参加や余暇活動を目的とした外出を、ガイドヘルパーがマンツーマンで支援するサービスです。放デイでは集団でのルールを学び、移動支援では個別的なニーズに応じた外出の練習ができる、と考えると分かりやすいです。

Q. 移動支援の利用時間の上限はありますか?

A. 移動支援の利用時間(支給量)は、お住まいの市町村が行う勘案(アセスメント)に基づいて決定されます。障害の程度や、ご家族の状況、社会参加の必要性などに応じて個別に判断されるため、一律の上限はありません。まずは市町村の福祉窓口に申請・相談を行い、具体的な支給量を決定してもらう必要があります。

Q. 遠方の祖父母宅への帰省など、長距離の外出でも支援は受けられますか?

A. 移動支援は、原則としてお住まいの自治体の区域内での移動が対象となることが多いですが、自治体によっては、社会参加上必要と認められる範囲で、近隣の市町村や、帰省などの広域的な移動を一部認めているケースもあります。長距離移動の予定がある場合は、必ず事前に自治体窓口に相談し、支援の可否と範囲を確認してください。

相談窓口と参考リンク

外出支援に関する制度や具体的なサポートについて迷ったときは、以下の専門窓口へ相談しましょう。

  • 市町村の障害福祉窓口(または児童福祉窓口): 放課後等デイサービスや移動支援の申請・支給決定、地域のサービス情報の提供。
  • 児童発達支援センター: 療育的な視点に基づいた外出に関するアドバイスや、個別支援計画作成の相談。
  • 相談支援事業所: 障害福祉サービス全体の利用計画(サービス等利用計画)作成のサポートや、複数のサービスとの連携調整。

これらの専門家と連携することで、お子さまに最適な外出支援の形を見つけることができます。


まとめ

障害のあるお子さまの外出サポートは、単なる移動の介助ではなく、社会性を育み、将来の自立に繋げるための重要な療育活動です。放課後等デイサービスでの計画的な訓練と、移動支援(ガイドヘルプ)による個別サポートを組み合わせることで、お子さまは安全で質の高い外出体験を積むことができます。

また、視覚支援の活用や、トラブル時の冷静な対応、そして周囲の理解を求めるためのヘルプマークの利用も欠かせません。ご家族は、公的支援を積極的に活用してレスパイトを確保しつつ、お子さまの「できた!」という喜びを一緒に分かち合ってください。支援サービスを最大限に活かし、お子さまの可能性を広げていきましょう。

  • ポイント1: 放課後等デイサービスでは、個別支援計画に外出訓練を組み込み、具体的なスキル向上を目指す。
  • ポイント2: 移動支援(ガイドヘルプ)を活用し、個別的な社会参加やご家族のレスパイトを確保する。
  • ポイント3: 視覚支援やヘルプマークを使い、不安を軽減し、周囲の理解を得る環境を整える。

谷口 理恵

谷口 理恵

たにぐち りえ45
副編集長📚 実務経験 20
🎯 生活サポート🎯 地域情報

📜 保有資格:
介護福祉士、ケアマネージャー、サービス管理責任者

介護福祉士として15年間現場で働き、現在はグループホームの管理者。「地域で自分らしく暮らす」を支えるために、住まい・生活・地域資源に関する情報発信を担当しています。実際の支援現場で感じた「これ知りたかった!」という情報をお届けします。

介護福祉士として障害者施設で10年、その後ケアマネージャーの資格を取得し、相談支援専門員として5年勤務。現在はグループホーム(定員10名)の管理者として、利用者の方々の日々の生活を支えています。この仕事を選んだきっかけは、大学時代のボランティアで知的障害のある方と出会ったこと。「普通」の定義は人それぞれで、大切なのは本人が望む生活を実現することだと気づかされました。特に力を入れているのは、地域との繋がりづくり。近所のスーパーや美容院、カフェなど、日常的に利用できる場所を増やすことで、「施設の中だけ」ではない豊かな生活を支援しています。記事では、グループホームでの実際の生活の様子や、地域の障害福祉サービス事業所の選び方など、現場の生の声をお伝えしていきます。

もっと詳しく

💭 福祉の道を選んだ理由

大学時代のボランティアで知的障害のある方と出会い、「普通」の定義は人それぞれだと気づいたことがきっかけです。

✨ 印象に残っている出来事

近所のスーパーや美容院など、日常的に利用できる場所を増やすことで、利用者の生活が豊かになったこと。

✍️ 記事を書く上で大切にしていること

現場の生の声を大切に、「これ知りたかった!」という情報を届けることを心がけています。

🎨 趣味・特技

料理、ガーデニング

🔍 最近気になっているテーマ

一人暮らし支援の新しい形、地域住民との共生

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