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障害者雇用求人を探す上での注意点と見極めポイント

📖 約29✍️ 伊藤 真由美
障害者雇用求人を探す上での注意点と見極めポイント
障害者雇用の求人探しでは、安定就労のために「企業の配慮への本気度」「職種との適合性」「給与・キャリアパス」の3点を見極めることが重要です。配慮への本気度は、求人票の具体的な配慮事項の記載や、定着支援体制(専任担当者、支援機関との連携)の有無で判断します。職種については、単なる雑務ではなく、あなたのスキルが活かせる業務内容が切り出されているかを確認しましょう。また、給与だけでなく正社員登用制度の実績や、将来的なキャリアパスの明確さも重要です。求人票は企業の理想であり、複数の支援機関を活用して職場の内部情報を「裏取り」し、ミスマッチのない企業選びを成功させましょう。

「障害者雇用の求人はたくさんあるけれど、本当に長く安定して働ける企業をどう見極めたらいいのか分からない」「求人票に書かれていない、企業の本当の配慮体制を知りたい」といった疑問や不安を抱えていませんか?

障害者雇用の求人の中には、単に法定雇用率達成のためだけに採用を行っている企業も存在します。そのような企業に入社してしまうと、十分な配慮が得られず、早期離職につながるリスクが高まります。

この記事では、求人情報だけでは分からない「安定して働ける企業」を見抜くための3つの重要チェックポイントを徹底解説します。また、職種や給与といった求人票の基本情報に加え、「定着支援」や「キャリアパス」に関する企業の姿勢をどう見極めるか、具体的な方法をご紹介します。

この記事を読むことで、求人を探す際の注意点を理解し、あなたにとって最適な環境で、長く活躍できる企業を見つけるための確かな目を養えるでしょう。


求人を見極める重要ポイント1:企業の「配慮への本気度」を測る

(1)求人票の「配慮事項」の記載内容をチェックする

求人票の「配慮事項」や「特記事項」の記載内容を確認することで、企業がどれだけ障害者雇用に本気で取り組んでいるかを推測できます。

  • 良い例:「業務指示は必ず文書化」「フレックスタイム制導入検討可」「入社後3ヶ月はジョブコーチ支援の活用を推奨
  • 悪い例:「合理的配慮については応相談」「特に配慮事項の記載なし」

抽象的な表現で終わらせず、具体的な配慮内容や、入社後の支援体制(ジョブコーチ、産業医との連携など)に言及している企業は、採用後の定着を真剣に考えている可能性が高いです。

(2)定着支援体制の有無と具体的な担当者

長く安定して働くためには、入社後のサポート体制が不可欠です。面接や企業見学の際に、以下の点を確認しましょう。

  • 担当部署:障害者雇用専任の部署(ダイバーシティ推進室など)や、人事部とは別に障害者社員のサポートを行う担当者(世話役)がいるか。
  • 支援機関との連携:就労移行支援や地域障害者職業センター(ジョブコーチ)と、過去に連携した実績があるか。

「担当者が忙しすぎて、相談に乗る時間がない」「上司が障害者雇用の知識を全く持っていない」といった環境では、必要な配慮が滞りがちになります。採用担当者だけでなく、現場の上司や同僚の理解度も重要なチェックポイントです。

(3)特例子会社のメリット・デメリットを理解する

特例子会社とは、企業が障害者雇用を促進するために設立した子会社です。特例子会社の求人は、一般の企業とは異なる特性があります。

  • メリット配慮体制が非常に手厚く、障害特性への理解が深い社員が多い。長く安定して働ける環境が整っている。
  • デメリット:業務内容が親会社からの委託業務(事務サポート、清掃、データ入力など)に限定されやすく、職種やキャリアパスの幅が狭い傾向がある。

特例子会社は、安定性や配慮の充実度を最優先したい方には最適ですが、専門職を目指したい方は、一般企業や専門職のエージェント経由の求人を探す方が適しています。


求人を見極める重要ポイント2:職種と業務内容の「適合性」

(1)「仕事の切り出し」が明確かを確認する

障害者雇用の求人の中には、「一般事務」と一括りに書かれていても、実際は一般社員の業務の一部を切り出した、専門性の低い雑務であることが少なくありません。

求人票で業務内容が曖昧な場合は、積極的に「具体的な業務内容を教えてほしい」と尋ねましょう。以下の点に注意して、業務の適合性を判断します。

  • 定型業務の割合:ルーティン業務(定型)と、臨機応変な対応が必要な非定型業務の割合。
  • 対人業務の有無:電話対応、来客対応、クレーム処理など、コミュニケーション負荷の高い業務が含まれているか。
  • 専門性の有無:その仕事を通じて、今後キャリアアップにつながるスキルが身につくかどうか。

あなたの障害特性(例:発達障害でマルチタスクが苦手)に合わない非定型業務が多い場合は、入社後に大きなストレス要因となるため、避けるべきです。

(2)「残業・業務量」に関する企業の姿勢を読み解く

「残業なし」と書かれていても、それが「建前」ではないかを疑ってかかることも重要です。求人票の文言だけでなく、面接や企業見学で以下の点を確認しましょう。

  • 実際の残業時間:配属予定部署の一般社員の平均残業時間はどうか。
  • 残業不可への理解:「残業不可」を伝えた際の面接官の反応が、協力的か、難色を示すか。

もし、企業が残業が多い環境であれば、「自分だけ残業ができないこと」が、職場での疎外感や心理的なプレッシャーにつながる可能性があります。残業の有無だけでなく、残業ができないことへの企業の真の理解度を見極めましょう。

(3)「合理的配慮」と「ジョブマッチング」のバランス

最も良い求人とは、「あなたの強みを活かせる業務」「必要な配慮」の双方が満たされているものです。配慮だけが手厚くても、仕事内容にやりがいを感じなければ、モチベーションの維持が難しくなります。

職種を選ぶ際は、「この仕事を通じて、自分のどんなスキルが伸びるか」「この会社でどんな役割を果たしたいか」という長期的なキャリア目標と照らし合わせながら、慎重に判断することが大切です。


求人を見極める重要ポイント3:給与・待遇とキャリアパス

(1)給与水準と昇給・賞与の実績を確認する

障害者雇用の給与水準は、一般雇用に比べて低い傾向がありますが、応募前に地域の平均水準と比べて適正であるかを確認しましょう。また、給与だけでなく、昇給や賞与の実績も重要です。

  • 昇給制度:一般社員と同じ評価制度が適用されるか、障害者雇用独自の評価制度があるか。
  • 賞与実績:「賞与あり」と記載があっても、過去に支給されなかったケースがないか。

給与や待遇に関する情報は、エージェントや支援機関を通じて、可能な範囲で客観的な情報を得ることが、入社後の金銭的な不安を減らすことに繋がります。

(2)正社員登用制度の有無と実績

契約社員やパートからのスタートが多い障害者雇用ですが、長期的な安定を望むなら、正社員登用制度の有無とその実績を確認しましょう。

  • 制度の有無:「正社員登用制度あり」と記載されているか。
  • 過去の実績:過去に障害者雇用枠から正社員に登用された社員が何人いるか。

制度があっても実績が全くない企業は、登用へのハードルが非常に高い可能性があります。具体的な登用基準や、登用後の待遇についても、可能な限り確認を求めましょう。

(3)キャリアパスと「ジョブローテーション」の範囲

企業が障害者社員に対し、どのようなキャリアパスを用意しているかも重要な見極めポイントです。

  • 業務の拡大性:現在の業務以外に、将来的に挑戦できる職務の範囲が明確か。
  • ジョブローテーションの有無:特に精神・発達障害の場合、環境の変化が大きなストレスとなるため、ローテーションの有無と、ローテーションの範囲・頻度を事前に確認することが大切です。

「この仕事以外は一切やらない」と固執するのではなく、「体調と配慮が守られれば、〇〇の分野に挑戦したい」という前向きな姿勢を面接で示すことも、キャリア志向の高い企業へのアピールになります。


求人探しの注意点と支援機関の活用戦略

注意点1:求人票は「企業の理想」であることを理解する

求人票に記載されている内容は、あくまで企業が求める「理想の人物像」や「理想の労働条件」です。特に給与や待遇に関しては、面接での交渉や、あなたのスキルレベルによって変動する可能性があります。

求人票の記載内容に完璧に合致していなくても、諦める必要はありません。まずは「あなたのスキルで企業の役に立てること」を明確にし、積極的に応募することが大切です。

注意点2:複数の支援機関を通じて情報を「裏取り」する

求人情報源は一つに絞らず、ハローワーク、就労移行支援事業所、転職エージェントなど、複数の支援サービスを併用し、情報を多角的に収集しましょう。

特に、就労移行支援事業所やエージェントは、企業との付き合いが長く、「あの会社は配慮が手厚い」「あの部署は人間関係が良い」といった、求人票には載らない内部情報を持っていることがあります。これらの「裏取り情報」こそが、企業選びの精度を高めます。

注意点3:面接・職場見学での「雰囲気チェック」

企業の文化や雰囲気は、求人票では絶対に分かりません。面接や職場見学に足を運んだ際は、以下の点をチェックしましょう。

  • 社員の表情:社員が笑顔で活き活きと働いているか、暗い雰囲気ではないか。
  • オフィス環境:清潔で整理整頓されているか、物理的な配慮(バリアフリー、静かなスペースなど)がされているか。
  • 面接官の態度:あなたの障害特性や配慮事項について、真摯に耳を傾け、質問してくれるか

面接官があなたの話に興味を示さず、一方的に話を進めるような企業は、入社後の配慮も期待できない可能性が高いです。


まとめ

障害者雇用の求人探しを成功させるには、単に求人票の条件を見るだけでなく、企業の「配慮への本気度」、職種とあなたの「適合性」、そして「キャリアパス」という3つの視点から深く見極めることが重要です。

特に、配慮事項の具体的な記載内容や、入社後の定着支援体制を確認することで、雇用率達成のためだけの企業を避けることができます。就労移行支援などの専門機関を最大限に活用し、内部情報や客観的な視点を取り入れながら、あなたにとって最適な職場を見つけてください。

  • 求人票の「配慮事項」が具体的かどうかで、企業の採用への本気度を測る。
  • 職種が単なる雑務ではなく、あなたのスキルが活かされ、成長できる仕事かを見極める。
  • 給与だけでなく、正社員登用制度の実績やキャリアパスの有無を確認する。
  • 複数の支援機関を活用し、求人票に載らない職場の雰囲気や定着実績の情報を得る。

伊藤 真由美

伊藤 真由美

いとう まゆみ33
担当📚 実務経験 10
🎯 就労支援🎯 進路支援

📜 保有資格:
特別支援学校教諭免許、社会福祉士

特別支援学校で5年教員を務めた後、就労継続支援B型事業所で5年勤務。「学校から社会へ」の移行支援と、「自分のペースで働く」を応援します。進路選択や作業所選びの情報をお届けします。

大学で特別支援教育を学び、卒業後は特別支援学校の教員として5年間勤務。知的障害や発達障害のある生徒たちの進路指導を担当する中で、「卒業後の支援」の重要性を痛感しました。そこで教員を辞め、就労継続支援B型事業所に転職。現在は生活支援員として、様々な障害のある方が自分のペースで働く姿を日々見守っています。特に大切にしているのは、「働くことがすべてではない」という視点。一般就労が難しくても、作業所での仕事や日中活動を通じて、生きがいや居場所を見つけることは十分可能です。記事では、特別支援学校卒業後の進路選択、就労継続支援A型・B型の違い、作業所での実際の仕事内容など、「自分らしい働き方・過ごし方」を見つけるための情報を発信します。

もっと詳しく

💭 福祉の道を選んだ理由

特別支援教育を学び、「卒業後の支援」の重要性を感じたことがきっかけです。

✨ 印象に残っている出来事

作業所での仕事や日中活動を通じて、生きがいや居場所を見つけた方々を見守ってきたこと。

✍️ 記事を書く上で大切にしていること

「働くことがすべてではない」という視点を大切に、自分らしい過ごし方を見つける情報を発信します。

🎨 趣味・特技

ハンドメイド、音楽鑑賞

🔍 最近気になっているテーマ

発達障害のある方の就労支援、工賃向上の取り組み

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